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コラム
おフログ

2005.09.20

最終回:馬鹿旦那とおつかれおつかれ

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

それはそうだ、という話なのですが。

コラムライター経験もなければ連載経験もない僕ですので、いったいぜんたい、連載というものをどうやって締めくくればよいのか、まったくわかりません。
作家の方々はすげえなあ、と、しみじみ思う次第です。

つまりは、最終回なのですよ。
これがいっときのお別れであるのか、このまま普通の支配人に戻って、可愛い部下たちと、

「支配人ーっ、ヤキソバパン!」
「えっ?・・・でも、おれ、支配人だし」
「支配人!ぶちますよ!」
「・・・わかったよ、行くよ・・・。行くけど、そのかわりぶつなよ」

と、微笑ましいやり取りを交わす日常に帰ってゆくのか、それは謎です。

今回は最後ということで、これまでのお話を1話1話振り返って、簡単ではありますが、裏話なんかも出来ればな、と思います。
最終回にして今回初めて当コラムをご覧いただいたかたには、目次・インデックスのようなものとしてもご利用できるかもです。


第1回:馬鹿旦那とレジオネラ菌

さあ、たいへんだ、コラムライターだぞ、せいやせいや。
というテンションと、当時は色濃かった「温泉」そのものの汚名返上に対する気合。
ものすごく情熱と希望にあふれた文章。だれだ、この文章を書いた人間は?
当時大問題となっていたレジオネラ菌に対する恐怖心を、「いやいやそんな危ないもんでもないんですよ」と払拭したく頑張った回。
今はだいぶん収まりましたが、このコラムを書いた時期が温泉問題のピークでした。
何かといえば「温泉でまた事件が!」と騒ぎ立てるメディアは数知れず。実際の温泉問題とは異なる些細な事柄すらも、ネタとされ問題とされていた暗黒の時期でした。
そのうち「温泉の湯船で児童がおしっこを!」ぐらいの騒ぎでもニュースとして取り上げられるんじゃないかという、それぐらいの勢いを感じておりました。
ですから、この回が腫れ物に触るような文章形態であることも、納得といえば納得なのですよ。
ちなみに@nifty温泉スタッフの皆様には、foomin氏のイラストが大変インパクトを与えたらしく、好評。文章がかすむほどに好評。めちゃ好評。イラスト最高。最高イラスト。
文章担当としては、落ち込むばかりでした。
寄せられたコメントの数もご祝儀なのか、関心の深い問題を取り上げていたからなのか、ナンバーワン。あとは下がる一方。

第2回:馬鹿旦那と旅行会社

お客様にとってはいまいち不透明な「旅行会社」のシステムを取り上げることで、その問題点と素晴らしさ。効果的な利用方法を解説。
「順序だてて説明すること」の重要性に気付くとともに四苦八苦。
やや小難しい話ではありますが、大切で貴重な「温泉旅行」で大失敗しないためにも、ご活用いただけたら幸いです。
この段階で、早くも大筋である「温泉」というテーマから逸脱。まあ、まったく関係ないこともないのでご勘弁を。
ここでツッコんでたら、この先ずうっとツッコみっぱなしです。


第3回:馬鹿旦那と温泉地在住

この段階で、すでにカタい話に飽きを感じ始めた馬鹿旦那。
温泉地にまつわる衝撃的な雑談で小休止を図っています。
お茶を濁す、とも言います。
「馬鹿旦那の生まれ育った温泉地では、皆さんの常識を覆す、とある出来事が日常である」
この雑談に関してはかなりの反響がありまして、びっくりでした。本当に、どうにか探し出して入ろうとか、やめてくださいね。
また、この回では、当コラムに訪れたお客様からの「質問」にも答えております。
せっかくいただいたのに回答できていない質問も、実はけっこうあります。スペースやら馬鹿旦那の知識の無さやら原因はいろいろです。もしも次の機会があったら、そのときはしっかりお答えいたします。ごめんなさいねえ。


第4回:馬鹿旦那と妊婦in温泉

「妊婦は本当に温泉には入れないのか?」
という温泉の世界では常識として語られる「禁忌」にメスを入れた意欲作。
同様な疑問を感じているかたは多かったようで、コメント・メール・トラックバックも、わりかし頂きました。ありがとうございますー。
ちなみにコラムが最終回を迎えた今なお、トラックバックとリンクの違いは理解できず。
温泉に入ってはいけない症状として各温泉にかかげられている「禁忌症」。
ここに病気でもないのに「妊婦」が挙げられていることを失礼だとは、もともと感じておりました。
このコラムが妊婦の皆様を、「温泉に入りたい欲求」から解放できれば大成功。コラムとしてはすごくピンポイント。オンリーワン。もっともっと特別な。


第5回:馬鹿旦那とかけ流しは善か?循環湯は悪か?

「月曜日に温泉に入って、人生の勝ち組感を味わおう!」
という呼びかけのもと某温泉施設にコラムライターとユーザーが集結する、日本一ゆるゆるな温泉オフ会「月曜温泉」。
この席において、企画の発案者である飯島辰昭氏と飲んだくれトークを展開した馬鹿旦那が、そこで受けたリスペクトと反省のもと執筆した回です。
第1回では表現し切れなかった「レジオネラ問題」を更に深く掘り下げ、最終的には「温泉最高!」で締めくくりました。
もっとも、深く掘り下げているのか、ネタがないので書き漏らしを埋めることで回を稼いでいるのか。
全ては心の中に。


第6回:馬鹿旦那とお土産とさよならさよなら

コラムライターの任期は全6回。月に2回のコラムを3ヶ月。で、全6回。
というのが、就任の際に取り交わされた契約なのですが。
どういうわけか好評につき、全12回に延長されることとなった報告の回。
「各旅館の温泉成分を再現できるピンポイントな入浴剤」
「温泉水で作る石鹸」
などなど、進化するお土産の未来について語ったものの、このコラム、読み手である皆さんの興味は全国の旅館関係者数千名が一同に会する「全国大会」に向けられたようです。
いやいや、確かにすごいイベントなんですけどね。


