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第4回:奥秩父の地酒を存分に愉しむ!「御宿・竹取物語」
隠れ家名湯・旨酒探訪 by 吉野 斉(よしのいつき)「大人の隠れ家」って…
驟雨とともにどうやら秋は去ってしまったようです。気がつけば冬の足音。皆さん、この秋はもう温泉に出かけましたか?吉野斉の「いい湯旨酒」コラム第四回、どうぞよろしく。
テレビをつけると温泉番組ラッシュ。本屋に行けば温泉本が平積みに。そう、この季節日本人は心も体も癒されたがっているのです。しかし…この頃吉野はよく思います。
「“大人の隠れ家”ってコピー、もうそろそろ飽きた。。。」
数年前からはやりだしたこの言葉。最近濫用されすぎだと思うんですよね。どこもかしこも「大人の隠れ家」。ってホントに隠れてんの?と突っ込みたくなります。では、これに代わる言葉がないものか。しかし考え出すとこれが難しい。いやらしくない絶妙なバランスの言葉なんですね、これが。
なぜ、こんなことを私がいきなり書くのかというと、今回ご紹介する宿も「大人の隠れ家」とおすすめしたい宿なんです。それは奥秩父の「御宿 竹取物語」という割烹旅館。
今日だけはお子様はお留守番。恋人同士、夫婦で、または秘密旅行で(ウフ♪)。特別な時間をふたりで静かに過ごしてほしい。そんな隠れ宿なのです。
入り口すら隠れてる?「竹取物語」を探せ!
御宿 竹取物語は奥秩父荒川村の入り口にある。浦山渓谷を懐に抱く竹林の中のお宿。こだわりの割烹旅館だ。しかしお宿にたどり着くには、まず竹取物語よろしく竹林を探すこところから出発しなければならない。というのもこのお宿、道路からはまったく見えない、国道を曲がった田園風景の奥にひそんでいるからだ。初めて行く方、国道沿いに「御宿・竹取物語」という看板を見つけたら疑わずにそこを曲がってください。私は何度か迷子になりました(笑)。
国道を曲がるとぶどう農園があり、その先に竹林の玄関がある。全6室の静かな隠れ宿。玄関を入るとモダンな内装。光をいっぱい取り入れた廊下からは竹林と渓谷が眺められる。ロビーは夜はバースペースになる。隠れ宿の夜はこだわりのバーに早変わり。
「素敵!」と早くもフライングする自分を抑えつつ、お風呂に向かった。
竹の緑に包まれて、ふんわり未体験の温泉へ
竹取物語の野天風呂は竹林の中にある。私は竹林が好きだ。とくに雨があがったあとの竹の青がたまらなく好きなのだ。野天風呂は大小二つの樽型。私は小さいほうの樽風呂に入った。全身つかると、ふわーっと体が浮かぶ感覚。同時にふっと安らぐ気持ち。なんだろう。温泉好きの私だが、こういう感覚のお風呂ははじめて。竹林の中で、ふんわり宙にういているような不思議な感覚なのだ。それでいて、体中がぽかぽかあったまってくる。

お風呂から出ると早速おかみさんに聞いてみた。
「炭酸泉という独自のお湯なんですよ」
この炭酸泉は装置で人工的に作られた物で、いわゆる温泉とよばれる地中から湧出するもの ではないが、天然にも勝るという。 人工炭酸泉をお風呂に利用している宿は、世界中見渡しても、まだ、数えるほどしか無いとか。
「不思議な感覚ですね」
と話すと
「子宮の中にいる感じと言われるんですよ」
とおかみさん。
確かに。ふわーっと浮かんであたたかくて安らぐ。思わぬところで子宮体験。
大小の樽風呂と内湯はそれぞれ炭酸濃度と温度が違うので、それぞれ試すのも楽しい。温度が低めなのに不思議とあたたかく、長湯していられそうだ。

こだわりを極めるとこうなる。すべて手作りの絶品料理!
夕食の時間、私にはいくつも楽しみが待っていた。
まずこだわりのお料理、それから豊富な地酒。ここでは厳選の地酒八銘柄の中から三種類選び、利き酒セットとして楽しめる。竹の香りを楽しみたい人は竹酒を。香りを逃がさないように、注文が入ってからご主人が竹を切り徳利とと猪口を作ってくれる。竹酒を試したい人はご予約を。
そして意外に知られていないのだが、この宿には豊富なワインも揃っている。ワインセラーにも美酒が並んでいますよ。お料理はワインとの相性もよいので、ワイン好きの方はぜひワインを飲みながらお食事を!

