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第6回:新潟・これから…。心を癒す宿「万座温泉ホテル」
隠れ家名湯・旨酒探訪 by 吉野 斉(よしのいつき)早いものであっという間の第六回です。吉野斉の「いい湯旨酒」コラム、最終回は予定を変更して「お酒を飲まない」ちょっとまじめな温泉話を。
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万座温泉ホテルの「極楽湯」
このコラムを連載中に、新潟で大地震が起きました。多くの命が失われ、多くの人が今極限の状態での生活を強いられています。前回のコラムでも書いたとおり私はこの夏、一瞬だけ新潟に足を踏み入れました。緑豊かな美しい土地でした。魚沼郡をとおり関越道へ。私がたどった道のりは、今まさに震災で揺らいでいる場所です。壊れたのは家や橋や高速道路だけじゃない。むしろ一番の傷を負っているのは人の「心」です。
どうしてこんな話を急に書くのか、それには理由があります。私が貧乏フリーライターながらも何故温泉に足繁く通っているのか? 実は吉野斉と温泉とのつながりとも関わっているのです。
私は解離性障害という病気を患っています。「PTSD」という言葉をご存じの方も多いかと思います。阪神大震災のあとに多くの被災者がトラウマによる心的障害を訴えたことは記憶に新しいでしょう。 PTSDは「心的外傷後ストレス障害」の略で、自然災害や戦争、犯罪などの被害にあった人など大きなトラウマ体験をした人に発症する可能性のある障害です。そして「解離性障害」はPTSDの中でも症状が複雑なC-PTSD(複雑性PTSD)の患者が発症することの多い障害です。
解離性障害は大災害・戦争・犯罪…自らの命を脅かすほどの強烈なトラウマを体験をした人に発症する可能性があると言われています。またトラウマ体験が幼いときのものであるほど発症しやすいと言われています。私の場合はある犯罪の被害にあったことが原因です。
今、新潟で多くの方々が被災されています。小さなお子さんも多くいらっしゃいます。家屋が倒壊して助け出された方。苦しい避難生活を送られている方。厳しい冷え込みの冬、精神的にギリギリのところで自分を保っている方。被災者の方の中で心のバランスを崩し数年後にPTSDや解離性障害を発症する方はきっといらっしゃるでしょう。
吉野斉は解離性障害の中でも解離性同一性障害と呼ばれる症状を患っています。この障害は今の日本の精神医学では治療の方法がないと言われています。実際、私は主治医から「治療する術がない」と告げられました。専門医を訪ねても答えは同じでした。
毎日襲う発作や辛い症状。どうしていいかわからなくて明日も見えなかった時。家人が何も言わずに車を走らせてくれました。到着したのは湯治場をかねた群馬県の温泉・万座温泉ホテルでした。万座温泉ホテルには「万病を治す」と言われている「苦湯」をはじめ九種類の温泉があります。苦湯の効能はいろいろな方が難病を克服した体験からも分かるとおり、とにかく「効く」と実感できる温泉です。
私は関東では万座に勝る名湯はないと思っています。効能に「脳病(つまり昔の言葉で神経衰弱=精神病)」と書いてあるのをはじめて見たときには、思わずウケて写真をとったりしてしまった吉野ですが、今考えると申し訳ない位です。万座のお湯は私の心を確実に癒してくれます。別天地のような大自然と、豊かな温泉。
万座温泉ホテルに物質的な贅沢を求めてはいけません。贅沢するための旅行だったら高級旅館に泊まればいい。万座温泉は湯治場です。いわば病める人のオアシス。心の泉ですから。(ね、オーナーの泉さん!)
万座温泉ホテルでは食事にも一工夫。「まごわやさしいご飯」と銘打って「豆・ごま・わかめ・野菜・しいたけ・芋」を材料にヘルシーな夕食が食べられます。これも湯治メインの温泉ならでは。毎日温泉療養しながら、栄養にも気を配った低カロリーのお食事が食べられます。またこの夏には体が不自由な方のための貸し切り温泉もできました。
本当の意味での「こころの贅沢」を用意して、いつでも待っていてくれる。それが万座温泉ホテルです。
治療法もなく、毎日の症状になす術もなく、それでも希望を持って生きていたい…。病気に翻弄されていた私が最後に助けを求めたのは「温泉」だったのです。今でも私は足繁く万座温泉へ湯治に通っています。
今から5年後、10年後。私の病気は治ってはいないでしょう。
今から5年後、10年後。新潟で被災した子ども達が大人になる頃。
被災した子ども達の中には解離性障害を発症する子がいるでしょう。
そのことを思うとものすごく苦しくなります。
その時、治療法が確立されているのかどうか。私には分かりません。
けれど、そのときも温泉は変わらずあるでしょう。
人々が季節を感じ、お湯を愛で、体を癒す場所。
そして何より「心を癒す場所」。
新潟の被災者の方々が一日も早く穏やかで何も起こらない日常に戻れることを祈っています。
様々な病を抱える方々が、いつもどこかで温泉に癒されている。
そんな穏やかな温泉列島・日本でありつづけてほしい。
いろんな願いを込めてこのコラムを終えます。
吉野斉はいつもどこかで放浪旅人していますよ。
焦らずぼちぼちお湯でも入ってこくりとな。
吉野 斉
「万座温泉ホテル」のHPへ
@nifty温泉「万座温泉ホテル」詳細ページへ
text by 吉野 斉(よしのいつき) | 2004.12.14 | [ 隠れ家名湯・旨酒探訪 ] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック (0)
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コメント
私もある意味 「PTSD」です。
自分自身の病気で 体験したことや
やはり ある「犯罪」によるものです。
以前よりは「快方傾向」にあり ずっと症状も楽になりました。でも 時々夢でうなされたり ふと
その時の光景が脳裏をよぎり 何ともいえぬ「動揺」に心のおき場所がなくなりそうになります。
吉野さんが「温泉」に癒されたこのコラムが
心病む同士の方々に 心強く伝わるといいですね。
万座温泉ホテル・・・私の好きな温泉のひとつです。そして「新潟」は第2のふるさと・・・「介護の旅」でもお邪魔しましたし 「観光視察」で沢山の方々と触れ合う機会がありましたから
一日も早い復興を願うばかりです。
吉野さんと一緒にコラムを書くことが出来て とても楽しかったです。3ヶ月間 お疲れ様でした。
投稿者: 冬薔薇 (Dec 14, 2004 11:14:18 PM)
ロック姉さんの吉野斉様こんにちは。
こころを癒す場所・・・これほど適した場所が
温泉以外に存在するでしょうか。
毎回ホントは「誰にも教えたくない本物の
秘湯」を教えて頂き有難うございました。
そして連載お疲れ様でした。
いつか姉さんのロックを聞きに伺います♪
投稿者: 森野 小熊 (Dec 20, 2004 9:25:52 PM)