第7回:馬鹿旦那と送客手数料

旅行会社の料金システムについて語らせていただいた、金勘定な回でした。
個人的にはかなりためになるんじゃないかと。
この回に関しては更新後、いろいろとご意見をいただけて、勉強になりました。
温泉があまりからまないお話なのですが、温泉旅行をする上では決して邪魔にならないうんちくではないかと。
更新日にfoomin氏のイラスト原稿が完成せず、苦肉の策で走り書きした馬鹿旦那のイラストが展示されている貴重な回でもあります。
遅れたお詫びなのかなんなのか、更新の数日後に改めて掲載されたfoomin氏のイラストにもそこはかとなく気合が。


第8回:馬鹿旦那と飲泉とゲーセン

温泉を飲むと言う行為。すなわち飲泉で得られる効能は素晴らしいものだ。
という、この時期に仕事で得た「飲泉」に関する知識を、そのまんまコラムにしたのを覚えております。
この頃から、ネタ出しにかなりの苦労が見え隠れ。
結果、かなり下品な内容になり、当時の@nifty温泉コラム担当者であった山口さん(美人)から、ちょっとだけ叱られました。
下品はいけませんよ。下品は。めっ。特にイラスト。
ユーザー様からの御質問により、温泉旅館のゲームコーナー裏話アリ。


第9回:特別企画 馬鹿旦那と廃校温泉
第10回:特別企画 馬鹿旦那と廃校温泉 座談会編

ここまでで、カタい文章に確実に飽きを感じ始めた馬鹿旦那。
「馬鹿をしたい」欲求を抑えきれず、コスプレをして旅に出ます。
廃校を温泉宿泊施設に改築した「葉留日野山荘」のノスタルジックな風情に心を打たれた28歳と30歳が、学生服とジャージ姿ではしゃぎまわる姿が見モノの回。
この回の経験から、「馬鹿もアリだ」と判断することとなった馬鹿旦那とfoomin(正しいか間違っているかは不明)。
以後、この手の旅がコラムにとって大きなウェイトを占めることになります。
好きな題材、好きなシチュエーション、好きな馬鹿さ加減。
好きなものに囲まれて、実にのびのびと書いているのが自分でもわかります。
「これ、コラムか?」という質問は、どうか無しの方向で。

mikoukai03
未公開画像。群馬の名物ソースカツ丼を食らう学生。このように、移動中もずっとコスプレのままでした。


第11回:馬鹿旦那と招待温泉

前回の廃校温泉が終わったその足で、コラムライターとして招待された高級旅館「陶心庵 米屋」さんへ。
食事も、お風呂も、設備も、満喫の旅。嬉しすぎるぞ、コラムライター。
前回で味を占めたお笑いテンションはそのままで暴走する2匹の豚に痛々しさすら漂う一品です。
ブサイクにはしゃぎまわった結果、高級旅館の格を下げてしまったのではないかと、後に後悔することになりました。
特別編では写真を多用。
一応ペンネームで書いているし、@niftyというサイトは強大だし、旅館支配人だし、写真で顔出しなんかして大丈夫なのかしら、と当時は不安になったものですが。
現在に至るまで、馬鹿旦那として声をかけられたことは、業界内でも外でも皆無。
人気なし?
コラム初のお土産プレゼントを実施したものの、応募は片手ほど。
人気なし?

mikoukai02
未公開画像。宿の近くにあった道の駅にて、飲泉水を購入。味は、びっくりするぐらい普通の水でした。


第12回:馬鹿旦那と雑誌掲載とおしまいおしまい

本屋さんにずらりと並ぶ旅行雑誌。ここに掲載されている、温泉旅館の紹介記事とはどのような流れで作られていくのか?
「記事広告」の仕組みを理解することで、旅行雑誌から正しい情報を得ることが出来る。
といったお話でした。
個人的にもこの業界に入ってから旅行雑誌の仕組みを知ったことは、衝撃的で勉強になりましたので。
皆様にもフィードバックしたかった、というのがコラムの意図です。
コラムの連載も、ありがたいことに再延長が決定。コラム連載は、怒涛の3rdシーズンに突入します。


第13回:馬鹿旦那式廃旅館再生法

不況により、各温泉地では増える一方の廃旅館。温泉街を歩いていても、淋しいばかり。
そこで、馬鹿旦那が廃旅館の再生法をご提案。
馬鹿が企画を立てると、こうなる!的な自虐的作品でした。Mっぽい。Mですしね。
あわせて、ご好意により某温泉地の某廃旅館を取材させていただくことになり、そちらの模様もレポートしています。
廃旅館の探検中には、勝手にドアが閉まったりなんだりと、ビビリ2人の心臓を破るネタに見舞われ、苦労を強いられました。
今回のコラムで提案した企画、どこかでやってくれないかとワクワクしているのですが、富士急○イランドさんとか、やってくれませんかねえ?
廃旅館を買い取って。「戦慄○宮」的に。

mikoukai06
未公開画像。廃旅館での1枚。奥に進めば進むほど、暗さも恐怖も増してきました。


第14回:馬鹿旦那とマスコットキャラ

foomin氏のイラストの中では個人的に大好物な「裏ゆもみちゃん」が見られる、そんな素敵な回です。
温泉地におけるマスコットキャラの重要性から、とある有名キャラの野望に至るまでを妄想満載で熱弁。
なんといいますか、書いたときにですね、大変疲れていたのを覚えています。
そういった体調が文面に滲み出ているようで、痛々しくすらあります。
場合によっては、なかったことにして欲しいかなあ、と。でも、「裏ゆもみちゃん」と別れるのは嫌かなあ、と。
どっちにせよ、馬鹿旦那、病気です。


