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第3回:白河の地酒「千駒」を呑む!甲子温泉「大黒屋」
隠れ家名湯・旨酒探訪 by 吉野 斉(よしのいつき)秋深し。温泉列島日本に何を求める?
今年の秋は難産でしたね。いくつもの台風に耐え、ようやく秋らしい晴れ空が見られるようになりました。秋といえば日本酒は新酒の季節。頬にあたる風が冷たくなると、いてもたってもいられずに旅に出る私です。酔いどれライター吉野斉の「いい湯旨酒」コラム第三回、どうぞよろしく。
温泉列島日本。この季節になると誰しも「温泉でもいきたいなぁ」とつぶやいたりすることでしょう。温泉に求めるものは時に応じて様々。秋の味覚を存分に食し温泉につかるもよし。日頃の疲れを忘れ、つかのまの非日常に身をまかせるもよし。私などは毎日が非日常なので問題外ですが、それもよし(笑)。
温泉といえば本来、体の悪いところを癒す力を持ったお湯。温泉ときってもきれないのが「湯治」と呼ばれる温泉療養です。何日も宿に逗留し、お湯につかり体を休め、静養する。湯治は温泉の力を実感する機会です。かくいう私も虚弱なので湯治目的に温泉に行くことが多いのですが、その中でも「病んだ体を癒す」パワーがすごい!と感じた温泉がいくつかあります。今回はその中の一軒、阿武隈川源流の山奥に佇む一軒宿「甲子温泉・大黒屋」をご紹介します。
阿武隈川をさかのぼり、山奥の一軒宿へ。
甲子温泉大黒屋は東北道白川インターから車で40分ほど走った山奥にある。阿武隈川をさかのぼり、緑いっぱいの道をひたすら走ると大黒屋につきあたる。国道はここでゆきどまり。大黒屋は阿武隈川沿いにたっており、車をおりると水音が心地よい。登山道の入り口でもあるこの宿、建物には無駄な飾り気がない。しかし、建物に入るとすぐに宿の魅力が分かる。
本館から離れを臨む
「はい、いらっしゃいませー」
まるで気取らない仲居さんが福島なまりのあたたかい言葉で旅の労をねぎらい、部屋に通してくれる。
「寒いでしょう?こたつに入ってあたたまってくださいね」
部屋に入ると炬燵があたたまっている。おばあちゃんの家に帰ってきたような、ほっこりした気持ちにさせられる。
ノイローゼの若者が笑い出す!? 名湯「大岩風呂」
大黒屋についたらまずはお風呂に入らなくては!大黒屋の「大岩風呂」は川の岩盤をくりぬいて作られたとてつもなく大きな岩風呂。深さは120センチもあり、立ったまま入浴する珍しいお風呂だ。湯小屋にいくには長い階段をおり、阿武隈川にかかった橋を渡り、対岸へ。混浴の「大岩風呂」と女性用の岩風呂がある。とにかく「大岩風呂」へざぶん。胸のあたりまで湯につかる。ぬるめのお湯でとてもやわらかい。長くつかればつかるほど、体がほぐれていく。
大黒屋の温泉は無色無臭のなめらかなお湯で全国でも稀な石膏泉。このお湯は「ノイローゼの若者が3日で笑い出す」と大学の先生が勧めるほどの名湯。脳神経の病や、頭痛、胃腸病、皮膚病にとくに効能があるという。私もストレス性の病を持つ身なのだが、大岩風呂にゆっくりつかると、とても朗らかな気持ちになるから不思議だ。宿の方に聞いてみたところ、大岩風呂の浴場のマイナスイオンの値が通常より何十倍も多いということが分かっているのだそうだ。マイナスイオンも効能に一役かっているのだろうか。
なめらかでやわらかい大岩風呂のお湯はいくらでもつかっていられそうだ。足もとの岩盤からは時々あぶくが沸いてくる。湯小屋の窓からは阿武隈川の渓流が見える。このお湯にしてこの環境、湯治にはもってこいに違いない。![]()
名湯・大岩風呂。他に男女別の内湯・露天風呂もある。
阿武隈の清水が産んだ地酒「千駒」を呑む!
