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第5回:「涼しさを求めて北大路へ」~初音温泉で蕎麦とお風呂を堪能す~
「京都のお風呂もよろしおすえ」 by 吉村智樹酷暑が続いています。全国各地で観測史上最高気温を記録し、熱中症や熱射病に倒れる人が続出。
京都の暑さ、いや熱さもまた、格別に強烈。涼を得るために鴨川を訪れたら……、
夏草がぼうぼうと生い茂っていました。鴨川って、こんなんだったっけ? まるでアマゾンのよう。この光景には思わず驚きの声をあげてしまいました。
これほどまでに暑いと、人手が多い観光地に出かけることを躊躇してしまいます。嵯峨野の竹林、保津峡のトロッコ列車など、京都には涼やかな場所がたくさんあります。しかしそんなオアシスを求める人々がごった返しているのかと思うと、「いまはちょっと、やめとこ」と二の足を踏んでしまいます。
そこでお薦めするのが、郊外です。
静かで、緑豊かで、通り抜ける風が涼しい、身も心もクールダウンさせてくれる街が京都にもあります。それが北大路(きたおおじ)。夏の京都の穴場です。ハンカチ王子、ハニカミ王子の次にクルのはキタ大路だと、アタクシ断言させていただきます!
「北大路って、どこだっけ。北大路欣也なら知ってるけど」という方のために、京都駅からご案内しましょう。
北大路は京都市営地下鉄烏丸(からすま)線『京都』駅から8駅目。約14分の乗車です。
改札を抜けると、
蝶ネクタイのシルクハットボーイがお出迎え。
さすが烏丸線。高級住宅街を駆け抜ける路線なので(東京に例えるなら、ズバリ東急東横線)、看板すら正装で迎えてくれます。
ホームへ下りる階段のそばでは、
シルクハットボーイズが京都の興味深いイベントを告知しています。
プラットホームにもいた!
エスカレーターの前にもいやがった! それぞれが、さまざまな注意書きを持っています。なんだかハイクラスなホテルにいるかの如き護衛ぶり。
グリーンラインの列車が着きました。
これに乗りましょう。大阪や兵庫県だと列車は野球色全開になるのですが、京都はやはりサッカー。京都サンガF.Cの広告が列車のボディに。蹴鞠文化のDNAは、いまなお京都人の体内に受け継がれています。
ささ、『北大路』駅に到着しました。改札を出ましょう。
またいやがったシルクハット野郎! よく見ると、後方にももうひとりいる。どうやら烏丸線全駅に配されているようです。ご苦労様です。
駅を出ると、
いきなり大谷大学キャンパス。駅から徒歩30秒。京都は「大学の街」でもあり、駅前に建つ大学が多いのも特徴。学生をとても大事にしているのがわかります。
振り向くと、
キタオオジタウンがあります。ビブレや各種ファミリーレストランがあり、お買い物や食事が楽しめます。
他都市では当たり前な光景ですが、京都では景観保護のため、駅と大型ショッピングモールが合体している例がとても少ないのです。チト語呂の悪いキタオオジタウンを見ていると、「郊外に来た」ことをより一層実感します。
北大路通りに立ってみました。街をハイソなムードが包んでいます。たこ焼き屋さんも、
フレンチレストランと見紛うばかりの造り。
北大路橋に出てみると、
山の稜線がくっきり。いい眺め。京都は空が広いです。
橋の下を賀茂川が流れ、向かって左手に府立植物園があります。さらにこの一帯はユリカモメの飛来が見受けられる貴重な場所で、保存会もあります。実に自然豊かな街なのです。
それだけにこの街は単にハイソなだけではなく、ネイチャー、ロハス、オーガニック、ハーブ、ガーデニング、無農薬、有機野菜など自然由来な文字が散見。
赤れんが風タイルが敷かれた商店街に、
よしず張りのお店が。無添加素材を使った手作り定食&お弁当のお店「ツルオカショクドウ」。
おからコロッケ……気になる。素通りできないではないか。
コ腹がすいてきたので、ちょうどよかった。ふたつ、くださ~い。
注文する度に揚げるので、少々時間がかかります。でも快い風の吹くこの通りで景色を眺めていると、待ち時間もまったく退屈しません。
できあがったのが、これ。揚げたての、あっつあつ。
デカ~い! コロッケというからもっと平べっちゃいのかと思いきや、ソフトボールのよう。割ってみると、
キメ細かい新鮮な卯の花がたっぷり、満タン。
国産大豆、天然にがりを100%使用した安心の一品。食べると、雪のように舌の上でさらさら溶けてゆき、卯の花の実力のほどがうかがえます。これはもう卯の花ではなく雪の華。中島美嘉にも食べさせたい。植物繊維たっぷりですから、油で揚げているのにサッパリした後味。こんなに大きくて一個150円は安い。
お腹の虫が抑えられたところで、少し歩きましょう。僕の京都行脚の第一目的は銭湯。この街でもステキ銭湯に出会いたいものです。
しばらくぶらぶらしていると、
キュービックな建物に出くわしました。遠目に、温泉マークが描いてあるように見えますが?