第15回:馬鹿旦那の潜入!温泉饅頭工場

評判はどうなのか知りませんが、この回、大好きです。
温泉饅頭を軽んずるなかれ、という持論が馬鹿文章の行間からビシビシと伝わってきます。
温泉饅頭工場に潜入して、温泉饅頭のゆえんと製造工程をお勉強。工場見学最高。ビバ工場。工場ビバ。
栃木県塩原温泉の饅頭屋「美由堂」の跡取り息子に見学を依頼。大変お世話になりました。
なんでも、美由堂さんで「馬鹿旦那が見た、アレ」を見た的な呪文を唱えると、お饅頭が1個もらえるらしいです。
本当らしいです。チャレンジしてみてください。で、ついでになんか買ってあげてください。
あなたが貰った饅頭は海老です。
鯛を釣らせてあげるのが大人というものです。

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未公開画像。温泉饅頭の試食時、お茶までごちそうに。工場での優雅なひと時。


第16回:馬鹿旦那の突入!ピラミッド温泉

温泉とピラミッドパワーの相乗効果で健康を維持できるという「ピラミッド温泉」。
館内には瞑想室もありまして、有料ではありますが、オーナー指導のもとみっちり瞑想できますよ、という。
そんな、なんといいますか、取材を敢行する上で、もっとも不安だった回です。
そして、文章を作成する上でも、もっとも気を遣った回でもあります。
実際に行ってみれば、ちょっと風変わりなだけで普通の、それも安価な温泉施設だったのですが。
オーナーさん、ピラミッドパワーを真剣に研究しておりますので、訪れた際には、決して茶化さないでくださいね。
いや、このコラムが茶化していないのかと言われれば、まあ、何も言えないのですが。

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未公開画像。ピラミッド温泉内には、「昔の夢コーナー」という土産屋が。内容はいたってシンプル。誰の夢だ?


第17回:馬鹿旦那と困る言葉

旅行会社さんと旅館のやりとりを覗き見していただく回です。
その上で、旅行会社さんがたまに放つ、ちょっとこまった「言葉」について解説しております。
旅行会社さんが作り上げたシステムには、「良き」も多いが「悪しき」もあって。
それが解消されて、温泉旅館とも歩み寄れれば。
そうすれば、素晴らしい商品ができるんじゃないかな、と思うのですが。
旅館側にも旅行会社側にも、横柄なところというのは互いにあるもので、なかなかうまくいきません。
foomin氏の漫画も、程よくシュールで好きです。
わりとブラックですけどね。


第18回:馬鹿旦那と道の駅温泉

道の駅に温泉がある、という情報を聞きつけ、ネタだネタだと足を運んだ回。
温泉パンやら温泉ナスやら、温泉食材に驚かされた回でもありました。
コラムの文中にある、金がなくて温泉ナスが購入できなかったというのは、紛れもない真実です。
いち旅館の支配人が、こんなに文無しでよいものなんでしょうか。財布とか、もっとビッチリじゃないといけないのでは?
それにしても、こうやってみると、3rdシーズンは旅ばかりしていますね。
それは、「コラムと呼べるのかどうかがわからない文章だらけ」、ということでもあります。
この回の文章も、写真が多いからなのか、随分と長編に感じられます。
そんなシーズンであったにもかかわらず、人気があったそうで、再々延長が決定。
全24回で連載を行うことになりました。


第19回:馬鹿旦那と温泉入浴指導員

4thシーズンにきて、思い出したんです。
馬鹿旦那のプロフィール欄に記してあった「温泉入浴指導員資格」に関する話をしていない。
危ない。4thの依頼も受けてよかった。
という思いのもと執筆した、「温泉入浴指導員」とはなんぞやの回。
各旅館にこういった温泉のプロフェッショナルがいると、全ての入浴者において、その温泉の効能を100%引き出すことが可能になります。
言い過ぎですか?かも知れませんね。
でも、そうなって欲しいんです。


第20回:馬鹿旦那とにぎわう温泉地

これまでのコラムの中では、けっこう特殊なアプローチかもしれません。
全編が簡単に言うと、伝達をもとにした例え話です。
4thでは、ほとんど旅をせず、うんちく話だらけですね。
お笑い旅を求めているかたには申し訳ないのですが、この回より、当旅館は夏休みのハイシーズンに突入しました。
まあ、とにかく忙しい。で、外に出ている暇がなかったのです。
夏という季節は、旅館関係者を死にたくさせます。
僕も、無傷だけど一応検査しなくちゃ程度に、あまーく車に轢かれたかったですもの。この時期。


第21回:馬鹿旦那と企画作成

お客様を旅へといざなう、その後押しとなるのが「企画」です。「宿泊プラン」なんかがそれにあたります。
この「企画」が、どのように作られ、果たしてお客様はそれによって得をするのか損をするのか?
分析した回です。
まあ、コラムの内容どうこうよりも、この回に関しては、取材が無駄になったのがイタかったです。
旅館関係者というものは、旅館に泊まったとき、基本的には温厚です。
多少の悪い対応があっても、内情が予測できるので、まあいいや、と許す気持ちになってしまうんですね。
もしくは、自分の宿をみているようで、身につまされたりするんですね。
でも、この取材先の宿の対応に関しては、「微笑みブタ」の仮面を脱がざるを得ませんでした。
予約したそれとは明らかにグレードの落ちる部屋に案内されて、問い合わせしたら、
「幾ら欲しいんですか!」
とヒステリックに。
犯罪者扱いかよ!プロだろ。頑張れ。頼むぞ。


第22回:馬鹿旦那と驚く程アレな湯とダチョウ肉

前回の無念を晴らすべく、近場ながら素晴らしい温泉施設へ突入。
ものすごく忙しい状況は変わらないのですが、身体が仕事を許しませんでした。
不良支配人でもいいもん。ふんっ(かわいさアピール)。
「あかつきの湯」で奇跡のぬるぬるを堪能。
「ダチョウ牧場」で奇跡の肉を堪能。
はじけにはじけた回でした。
それにしても、近くで見るダチョウの怖いこと。
ちなみに後日談ですが、ダチョウレストランで食べられるダチョウ肉は、輸入品だそうです。
牧場のダチョウは観賞用なんですって。ありゃ。

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未公開画像。ダチョウレストラン「太らん」の前にて、置物の熊と記念撮影。


