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コラム
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2004.10.16

第2回:かけながしの湯宿でワインを呑む!那須高原「山樹庵」

隠れ家名湯・旨酒探訪 by 吉野 斉(よしのいつき)

秋本番、酒の季節到来。
 秋本番。そろそろ紅葉の噂もちらほら聞こえてきます。秋から冬へ。人々が温泉を求めるこの季節は、酒の季節でもあります。実りの秋、食べ物がおいしくなると当然お酒も旨くなるのです。この季節こそ「いい湯旨酒」です。酔いどれライター吉野斉の旨酒探訪コラム第二回目、みなさまどうぞよろしく。

 秋空が高く晴れた日は、午後ワインを飲んでのんびりしたくなります。私は日本酒だけでなくワインにも目がありません。その日の気分にまかせて何を飲もうか考える時間。それは酒のみにとってはなんとも楽しい瞬間です。私の場合、嬉しい日やのんびりした午後はワイン。ごきげんな夜はマイヤーズラム。気が滅入ってる日はジャックダニエル。そしてゆっくり呑みたい夜は日本酒となります。日本酒の銘柄を選ぶのが楽しくてたまりません(分かりますよね、呑み助の皆さん)。根っからの酒のみの私は、甘いお酒は全然ダメ。カクテルが飲めない可愛げのなさが問題ですが、自他共に認める酔いどれなのでそれでよしとします。 

 温泉には日本酒。このとりあえわせは食事との相性を考えると一番しっくりくるのですが、たまには温泉に入った後にワインを楽しみながらゆっくり食事したい!と思う時があります。そこで今回は、かけながし温泉、きどらないフレンチ、そして豊富なワインを満喫できる隠れ宿、那須高原の静かな湯宿「山樹庵」をご紹介したいと思います。

看板を出していない隠れ宿「山樹庵」

 那須高原はいかにも避暑地。宿やペンションがところせましと立ち並び、観光客めあての店に人が溢れる。そのがやがやした道をスルーし、森の中を走った。山樹庵は道路沿いに看板を出していないという。オーナー西原さんの「街を汚したくない」という気持ちの表れだ。私は事前に郵送してもらった地図を片手に山樹庵をめざした。
 道路を折れ、細い道に入るとこっそりと「sanju-an」の看板があるのを見つけた。車を降りてまず深呼吸。今通り抜けてきた観光地が嘘のように、山樹庵の周りに広大な森だけが広がっていた。
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高原をひとりじめ・100%かけながしの濁り湯・20時間ステイ!

「こんにちは」
ロビーに入るとオーナーの西原さんが笑顔で迎えてくれた。
「まずはお風呂で疲れをいやしてください」
のお言葉に甘えて、お風呂へ。
浴室に入ってびっくり。硫黄の匂いがする。浴槽には綺麗なエメラルド色のお湯がたっぷりとたたえられている。たまらず私はお湯につかった。体にしみいる感覚、それでいて熱くないのでゆっくりとお湯につかっていられる。体の芯からじんわり熱くなる。お風呂の外には森の樹々。ゆらめくお湯の表面に緑が移る。本物の温泉だなぁ。外から小鳥の鳴く声がきこえる。
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 お風呂にのんびりつかっていられるのにはワケがある。山樹庵では火曜日・木曜日は二組限定で貸し切りになるのだ。100%かけながしの濁り湯、ゆっくり20時間ステイ、そしてオーナー手作りの特別フレンチ、選りすぐりのワイン。この特別プランは高原の静かな休日を満喫してもらおうとのもの。邪魔されることなくゆっくりと寛ぎたい…そういう人のための特別プランなのだ。
 山樹庵のお湯は単純硫黄泉で、源泉は近くの火山・茶臼岳方面からひいているという。お湯の色は天候や温度によって毎日変わるそうだ。


和皿で頂くきどらないフレンチで、ワインを呑む!
 