ああ、やっぱり銭湯だった。「初音温泉」か。風流な名前。北大路にぴったり。今夜はここに入らせてもらおう。
ん?
隣に、銭湯と同じ名前のおそば屋さんが。
階段がありますね。どうやらこの建物、一階が銭湯で2階がおそば屋さんになっているようです。同じ名前ということは、もしや「そば屋もやってる銭湯?」。だとしたら、それは凄く珍しい。
さっき、おからコロッケをふたつ食べたばかりですが、美味しいものをいただいて逆に食欲が刺激されていたところ。それに「風呂の前に蕎麦」とは、究極の風情、いなせじゃないですか。ひとっ風呂浴びる前に蕎麦をたぐろうってなぁ、こんちこれまたイキでゲスなアニさん(なぜ急に江戸の落語家みたいに)。
2階のおそば屋さんにあがって尋いてみると、やはり銭湯もこの店も同じく家族でやっていらっしゃるとのこと。京都は、ほっんと、ユニークな銭湯が多い。
お店のなかは、和モダン。落ち着きます。
せっかく京都に来たのだから、名物「京にしんそば」(950円)をいただきます。
にしんそばは京都生まれ。海から遠い京都は、それゆえ干し魚料理の技術が発達しました。甘露煮した香ばしい身欠きにしんをそばの種に使ったところ、これが評判になり、京都中に広まったそうです。
確かに、ンまい。にしんは甘いところあり、苦いところあり、野趣溢れるそばに合うんです。国産そば粉と2種類の山芋を使った自家製麺が芳しく、素朴で、けっこう歯ごたえがあります。
ふと「ここ、自然食の店が多い北大路を象徴してるな」と思いました。そういう地場、というか磁場があるのかな。
あとで聞いたら、「一階の銭湯からそばの出前がとれる」とのこと。そっちもよかったな~。
いよいよ一階の銭湯へ。
玄関の照明に暖色のほの灯りを使っているのが、他の銭湯とは違うところ。
犬の玄関マットがカワイイ。
脱衣場のガラスはアーチ型。いわゆる「街の銭湯」とは随分印象が違います。
タイルのカラーリングも、白と黒。デザインも先鋭的です。銭湯でこの色遣いはなかなか見られないですよ。むかし「クリームソーダ」っていう50'sファッションのブティックチェーンがありましたが、あんな感じ。
浴室に入って、いきなり目に飛び込んできたのは、
アクアリウム! 広い広い浴槽の向こうに水槽があしらわれ、熱帯魚が泳いでいます。
サウナもきれい。しかも無料! 温度は100度。かなり熱いです。
ほかにも薬湯にはテレビがついていたり、男湯と女湯の境界に観葉植物が並んでいたり、洗い場は椅子ではなくプラスチック製のシートだったりと、旧来の銭湯のイメージを覆される趣向がいっぱい。スーパー銭湯を越えたウルトラ銭湯。
見た目だけではなく、地下100メートルから汲み上げた水は清廉そのもの。水がしゃきしゃき活きてます。
この初音温泉、創業が昭和2年だというから驚かされます。伝統がありつつ、変革もあり、オリジナリティがある。温故知新の志が、肌身に沁み渡ります。
身体だけではなく心も洗濯できた。いい夜だったなあ。
北大路の駅から帰路につこうとしたら、
シルクハットボーイズがズラリ。こんなにたくさん。多すぎ多すぎ。
「初音温泉」
住所:京都市北区小山初音町15
営業時間:15:00~02:00 日曜日は07:00~02:00
休日:木曜日
料金:390円
@nifty温泉「初音温泉」詳細ページへ
▼ おまけ ▼
ということは、これまで休園してたのか?
text by 吉村智樹 | 2007.08.14 | [ 「京都のお風呂もよろしおすえ」 ] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
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