第23回:日記

これまた特殊なアプローチ。日記形式です。
ハラをぶっちゃけると、一応最終回の前ということもあり、語りきれなかったネタの数々を日記形式で大放出しようかな、と。
そんな意図でした。
最後に感動的なエピソードを挿入してみたのですが(本当に実話です)、読み手の心を動かせたかどうかは不明。
コメントの数の少なさが、結果を物語っているのかもしれませんね。
この第23回執筆の段階で、第24回である今回を最終回とする決意を固めました。

さて、最終回を決めた理由は、いろいろです。
ちーと偉い立場になり、忙しくなりそうであるということ。
このコラムで得たものを手土産に、自分の旅館ともう一度向かい合ってみようと思った、ということ。
ネタには困らないものの、みなさんに喜んでいただけるよう、一つ一つのネタを練りこむ時間が足りないということ。

いろいろと、一滴一滴、そういった要素が重なってしまったため、これらを処理するのに少々お時間を頂戴したいのです。

簡単に言うと、こういうことです。

「コラムライターをしているうちに部屋が散らかってしまったので、いったん片付けさせてください」、と。

そういったことでございます。

あとは僕の要領と努力の問題ですので、場合によってはあっさりと舞い戻ります。
いや、戻らせて貰えた場合ですけど。

で、片付けられない悪い子だった場合は、いつまでたっても帰ってきません。

出来れば。帰ってくることをお許し願えるのでしたら。また皆さんとお会いしたく思います。
もちろん、この@nifty温泉という舞台で。
「ネタ」という、たくさんの手土産を用意して。

その日が来ることを、例え自分勝手でも、期待されていなくとも、願いつつ。

コラムのクール上、とりあえず、最低でも半年ほど留守にしますね。

ではでは。

みなさん、元気で。

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作画:foomin(素晴らしいイラストに心よりの感謝を)

text by 馬鹿旦那 | 2005.09.20 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (6) | トラックバック (0)

2005.09.06

第23回:日記

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

8月某日

 夏休みが、いよいよ、いよいよ、いよいよ、終わる。
 忙殺とはよく言ったもので、この時期の温泉旅館は、とにかく忙しい。死ぬ。むしろ死ぬる。頭から蒸気が出る。ピーッと出る。しかも臭い。汗臭い蒸気だ。ピーッと出る。
 立ち止まっていることが一秒たりとも無いイメージだ。

 当旅館は14時がチェックイン、11時がチェックアウトとなっている。
 つまり、チェックアウトから次のお客様を受け入れるまでに与えられた準備時間が3時間しかない。
 このたった3時間の間に館内全てを掃除し、金勘定をし、温泉の整備をし、客室の準備を整える。
 満室が続くこの状況下において、この作業は至難の業。最後のお客様を見送った笑顔は、お送りした車が角を曲がった瞬間に鬼の形相に切り替わり、F1のピットインを思わせるスピードで、全スタッフがビュンビュン動く。

 これは、お客様が館内にいらっしゃるときも同じ。
 特にルーム係なんてのは、お客様の見えないところで、キュンキュン動いている。
 だから、満室の温泉旅館にご宿泊の際、廊下を歩いていて突然後ろを振り返るのは、どうかやめていただきたい。
 神のごときスピード、絶妙のコーナリングで廊下を攻めるルーム係を、どうか見ないでやっていただきたい。
 あなたの見えないところで、ルーム係は、右へ左へ飛び回り、ギネス級に積み重なった膳を運び、ひとたびお客様に気付かれそうになった際には天井に張り付いて難を逃れたりしているのだ。

 そう、今この日記を読んでいるあなたの後ろにもルーム係が・・・。


8月某日

 雑誌の名前は、出してよいものだろうか。基本的にベタ褒めなのでご勘弁下さい。
 「いい旅見つけた」という雑誌に、記事広告を掲載させていただいている。
 この雑誌、ひとたび広告を出せば素晴らしくお客様からのお問い合わせがある、いわゆる「返りの良い雑誌」のため、当旅館の経営には欠かせない存在だ。
 「大人の旅行雑誌」といった印象で、当旅館との相性が抜群。問い合わせが多いのは、そのへんが理由だろう。記事の内容も丁寧で、読み物としても面白い。
 この雑誌が名称を変更し、「大人のいい旅」となったのが最近のこと。
 実は「いい旅見つけた」は関東版だけの名称で、四国やら九州やらでは昔から「大人のいい旅」なんだそうな。

 で、この変更で、雑誌の購読者の皆さんに、ちょっとだけ混乱が見られる。
 電話での予約受けの際、雑誌名のうろ覚え、言い間違いがとにかく多いのだ。

 「大人といい旅」
 「いい旅をする大人」
 「いい旅を見た」
 「大人のいい旅見つけた」

 とにかく様々な名前を聞くことが出来て、面白い。

 特に胸を打ったのは、
 「いい大人の旅」
 だ。

 「いい大人の旅」

 完全に叱られている。
 「いい大人が、なんてぇ旅をしてやがるんだ」
 といった印象だ。
 Mには心地よい言い回しだ。
 そういえば、私はMだ。
 言って欲しい。罵るように言って欲しい。踏みつけて欲しい。あうん。

 最近は混乱も収まってきたようで、ちょっと寂しいのだが。

 とにもかくにも、「大人のいい旅」。良い本ですよ。いや、本当。大好き。

bakadan33



8月某日

 インターネットの普及は、温泉旅館にとっても大きな革命をもたらしている。
 お客様にとっては空室確認・予約が深夜でも出来てしまうという魅力がある上、泉質や効能、浴場の数、露天・貸切の有無など、温泉に関する事細かな情報を前もって得ることが出来る。
 私も、もうすでに、インターネットの無かった頃の暮らしが思い出せないぐらい世話になっている。
 今まで目的地までの道がわからないとき、俗語や造語の意味を知りたかったとき、ネット無しにどうやって調べていたのかが、さっぱり思い出せないのだ。
 旅館経営にしても、予約の半分以上をネットによってまかなう旅館も多く、必要不可欠な存在だ。
 しかしながら、メールでの問い合わせが増えたのは、かなり大変。
 電話なら口で説明できるので時間的にも短くて済むのだが、メールの場合、ここに文章を打つ手間が生まれてしまう。
 メールの世界では迅速が第一。
 そんなわけで、日々よせられる何通・何十通もの質問メール全てに、即返答を書かなければいけない。
 個人的には文章による表現のほうが得意なので良いのだが、涙目になりながら人差し指だけでメールを打っているパソコン初心者の予約係が目に浮かぶようだ。

 それはさておき、先日、お客様からこんなメールを頂いた。

「先日お泊め頂いた者です。料理も環境も温泉もスタッフの対応も素晴らしかったのですが、忘れ物の送付を頼んだところ、着払いで送られてきました。忘れたのはこちらなのですが、『せこい!』と思いました」
 
 お前がな!