今回、私が一番楽しみにしていたのは風呂上がりのワイン。お湯を堪能した私がホールにおりていくとおいしそうな香りが漂ってきた。お食事はオーナー手作りのフランス料理。特別プランの日は、和皿に盛りつけお箸でいただくスタイルになる。これなら肩がこらずにますます寛げる。
 さて、お楽しみの夕食。食前酒のキールをひとくち。うん。美味しい。カクテルが苦手な私もキール・キールロワイヤル・アメリカンレモネードなどワインベースのカクテルなら好きなのです。さて、ワインを頼もうか。今日は那須牛を使ったメニューが出ると聞いていたので、私は手頃な値段の赤ワインを探した。よし、これにしよう。イタリアワインのボッラ・ヴァルポリチェッラ・クラシコ。
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 一品目が運ばれてきた。「エビのうにソース」さっぱりしていて不思議に上品な味だ。そしてワインをひとくち。うん、ミディアムで軽やかさのある赤で、お料理にぴったり。チョイス成功。赤ワインはグラスにのこるしずくに光を反射させると綺麗なんですよね。普段は渋みのしっかりした赤が好きな私ですが、今日はこのワインで正解。
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二品目は「エスカルゴのバジルソース」。お酒はおいしい肴と一緒に飲んでこそ味が引き出されるもの。赤ワインはますますおいしくなってくる。続いて「かさごの香草パン粉焼き」。オーナーのお料理は絶妙に上品。実はオーナーの西原さん、山樹庵をはじめた3年前からお料理をはじめたとのこと。これには驚いてしまいました。「おいしい!」を連発する私にオーナーさんは「なかなかレパートリーが増えなくって」と照れ笑い。
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 それから運ばれてきたのが「那須牛のビーフシチューにフォアグラをのせて」。うわぁ。これは期待通りのお料理。土地のご馳走で酒を呑む。これ極楽。今回私はイタリアワインを選びましたが、もちろん地元の足利ココワインもオーダーできます。那須の味覚も那須の美酒も堪能したい方は足利ココワインをご賞味あれ!
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 食事のあと、オーナーの西原さん夫妻とおしゃべりしました。「山樹庵にはほんとうに寛ぎたい人に来て欲しい」と西原さん。お金が余っている人や、何もないことの贅沢を感じられないような人ではなく、ここで心から寛いで休んでいってくれるお客さん。そういう人に来て欲しい…その気持ちは私にも伝わりました。西原さん夫婦と楽しく飲みながら夜は更けていきました。

番犬・ベルのお昼寝

朝めざめた私は、朝風呂へ。やわらかい朝の光のさしこむお風呂で、昨晩オーナーさん夫婦と話したことをぼんやりと考えた。山樹庵の周りには緑しかない。でも900坪の緑の中には小川が流れ、山女魚が自生しているという。一度お掃除をすると浴槽いっぱいにためるまで六時間かかるという天然温泉。そして手作りの料理。ここにはそんな宝物がたくさんあって、それをご夫婦ふたりで守っていらっしゃる。その姿はとても素敵だ。心疲れた人が訪れ、心を休めて、癒されて日常に戻っていく。そういう場所であってほしいと思った。
 お風呂上がりに外に出て散歩していると、この宿の番犬ベルのお昼寝に遭遇。ベルはもう老犬だからかその寝姿は無防備でかわいい!眺めていると、オーナーの西原さんがひょいっと現れて「この環境だし、ベルにはいい余生なんじゃないでしょうかねぇ」ととびっきりの笑顔をみせてくださった。
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朝食は奥さんの手作り。朝の光にテラスから見える緑が気持ちいい。朝食には手作りジャムが二種類添えられる。母の手料理を食べているような懐かしさを感じながら、パンをおかわり。
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山樹庵には「くつろぎ」という言葉がよく似合う。東京から約二時間。なんだか疲れたなと思ったら、ここへきて「くつろいで」ほしい。(了)

山樹庵HP

■火曜・木曜特別プラン
二組限定 一名様12500円
※天然かけながし温泉・20時間ステイ・那須牛を使ったフレンチでゆっくりと寛いでください。

■通常 一泊二食10800円~

text by 吉野 斉(よしのいつき) | 2004.10.16 | [ 隠れ家名湯・旨酒探訪 ] | 固定リンク | コメント (4) | トラックバック (0)

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コメント

これまた 素敵な 隠れ宿ですね。

コラムの行間に
ここで寛いだ時間が感じられます。

吉野さんの文章のリズム・・・
ここちいいです。

お料理も ご主人の
「いたわり」が感じられますね。

投稿者: 冬薔薇 (Oct 19, 2004 1:54:06 PM)

吉野斉様、こんにちは。
“本物”のステキな隠れ家をご存知なのですね・・・。
温泉は、もちろんお湯自体も大切ですが、ココロのこもったおもてなしほど、シアワセな気分を盛り上げるものはありませんね。
お料理を拝見してよだれが!!!(爆)
これはもう、ご一緒するしかありませんね♪
とことんアルコールもつき合わせて頂きます!

投稿者: 森野 小熊 (Oct 19, 2004 7:43:36 PM)

こんにちは。
読んでいて思わず行きたくなり、検索してみました。
すると小学生未満は宿泊不可なんですねー。
家族で楽しもうと思ったんですが、その計画が脆くも崩れ去りました。
しかし、何かとうるさくなってしまう子供によって、他のお客様に迷惑がかかるからというオーナーの配慮なんだと思い、数年我慢することにしました。
いつか宿泊したいと思います。

投稿者: あっきー (Oct 21, 2004 8:33:11 PM)

馬鹿旦那ですー。
いい宿ですねえ。

このように少ない組数限定で心づくしの接客をする宿には、通常の旅館では太刀打ちできない、なにものにも代えがたい感動がありますよね。

良い宿を拝見すると、こちらも良い仕事をしなければ、と活力がみなぎります。
次回も楽しみにしております。

投稿者: 馬鹿旦那 (Oct 23, 2004 4:19:56 PM)

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