料理はすべて手作りで土地のものを味わってもらう。そのこだわりぶりはさすがだ。先付けのヒメマスの薫製と自家製生ハムはご主人の手作りで、何時間もかけて燻しあげた手の込んだ逸品。どちらも深みのある味わい。生ハムのチーズ和えを食べるとワインを飲みたくなる。利き酒セットを注文したばかりの私、ワインにしておけばよかったかなとちょっとだけ後悔。

自家製くるみ豆腐はお宿の一押し。ぷるぷるのクルミ豆腐もご主人の手作り。口の中で甘みとくるみの食感が広がる。味は高野山のごま豆腐に近い。次は秋を感じさせる一品「きのこの素焼き」。秋の味、きのこをふんだんに使い、卵を使ってふんわりと焼き上げたもの。和食のような洋食のような不思議な味で、これがまたおいしい。やわらかではんなりした味わいの中にきのこの食感。秋ですね。
秩父の厳選地酒。利き酒を愉しむ。
しばらくすると色鮮やかなガラスの猪口三つと地酒が運ばれてきた。お待ちかねの「利き酒セット」だ。
「料理にあうものを三種類おまかせで!」
とわがままな注文をした私。どんなお酒がくるのか楽しみに待っていた。まず一口ずつなめる。「辛口」と「あっさり」と「上品」の三つの味が出そろい、綺麗なガラスの猪口が光を映し出す。

まずは和久井酒造の「秩父自慢」。まずは一杯、こくり。強い辛みと押しの強さがあり、辛口好きの私にはたまらない。次は矢尾本店の秩父錦吟醸酒「升屋利兵衛」。こちらはあっさりとした味。少ししてさわやかな香りが残る。最後は柳田総本店の「武甲正宗・純米酒」これは旨い!!まろやかな口当たり、しっかりとした旨味。辛さが口の中に残る。地元の「若水」というお米を使って作られているようだ。どのお酒も個性があり、とぎすまされている。地酒の品揃えも酒好きのご主人のこだわりのなせる技だろう。特に「武甲正宗・純米酒」には参りました。思わず「幸せ~」と笑顔になってしまいます。