 ・・・とは言いませんが。
 確かにお忘れ物を着払いで送るのは「せこい」のかもしれません。でもでも、それをわざわざメールしてくるというのも、失礼ながら、かなりのもんだと思う。いやいや、失礼ながら。失礼ながら。



8月某日

 当旅館に毎年8月、必ずおいでになるお客様がいる。
 老夫婦とその娘さんの3名様でおいでになり、老夫婦のご主人のほうが車椅子。
 車椅子のご主人には、お気に入りの場所があった。
 1階ロビーの、同じテーブルの、同じ窓際の席。
 窓からはこの土地自慢の渓流を眺めることが出来る。
 ご主人はおぼつかない足取りで車椅子からその席に移り、渓流を眺め、決まってこうつぶやく。
「ここは綺麗で静かでいい場所だね」
 フロントのスタッフである我々は、ありがとうございます、と返す。
 そうやってご主人は、旅館の中で与えられたほとんどの時間を、その席でひとり過ごすのだ。
 
 そのお客様が、3年前より昨年まで、不意に当旅館を訪れなくなった。
 でも、常連さんの浮気なんてのはよくあることで、特に心配もしなかった。

 今年、お客様は、訪れた。
 2名だった。
 車椅子のご主人がいなかった。

 一瞬、訪ねようとは思った。
 でも、人間的に臆病なので、おっかなくておっかなくて、どうしても訊けなかった。

 その日、客室からロビーに降りてきたのは、奥様だった。
 奥様は、ご主人の座っていたテーブルと、同じ場所に腰掛けた。
 その様子をカウンターから見ていると、ある違いに気が付いた。
 奥様の座っていた席は、ご主人がいつも座っていた席の、隣だった。

 彼女は、ご主人のとなりに腰掛けているのだ。並んで。寄り添って。

 もう、だめだった。
 鼻の頭がツンとしてしまって、すぐに裏手の事務所に逃げ込んだ。

 翌朝、ご精算の際に、ご主人が兼ねてよりの病気で亡くなったこと。
 病床でも、当旅館のあの場所に、ずっと行きたがっていたことを告げられた。

 やはり旅館という場所は特殊な場所で、商店やらお風呂やら居間やらラウンジやら、まるで一つの町がその中に作られている。
 で、皆さん特別な想いで来てくださってる。
 恥ずかしいことだからあまり言いたくないのだが、うちら旅館のスタッフってのは、この町の住人として、お客様の人生にぐいぐいっとわりかし深くかかわっちゃってるんだな、と、強く思う。

 何度も同じ旅館を訪れてくださる方にとって、ある意味その町「田舎」であり「実家」だ。
 で、うちらスタッフさんは、田舎から一歩も出たことのない、街にすっかり根を張っちゃった農作業着のにいちゃんみたいに、ちゃんと待ってなきゃな、と反省した。

 こういう特殊な職場で働けることは、けっこう良いことだ。





 といったところで、本日のコラムはこれまでです。
 コラムという場を借りた日記という名を借りた、箇条書きのコラムでした。 

 で、次回は最終回です。
 今回の日記のように、日々、ネタが尽きるということはないのですが。
 今度こそ、もう、いっぺん幕を下ろそうかと考えてます。

 それが充電で、3ヶ月もしたらひょっこり帰ってくるのか、スラム○ンクの「第一部・完」のように、そのままいなくなっちゃったり、バカ○ンドがはじまっちゃったり、韓国あたりで違う作家に第二部を書かれちゃったり(実話らしい)するのかは謎です。謎。
 もしくは、充電後にひょっこり帰ってこようとしたとき、@nifty温泉スタッフ改め大家さんが、敷居をまたがせてくれない可能性もあります。

 こんなおバカで情緒不安定の人間が書くコラムにお付き合いいただいたことに、深く深く感謝しつつ。
 次回の最終回を、お待ち下さいませ。

 ではでは。


作画:foomin

text by 馬鹿旦那 | 2005.09.06 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (1) | トラックバック (0)

2005.08.23

第22回:馬鹿旦那と驚く程アレな湯とダチョウ肉

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

揃い踏みです。周囲には、見渡す限りの友(チング)たちが。
今回のおフログのライターさんたち。強烈です。おじさん、びっくりだ。

「七不思議」「鉄っちゃん」「霊能力者」ですよ。
土曜ワイドが黙っちゃいないメンバーです。

○○温泉の七不思議になぞらえた殺人事件に、霊能探偵が挑む!完全犯罪を可能にした時刻表トリックとは?

で、この場合、僕の介入する余地が無さそうですので、どうか犯人役か死体役で使ってやってください。お願いします。

お~れ、な~がれ!(萩原)

改めまして、馬鹿旦那でございます。

新メンバーさんのコラムの中では、「霊」のアレが、個人的に大ヒットの予感です。
コラムが規定通り全6回だとして、最低6回は温泉地で幽霊に遭遇していることになるわけですよ、このかたは。すげえ。
あと、挿絵にびっくりしました。上手すぎです。文芸雑誌かと思いました。うちの作画担当も戦々恐々としてましたよ。

負けないように、こちらも頑張ります。

さて、今回は旅のお話です。

あいもかわらず栃木県北のスポットなのですが、当コラムの母体であります@nifty温泉の口コミランキングにて上位に君臨し続ける温泉施設を発見しました。
なんでもこの温泉、特に泉質が関東屈指であると絶賛のご様子。
あれ、これ、近いじゃないの。行ってみなくちゃ。
常に新しい情報に貪欲でなければならないコラムライターとしては、異例の遅さで地元の絶品風呂の存在に気付いた馬鹿旦那。
関東屈指の鼻の利かなさを披露しつつ、レポートすることにしました。
栃木県ばかりですいません。
8月は旅館業者には忙しすぎて、遠出が出来ないんです。

度重なる拉致でクロロホルムの効きが悪くなった作画担当のfoomin氏を、無理矢理トランクに押し込んで、出発!