すっかりほっこり上機嫌の私はお風呂を出ると売店へ。部屋からの眺めもいいし、ちょっくらこっくりいきますか。大黒屋には白河の地酒「千駒」が揃っているので生酒を買って部屋へ。おおらかな山の緑と空を眺めてこくり。水の綺麗な土地のお酒は旨い。「千駒」は一口含むと甘い香り。少しあとにコク。お米の味がしっかりと広がる。媚びず、飾らず、おおらかで。この宿みたいだ。秋晴れの空は高く、空を見上げながら酒を呑むのもいいと思った。
夕食は食事処で。夕食は山の恵みを活かした滋味あふれる郷土膳。阿武隈源流の岩魚の塩焼き、どこか懐かしい焚き合わせ、茶碗蒸し…これも湯治客にはもってこい。無花果(いちじく)の黄身衣揚げは彩りもあざやかでおいしい。ゆっくり流れる時間。ゆっくり呑む酒。次第に体があたたまってきたところで、ぼたん鍋。猪肉は臭みがまるでなく、これならぼたん鍋が苦手な人もおいしくいただけそうだ。
地酒は四合瓶なら「千駒 原酒」「千駒 純米酒」「千駒 にごり酒」も呑める。燗酒も「千駒」。きれいな水とその水で育った米が産んだ日本酒らしい味わいを存分に楽しめる。
私は部屋に帰り、酒を呑みながら窓際で待った。大黒屋でのひそかな楽しみがもうひとつあるのだ。夜遅くなると、野生のテンやハクビシン、タヌキが宿の近くまで遊びにくるのである。待っているとハクビシンが現れた。ここは山の中。阿武隈川源流の山奥。そのことをかみしめ、もう一杯。
それから何より、この宿の宝物「大岩風呂」に今日も多くの人が癒されたことに乾杯!(了)
福島県西白川郡西郷村大字真船字寺平1
TEL 0248-36-2301
※予約は電話予約のみ。
東北本線白河駅より送迎あり。
一泊二食 12750円~
text by 吉野 斉(よしのいつき) | 2004.10.29 | [ 隠れ家名湯・旨酒探訪 ] | 固定リンク | コメント (5) | トラックバック (0)
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コメント
吉野斉様こんにちは。
「大岩風呂」、広くて見るからに気持ち良さそうですね!
ほっこりココロも体も癒される、すごく伝わってきました。
野生のハクビシン可愛かったでしょうね。
きっと動物もここがお気に入りなのですね♪
投稿者: 森野 小熊 (Nov 4, 2004 10:46:51 AM)
吉野さま。
またまた良いお風呂に旨い酒を・・・
下戸の私もいい気分になります。
ここは母との介護の旅のとき 「この道のどん尻まで行ってみよう」とドライブしたとき 辿りついた場所・・・トンネル作る工事をしていました。あの道が開通すると 少し雰囲気が変わるかもしれませんね。
イチジクの料理 私も違う場所で食べましたが
案外 いけますよね!
投稿者: 冬薔薇 (Nov 6, 2004 10:25:48 AM)
大黒屋さん「vow的」情報。
大黒屋さんの離れの先を歩くと「日本一細い国道」があります。
なんとそれは、川をわたるための細い通路(推定50センチ!)
ちゃんと国道の標識がたっています。
そして、そのあと国道はぬかるみ道へと続く・・・
>森野さま
ハクビシン可愛いですよ。たぬきやテンも入れ替わり立ち替わりやってきます。昼間は日帰り入浴にたくさんの人が訪れて、ほんとにあったかい場所です。大岩風呂はぜひ入ってみてほしいです!
>冬薔薇さま
そうでしたか。お母様の介護旅行で・・・。
あの階段を下りるのは大変ですけど、お湯にはとても癒されますよね。
あのトンネルはまだ工事中です。
お風呂ですが、階段を使わずに行ける露天風呂が新しくできたので、お年寄りの方は皆そちらに入っていました。
きっと冬薔薇様がいらした頃と変わらないと思います。
私は大黒屋の宿の方のあったかさがとても好きです。
投稿者: 吉野 斉 (Nov 8, 2004 12:09:06 AM)
馬鹿旦那ですー。
ここんところ、勤める旅館が紅葉シーズンで忙しく、心から笑うことが極端に減った、馬鹿旦那ですー。
笑いたいですね。この温泉なら、久々に笑えるかも知れません。
ノイローゼってほど病んではいませんが。
今回のお宿も風情が満点ですね。
コタツ信者としては、客室コタツは誘惑が強すぎます。
旅、したいですなあ。
投稿者: 馬鹿旦那 (Nov 16, 2004 2:26:30 AM)
馬鹿旦那さま
紅葉シーズンもそろそろ終わりですね。
忙しさも一段落でしょうか?
お疲れ様です。
馬鹿旦那様もそろそろ旅気分ですか?
いやー、このお風呂は不思議なんですよ。
ホントにほがらかになりますから。
こたつは、安らぎますね。
とりあえず、うたたね、してみました!
馬鹿旦那さまも落ち着いたら体を休めてくださいね!
投稿者: 吉野 斉 (Nov 29, 2004 5:46:01 PM)

