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コラム
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2004.09.27

第1回:吾妻の地酒「貴娘」を呑む!「たんげの湯 美郷館」

隠れ家名湯・旨酒探訪 by 吉野 斉(よしのいつき)

隠れ宿を訪ねて
今回からはじまったこのコラム。旅と温泉と旨酒をこよなく愛する酔いどれライターの私・吉野が、一押しの隠れ宿を紹介しようというものです。どうぞよろしくおつきあいくださいね!
 温泉に行くなら隠れ宿、秘湯でのんびり湯浴みをしたら地のものをいただいて地酒をこくりとやる、それが私の旅の一番の楽しみ。隠れ宿や秘湯という言葉はすっかりお馴染みになった感があるけれど、人によって「秘湯」という言葉でイメージするものはそれぞれ違うだろう。私的にいえば秘湯たるもの、温泉街の中にあるのではなく静かな自然の中にあってほしい。できれば一軒宿がいい。部屋数は少ない方がいい。華美でなくていい。派手でなくていい。たださりげないおもてなしを味わえたら嬉しい。
 ここからは私のわがままになる。料理は美味しいほうがいい。土地の味を味わいたい。酒は地酒がいい。地ワインもいい。そしてもうひとつ大切なのが予算だ。隠れ宿ブームで紹介される名旅館の中には「一泊二万~三万」という宿泊料も珍しくない。しかし、私のようなフリーライター(一般庶民・かなり貧乏!!)にはとても高くて手が出ない。しかし予算1万円~1万二千円でよいお湯、美味しい料理、そして旨い酒を愉しめる、そんな旅館は意外にある。私が狙うのはそういう隠れ家的温泉旅館だ。
記憶の中の秘湯「美郷館」
 私が秘湯好きになったのは、学生時代にある旅館を訪れた時からだ。それは群馬県の四万温泉の近くにある「たんげの湯 美郷館」という宿だった。宿を訪れたのは2月で雪の季節だった。宿につくまでバスは山道を行き「こんなところに本当に温泉があるの?」と不安になった。しばらくして雪景色の中にこじんまりとした宿が見えてきた。
 「お風呂は外ですから、すべるようなら雪駄を履いていってくださいね」と宿の人に言われ、雪道を少し歩くとそこには湯小屋がふたつ並んでいた。早速温泉に入ろうと扉を開けると檜風呂と雪の渓流が目の前にあった。澄んだ流れを眺めながら静かにお湯につかり「こういう場所もあるんだなぁ」と放心した。それが私と美郷館との出会いだった。
 この時から私は大型旅館や旅館街の宿ではなく、隠れ宿を探し求めて旅に出るようになったのだ。

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たんげの湯 美郷館へ
私の秘湯探訪の出発点ともいうべきこの宿、実は数年前に改装し、秘湯の雰囲気はそのままに新しい魅力を持った宿として生まれ変わったのである。そこで今回は「たんげの湯 美郷館」を再び訪れることにした。この宿は宿泊料金15000円~と酔いどれライター吉野にとっては少し予算オーバーだが、プラス3000円は思い出へのはなむけじゃ。とってつかわせ。と一人ごちつつ私は美郷館に向かった。
 中之条から四万温泉方面に進み、沢渡温泉方面に分岐し、看板を頼りにしばらく走ると美郷館につく。周囲には民家も何もない。山の中の一軒宿では最初に虫の声が迎えてくれる。玄関を入ると総欅造りの立派なロビー。これは日本最後の木曳職人・林以一氏がてがけたものだという。入ったとたんに背筋がしゃんとなる。心地よい木の香りが香る。
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 美郷館は渓流に面してたっていて、予約の際部屋を選ぶことができる。部屋それぞれに違った趣があるので、好きな部屋を予約するのがおすすめだ。私は雪見障子をあけて渓流を眺めることができる部屋を選んだ。この宿の裏にある山は宿の所有地なので、手つかずの渓流を眺めながらの山道散歩も楽しめる。日の高いうちに、と私は散策にくりだした。
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これぞ秘湯。とっておきの温泉を堪能!
 ほどよく汗をかいたら、さてお楽しみのお風呂に入ろうか。美郷館の何よりの贅沢は豊富なお風呂。まずは「瀬音の湯」へ。レトロモダンな木造建築風呂で、湯舟の下には玉砂利がしきつめられている。すがすがしい木の香りに満ちている。お湯は透明なカルシウム硫酸塩温泉。やわらかく肌触りが気持ちいい。湯加減もちょうどよくリラックス~。
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 それから内湯の「滝見の湯」へ。ここはすごい。湯舟につかるとガラス越しに滝を眺められるのだ。深い青色の滝がとても近くに見えて、すいこまれそうだ。先にお湯につかっていた年配の女性も「キレイねぇ。ほんとに何よりの贅沢ですよねぇ」と笑顔でふりむいてくれた。滝を眺めてゆっくりとお湯を楽しんだ
 風呂を出ると、レモン水と昆布茶が用意してある。さりげない心配りがうれしい。私は昆布茶を飲んでひとやすみ。ふうー、極楽極楽。
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渓流を眺める静かなお風呂へ
 部屋に戻って窓際にコロン。ちょっとお昼寝といきますか。この部屋、障子をあけ寝ころぶと川の流れを眺められるのです。渓流は人の手が入っていないため、流れの底の石の色が見えるほど透き通っていてキレイ。
 ちょっと眠って目が覚める。私はもうひとつの露天へ行くことにした。実は個人的にはこの露天が一番好きなのです。なぜって、私がはじめて訪れたときの湯小屋の露天が館内にちゃんと残されているんですよ。当時の雰囲気はそのまま。檜風呂と岩風呂の二種類、それに大きな露天がひとつ。私はお気に入りの檜風呂へ。ゆっくりお湯に入るとじんわりあたたかくなってきます。湯加減最高。眺めも最高。うーん、気持ちいい~!改築前と変わらず、目の前は渓流。対岸にはもみじの木が。紅葉の季節は色づいたもみじがライトアップされるとか。紅葉の露天風呂もさぞかしいいだろうなあ。機会があったら今度は紅葉の季節に来たいなぁ。
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吾妻の地酒「貴娘」をこくり
 散策もしたし、いっぱいお風呂にも入ったし、そろそろ一杯呑みたいな。…と思った頃に夕食の六時になった。夕食は個室食事どころでいただく。早速、地元吾妻の貴娘酒造の銘酒「貴娘」の冷酒を注文。ここ群馬県吾妻町は四季を通じて涼しく、冬は厳しい寒さになる。地元の澄んだ水と澄んだ空気、そして冬の厳しい寒さが作り出した日本酒はキリッと涼しい飲み口。テーブルには山菜、天ぷら、鮎など山のものに加えて、海のものも並ぶ。山の宿としてはちと珍しい。が、やはり山では山のものを食べたいと思ってしまう私は、鮎の蓼酢を肴に「貴娘」をこくり。キレもあるけど口に含むとまろやかさと香りも広がるお酒。女性でも呑みやすいのでは?しかし、土地の生み出した酒は土地の食材によくあうのう。旬のきのこの天麩羅をほおばり、私は手酌でぐいぐい呑んで、いい塩梅。酔いどれ一丁、できあがり。この瞬間が一番幸せなんですよ。やめられまへんなぁ。