ただ温泉に向かうだけでもつまらないので、目指す温泉施設「塩原あかつきの湯」の付近にあるという、ダチョウ肉を食べさせるレストランに寄り道してみることにしました。

ダチョウ肉といえば、牛・豚・鳥に続く第四の肉として注目が集まる、まあ、ダチョウは鳥肉に入らないの?というツッコミはそれとしても、期待の食材。
環境の変化に強く、成長が早く、中毒を起こしにくいとミート界ではもっぱらの噂なんだそうな。
栃木が誇るミートイーターとして、是非、一度食べてみたいと思っていました。

那須にある「ダチョウ牧場」と「塩原あかつきの湯」の間の距離は、車で10分ほど。
だからといって、塩原温泉と那須温泉が近いと思ってはいけません。

この地方へ旅行に出かけるみなさんは「那須塩原」という言葉に惑わされがちで、那須と塩原は同じ町のようなものだと勘違いされます。
那須温泉・塩原温泉間は、車で1時間以上の距離があります。
「那須塩原駅」は、那須と塩原の中間にあるから、那須塩原駅なんです。
那須と塩原を何往復もするような観光プランを立てると後悔しますので、ご注意を。
ダチョウ牧場とあかつきの湯は、偶然、町の境で近かっただけです。

ご旅行で那須温泉に向かう際には、参考にしてください。

国道から、「こんなところに?」という感じの脇道に突入すること、5分。
ダチョウが見当たらないな、と不安がっていると、草むらに生える、薄気味の悪い植物に目が止まりました。

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今回はトウモロコシ畑から生まれる形で登場の馬鹿旦那。ダチョウと温泉を食らいつくす貪欲な構え。

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ダチョウ牧場の看板を発見した探検隊。うこっけいもあるんだあ。楽しみ~。

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草原に生える、ひときわ奇妙な植物。

CIMG0142
でっ、でた~!ダチョウです!思った以上に巨大!今日も失禁!

その植物がダチョウだと気付いて車を降りると、「8時だヨ!」といった覚えも無いのに大集結するダチョウたち。
人懐っこい性格だと聞いてはいましたが、餌付けされていることを差し引いても、ものすごいテンションの高さで迫ってきます。

柵があるお陰でもみくちゃにされることはありませんが、柵越しであってもその巨大な姿には圧倒されます。

CIMG0143

特に、この足!
恐竜です。

CIMG0133

そして、このツラ!
意外と凶悪です。

こいつが集団で、壊そうと思っているのかどうかは知りませんが、次から次へと柵にかじりつくのです。

ダチョウに頭をつつかれる画像をお届けしようともくろんでいた馬鹿旦那ですが、それが不可能であると知りました。
たぶん、脳、出ちゃうと思います。でろっとイっちゃうんだと思います。つつかれた瞬間、笑顔を凍りつかせて前のめりに倒れるんだと思います。格闘技では、前のめりに倒れるのが一番ヤバいと聞いております。

彼らの風体に恐れをなした両名は、牧場の奥手にあるダチョウレストラン「太らん」へと避難しました。

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どうにかダチョウを背景に撮影成功。この程度の距離でも充分に恐怖。

CIMG0135
一方、ダチョウとのコミュニケーションに成功したfoomin氏。日常会話なら可能なんだってさ。妄想ってこわいね。

おそらくダチョウ肉のヘルシーさからその名がついたのであろう「太らん」。
木の香りのする店内には、座敷とテーブル席が並べられており、飼われている黒犬が暇そうにあくびをしています。
このほんのりと癒される空間に、テンガロンハットの西洋人とがっちり握手を交わしているオーナーの写真や、モンゴルの民族衣装、ダチョウの革で作られたテンガロンハットという、荒々しい物品が、ずらりと展示されています。

メニューには焼肉やステーキだけでなく、ハンバーグから、なんとユッケに至るまで、ダチョウ肉のオンパレード。

ダチョウ肉は、牛の赤身に近い味わいで、クセもまったくありません。
何の躊躇も無く平らげることが出来ました。特にユッケのうまいこと。
ゲテモノだなんて言っていると、今後の食糧危機で生き残ってゆけません。是非、食してみてください。

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生肉を前にした瞬間、原始人が宿ったfoomin氏。このあと鉄板の火に怯え、奇声を発しながら森の奥へと逃走。現在絶賛行方不明中。まっ、いいか!

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見た目も美味そうなダチョウ肉。奥の長細いのは、鳥ネックだそうです。歯ごたえ抜群。絶品でした。

ダチョウの死肉でパンパンに膨らんだ腹を抱えながら、我々は、「塩原あかつきの湯」へと向かいました。

国道から、「こんなところに?」という脇道に突入すること、2分(こんな場所ばっかりだ)。

驚くほどに真新しい綺麗な建物が、トウモロコシ畑の中から姿を現しました。
周囲には、建物らしい建物がありません。
せいたかのっぽなトウモロコシ畑の中に、ぽつんと、しかし強烈な存在感をしめしながら、その施設はありました。

駐車場から入り口へ行くまでの間、浮き輪を持った子供たちとすれ違います。

あかつきの湯は、施設の中にバーデプールも構えており、地元のお子様が通われているそうです。
水着を持ってこなかったことを後悔しました。
たるんだ腹を披露しなくて済んだという意味ではほっとしました。

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あかつきの湯への到達を高らかに宣言する、馬鹿旦那。これでこの施設も@nifty温泉の領土だ!手始めに、裸を正装とするお触れを施行!反抗する国民。しかし、次の瞬間!