大吟醸用の専用グラス。透き通った中に銀箔が光り、とても綺麗。
お料理の中でも「栗の渋皮煮」は脱帽ものです。これを作るにはとても時間と手間がかかるそうですが、季節の味を凝縮した上品な一品でした。「山の宿では山のものを」というポリシーで、お造りはひめます、焼き物は「紅鱒の竹皮包み」と山の素材を使うことに徹底。陶板でいただく蒟蒻はご主人のお母さんの手作りだそうだ。くさみがなくてぷりぷりと歯ごたえが嬉しい。お酒も進みます。綺麗なグラスの数々は地元のガラス作家さんに作ってもらったオーダーメイド。ビールのグラスはほどよく泡がたち、唇のあたる部分がなめらかな曲線を描いています。
美味しい酒を呑む。美味しく酒を愉しむ。その時間を大切にする。あらゆるところにこだわりと気配りが感じられ、酒のみの心をくすぐるのです。
食事処の「月み野」からはライトアップされた林が眺められ、雰囲気もしっとりと落ち着いている。この空間には大事な人とゆっくり語らう夜が似合う。時間をかけてお料理を楽しみ、それぞれの好きなお酒を楽しむ。日本酒だけでなくワインセラーの中身も要チェック。ワイン好きの私はワインにも心を奪われ、めろめろでした。もちろんビールも特製グラスで飲めます。お湯上がりの最初の一杯には美味しい生ビールを。
シングルモルトで更けゆく竹取の夜
「月み野」でのお食事を終えたら、竹取の湯から月見の湯浴み。豊富な自然に囲まれた露天でさらさらと竹の葉がそよぐ音を聞いた。騒がしいものは何もない。思う存分お湯に「浮かんで」月を眺めていた。
お風呂上がり、まだ飲みたいと思ったら、ご主人こだわりのバースペースへどうぞ。こちらはシングルモルトのウィスキーばかりを集めたバースペース。半日かけて燻しあげた「ひめますの薫製」は、最高の肴です。
竹取の夜は、物語よろしく「夢見心地の月見酒」。つかの間浮世を忘れて過ごしたい。
そばに大事な人がいればいうことなし。願わくば、朝になっても醒めない夢を…(了)
奥秩父温泉郷 「御宿 竹取物語」
一泊二食 13200円~
西武秩父駅より送迎有り
御宿竹取物語HP
text by 吉野 斉(よしのいつき) | 2004.11.16 | [ 隠れ家名湯・旨酒探訪 ] | 固定リンク | コメント (6) | トラックバック (0)
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コメント
秩父はよく通う場所で ここの存在も存じております。一度は宿泊して 竹の精と戯れたいと思っていますが なかなか予約がとれなくて・・・
いつになったら「かぐや姫」になれる事やら・・・
投稿者: 冬薔薇 (Nov 20, 2004 9:34:34 PM)
冬薔薇さま
秩父、私もよく行くんです。ちなみに、紫原「かやのや」さんもひいきにしています。「竹取物語」さん、おすすめですよー。道を入ると、こんなに静かな宿が隠れてたなんて!とびっくりです。荒川村はおそばも美味しいですね。
お酒を飲まれない方でも、お食事がおいしいのでおすすめですよー
投稿者: 吉野 斉 (Nov 22, 2004 8:00:43 AM)
かぐや姫になられた吉野斉様、こんにちは。
竹には不思議と安らぎを感じますね。
竹酒、蒼い竹の香りとお酒のコラボレーションを想像するだけで・・・。
子宮体験のお風呂も是非体験してみたいです。
投稿者: 森野 小熊 (Nov 24, 2004 12:17:58 AM)
森野さま
かぐや姫吉野です。実にゆったりできるお宿です。休みたいな、という気分の時にぜひおすすめです。
さて、つかのまかぐや姫を味わった吉野。次回はロック姉さんに戻ることになります。。。(笑)
投稿者: 吉野 斉 (Nov 29, 2004 5:39:33 PM)
馬鹿旦那ですー。
大人の隠れ家。
私の勤める旅館も、最近、そう呼ばれるようになりました。
もともと国道から離れているため、場所がわかりにくかったんですね。
雑誌に「大人の隠れ家」として始めて取り上げられた時、
「良い褒め言葉があるんだなあ」とか、
「うわあ、ものは言い様だあ」とか、
「弁護って、できるんだあ」などと感心したことを覚えております。
それはさておき、今回の宿も良いですね。
「利き酒」は、最近ではあちこちの旅館が採用している企画で、業界ではちょっとしたブームなのかもしれません。
酒好きにはたまらないですね。身体には気を付けてくださいね。合掌。
投稿者: 馬鹿旦那 (Dec 7, 2004 10:13:59 AM)
馬鹿旦那様
「大人の隠れ家」素敵に浪漫漂う言葉です。
濫用されすぎのような気もしないでもないですが、やっぱり魅力的な言葉ですよね。
馬鹿旦那さんのお宿も「大人の隠れ家」なのですね。むぅ~惹かれます。
離れ宿・一軒宿・旨酒の宿に眼がない吉野です。
地酒を楽しむとなると、一銘柄だけでなくもっと飲みたい。そういうわがままを満たしてくれる「利き酒」はアトラクションとしても楽しいです。
とくに今回の「竹取物語」さんの厳選地酒は本当においしかったです。ご主人のこだわりに感服でした。
馬鹿旦那様も体には気をつけてください!
投稿者: 吉野 斉 (Dec 14, 2004 6:01:45 PM)