生まれ変わった秘湯
 翌朝、せせらぎの音で目覚めた。よし、朝風呂といこう!私は内湯の滝見の湯へ。
数年前、美郷館が改装すると聞いたとき、正直なところ不安になった。あのなんともいえない風情は消えてしまうのだろうか。もう味わえないのだろうか。そう思った。改装後、はじめて美郷館を訪れた時は、ちょっと緊張した。値踏みするような目つきの嫌な客だったかもしれない。確かに以前のこじんまりとした美郷館はもうない。だが美郷館はある意味「贅沢な秘湯」として生まれ変わっていた。贅沢な純和建築。贅沢な自然。滝や渓流や野山を有し、それが宿の魅力として活かされている。そして全部で五つもある趣向を凝らしたお風呂。ゆっくりと流れる時間。
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 以前の美郷館が懐かしい、と思う気持ちは確かにあるのだが、今の美郷館は以前とはまた違う贅沢な秘湯だ。ゆっくりとした時の流れは以前のままに…。(了)

たんげの湯 美郷館HP http://www.misatokan.com/

@nifty温泉 「たんげ温泉 美郷館」詳細ページへ

text by 吉野 斉(よしのいつき) | 2004.09.27 | [ 隠れ家名湯・旨酒探訪 ] | 固定リンク | コメント (4) | トラックバック (1)

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» 第1回:「おフログ」の裏話 [@nifty温泉:コラム(おフログ) から]
「おフログ」になってから初のコラムです。前回のコラムはちょっと硬い内容が多かった 続きを読む

受信 Oct 14, 2004 8:12:07 PM

コメント

コラムアップ おめでとうございます。

私は 下戸なので お酒はぜーんぜんですが
お酒抜きでも いただきたい 「名湯」ですね。
今後の
「ゆっくりとした時の流れ」と酌み交わす
美酒と名湯のコラム・・・

楽しみにしております。

冬薔薇~ふゆそうび

投稿者: 冬薔薇 (Oct 6, 2004 6:53:46 PM)

吉野斉様、コラムアップおめでとうございます!!!
様々な方面に才能を発揮され、尊敬の眼差し。
本当は誰にも教えたくない、とっておきの「秘湯」を
教えて頂き有難うございます。
美味しいお酒に目が無い森野です。
いつかご一緒出来る日を楽しみにしております♪

投稿者: 森野 小熊 (Oct 9, 2004 11:42:40 AM)

こんにちは。酔いどれ旅人itsukiです。
モットーは酒と泪と男と女と温泉です(笑)。
これからよろしくお願いします^^
だんだん酔いどれていく可能性大なので
あたたかく見守ってくださいませ。

>冬薔薇さま
はじめまして。
隠れ宿のゆったりした時間。
たまりませんよね。
冬薔薇さまのコラムも引き続き楽しみにしています!

>森野小熊さま
浴衣姿が素敵です~
おぉ、美味しいお酒に目がない!
それは…ぜひご一緒しましょう~
浴衣姿でごくっとな。
コラム楽しみにしています!

投稿者: 吉野 斉 (Oct 9, 2004 3:09:21 PM)

はじめましてー。馬鹿旦那です。
我々は、同時にスタートですね。

なんか、締め切り、短く感じません?
土日が挟まったりしてて(身内ネタ)。

とにかく、お互いに頑張りましょう。

コラム、拝見しました。
旅好きにはたまらない文章表現です。
読み手を温泉へといざなう魅力を感じました。

僕も、今のコラムが終わった後は、
ただただ旅の魅力を全力で込めた文章というものを綴りたいものです。

投稿者: 馬鹿旦那 (Oct 10, 2004 1:23:40 AM)

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