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でっ、でたーーーー!泣く子も黙る必殺ポーズで国民を黙らせる馬鹿旦那。ポーズとしては史上初のグッドデザイン賞受賞候補!ちなみに受賞の際、例のマークは尻に焼印の予定。

CIMG0181
入り口には、マッサージなども含めた施設案内と料金表が。親切。

自動ドアをくぐると、新しいこともあってか、大変に清潔な印象を受けるロビーが目の前に開けます。

入場してすぐに履物はロッカーに。
スリッパはありませんが、この館内に漂う清潔感が、素足でフローリングを移動することに抵抗を与えません。

ディズニー○ゾートの清掃に対する理念は、
「赤ちゃんがはいはいしても汚れないこと」
なんだそうですが。

これに通じるものを感じます。
裸足でフローリングを歩かせられる、「清掃に対する絶対の自信」。
スリッパを用意しないことで、逆にそのことを売りにしているように感じました。僕だけか?

特に僕は、裸足でぺとぺとフローリングを歩く感覚が大好きです。
ほんのり冷たいフローリングに涼を感じながら、お風呂場へと向かいます。

係員の対応も素晴らしい。結婚してください。

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バリアフリーにも対応した廊下。中央の人物は、通りすがりのバレエダンサー。例の記憶喪失のピアニストとは同期。もちろんこの男も記憶喪失。

脱衣所は、100円ロッカーの返却制。
温泉ジャンキーの我々は、ぱっぱと服を脱ぎ捨て、かけ湯もそこそこに、温泉へと飛び込みました。

さて、ここで、手前味噌な話を。
馬鹿旦那が支配人を勤める旅館のお風呂。
泉質は、炭酸水素塩泉です。
入れば身体はぽっかぽか。肌はすべすべになるという、乳液いらずの魔法のお湯でございます。

お客様からも泉質に関してはお褒めの言葉を頂戴しております。
正直、うちの温泉は日本一だと自負しておりました。

いやあ、甘かった。

お風呂に飛び込んだ最初の印象が、これでした。

湯船の中で、自分の身体を撫でる。
ここで、僕は思ったわけです。

「あれ?さっき身体を洗った時、ボディーソープを落とし忘れたかな?」

それぐらい、すべすべなんです。「あかつきの湯」の泉質は。
これまでの人生で、様々な温泉地に足を向け、飛び込んでまいりましたが、断言しても良いでしょう。
少なくとも僕の29年の半生の中では、ナンバーワンの泉質です。
恥ずかしながら馬鹿旦那、温泉旅館の支配人でありながら、「温泉はお風呂の延長線」だと思っていたわけです。
温泉地に生まれ、温泉地で育ち、「日々のお風呂=温泉」という恵まれた環境にいることで、忘れかけていましたよ。
違いますね。温泉は、お風呂じゃないんですね。
温泉は、温泉なんですね。

いやあ、今日の馬鹿旦那、暑苦しいです。こんな熱弁をふるう男がクラスにいたら、絶対に友達にはならないな。
でも、勘弁してくださいね。それぐらい驚いたんですから。

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今回も、無事入浴を達成した温泉怪盗。内湯も寝湯やらサウナやらで大充実でした。

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ロビーにて牛の乳を爆飲する宇多田ヒカル。見た目はオヤジっぽいが、写真写りが悪いせいで、歌声はディーヴァ。

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こちらは、水で空腹を満たす、シンガー志望者。両者の立場が入れ替わるのは3ヵ月後。

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売店ではお風呂セットの水気を底面の穴から排水できる、アイデア満載の温泉バッグを販売中。けっこうな売れ行きだそうな。

口コミではあまり良い評価を得ていなかった食堂も、ずいぶんと盛況でした。
風呂上りにくつろげる畳の大部屋も、個室休憩所も、マッサージも、牛乳の自販機も、温泉を楽しむ上でのおおよそのツボは完備されていると言って良いでしょう。

露天風呂も素晴らしい!
素晴らしい!
素晴らしい!
素晴らしくて、臭い!
臭い? くさっ! 臭ぁ!

これだけが難点です。周囲が畑のため、時期によっては肥料の臭いがぷんぷんです。
でも、まあ、これは気にならない人は確実に気にならない香りだと思いますので。

それを差し引いても、大満足の施設です。
場所が分かりにくいのも難点といえば難点ですが、国道沿いの看板に注意していれば、大丈夫です。

というか、遭難しかけてでも行きましょう。
今思い出すだけでも、ヨダレが止まりません。
温泉ファンにとっては、それだけの、価値のある温泉が待っていますよ。

といったところで、駆け足ではありますが、本日のお話はこれまでです。
馬鹿旦那の温泉地、夏休みなんで、まだまだ満室が続きます。めちゃくちゃ忙しいんです。

次回までには落ち着いてお話が出来ると思います。
もしくは、燃え尽きてお話にならないんだと思います。

どっちになっちゃうか、それは次回のお楽しみ。

楽しみ?

ではでは。

@nifty温泉「塩原あかつきの湯」詳細ページへ

text by 馬鹿旦那 | 2005.08.23 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (12) | トラックバック (0)

2005.08.09

第21回:馬鹿旦那と企画作成

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

取材で、茨城県の某温泉民宿に行ったところ、某トラブルで、某宿泊が、某出来ませんでした。
支配人らしき女性の対応に、正直、某キレました。某キレです。棒切れではありませんが、あの民宿の対応の悪さは棒切れクラスです。

で、仕方なく、これまた茨城県にある、出来たばかりの入浴施設にお邪魔しました。
そこは、施設の美しさ、情緒、設備、スタッフの対応なども素晴らしく、

「ああ、こりゃあ良いものが書けそうだぞ」

と、盛り上がったのですが、なんといいますか、その、よく調べてみたら、

温泉じゃありませんでした。

えへっ。
薬師丸っぽく。
えへっ。
あの、おちょぼ口から歯をのぞかせる感じで。
えへっ。
簡単に言うと、山崎邦正の薬師丸モノマネです。
えへっ。

ソフトインワン。

で、その温泉施設、改め、スーパー銭湯を後にして、はじめて青ざめました。
どうしよう。

とまあ、そんなわけで、本日も通常営業なお話なのでございます。
まあ、@nifty温泉のスタッフさんにも言われたとおり、1000~2000文字という依頼通りの、本来のコラムの形に立ち返ろうと。
そういう意図なんだと思うことで、ほら、救われてきた。

では、本日もお話させていただきますよ。

次回こそ、旅の話が出来ればな、と思っております。

さて、温泉旅館というものは、シーズンの影響を限りなく受ける商売でございます。
夏休みシーズンは猛烈にお客様が押し寄せるにもかかわらず、冬にもなればひとっこひとりおらず、妖怪の隠れ里かと思わせるようなゴーストタウンぶりを発揮する温泉地は山のようにあります。

で、こういった、お客様が外に足を向けられないシーズンに旅館側がなにをするのかというと、「営業」をするわけです。
チビっこのみんなは「営業ってなに?」とかみだりに尋ねてはいけませんよ。
「営業」ってのは、この世で最もストレスと戦わなければならない職業ですからね。
「営業」の皆さんが泣いちゃいますからね。理解を示してくださいね。

まあ、旅館の営業って言うものはですね、旅行会社とかに旅館のパンフを持っていって、「暇?うちとか、どう?」って聞くわけです。
あと、旅行関係の雑誌やサイトなどで、客寄せをする、なんてなこともあります。

で、そのために必要になる武器が何かといえば、「企画」になるわけです。
旅行会社の皆様にとっても、旅行雑誌や旅行サイトをご覧になるかたにとっても、目に止まるのは唯一。
他の旅館ではない「個性」を持った「商品」。つまりは「企画」なのです。

今日のお話は、「営業のツラさ」ではなく、「企画をつくるということ」についてなのですよ。

さてさて、ひとくちに「企画」といっても、色んなものがございます。

例えば、インターネット系の旅行会社では、一つの旅館が様々な宿泊プランを展開しています。

「夏真っ盛り!格安ファミリープラン」
「山と海の饗宴プラン」

など。

こういった、なんでもない宿泊プランの一つ一つも、立派な「企画」と言えますし、

「旅館を貸し切り!大宴会プラン」

のような、バスを貸切できたり、ツアーの行程の中に自分の経営している宿を入れてもらったり、というのももちろん「企画」です。

基本的に、企画を考える機関というものは、2つあると思います。

「宿」「旅行会社」です。

旅行会社さんの企画は、おおむね会社さんのほうで勝手に考えてくれて、宿に企画参加申込書をFAXしてくれます。
たいていの場合、そこにはそのプランの概要と、「依頼料金」が書かれているわけです。
この「依頼料金」というのは、旅行会社さんがその旅館の部屋をこれぐらいの値段で提供してくれませんか?という希望価格です。
「商売は、可能な限り安く仕入れて、可能な限り高く売るのが基本」
この商売の大原則にもとづき、この依頼価格、基本的に宿が「ざけんなっ!」と思うぐらい安い値段が書かれていることが多く、ほとんどの宿は金額に訂正を入れて送り返します。
で、ある程度価格がまとまれば、宿側は申し込み書に記入・返信することで、旅行代理店の企画パンフにその旅館の名前を載せることができるわけです。

もちろん、旅行会社さんと宿側や温泉地が一緒になって企画を作ることもあります。
個人的には互いの主張が反映されるため、これが理想だと思うのですが、時間的な都合で全体の3割ぐらいしかしめていません。
とはいえ、旅行会社さんもそこは企画のプロですので、作る企画にはおおむね異論が出ません。
だから、3割もしめていれば、良いといえば良いのですが。

旅行会社さんが作る企画で、いつも不思議に思うのが、「宿泊特典」です。
「アーリーチェックイン・レイトチェックアウト」「館内利用のコーヒー券サービス」「連泊割引」
など、以前も当コラムでお話した宿泊特典ですが、この特典というもの、高価な宿泊プランよりも、格安の宿泊プランに多くつけられているのです。

なんで?と思います。

値段が高いほうが、特典も多くてしかるべきじゃないの?
と思ってしまうのですが、某旅行会社さんに聞いてみたところ、
「格安プランを求めてるたぐいのお客様のほうが、圧倒的にたくさんの宿泊特典を求めているんですよ」
という回答を頂戴いたしました。

? うーん・・・。

あんまり突き詰めると、お客様に失礼な話になってしまいそうな回答ですので、この話はこのへんで打ち切ります。

さて、もちろん「旅行会社」だけにたよることなく、「宿」も企画を作ります。
ただ、宿は宿泊機関ですから、企画で個性を出せる部分は限られてきます。

たいていの場合、それは、「食事」です。
「牛しゃぶしゃぶプラン」とか「山菜懐石プラン」とか「食べ飲み放題の大宴会プラン」とか。

旅館さんによっては、ここに観光券だのスキーのリフト券だのをつけるのですが、この際に宿泊施設が気をつけていることがひとつあります。

それは、
「基本的に単価の分かる商品を特典にしてはいけない」
ということです。

例えば、その温泉地が文豪が湯治に訪れたゆかりのある土地だとして、それにちなんで「あなたの読みたい本を一冊プレゼント」するプランがあったとします。
本と言っても内容は様々で、20,000円する辞典から200円の週刊誌まで、値段の幅も大きい。
高価な本を買われることを恐れた企画者が、本の上限を1,000円までに設定し、パンフに載せたとします。
このプランが通常の宿泊プランよりも1,000円高く設定されていたとしたら。これは、アウトですよね。じゃあ本屋で本を買って持ってくるよ、ってことになります。

これはもちろん、もの凄く単純にした例です。
実際はもっと複雑で、「よくよく考えてみたら損をしている」というプランは、けっこうあるものです。

だから、単価の分からない「料理内容の変更」や「アーリーチェックイン」や「コーヒー券」のような個性・特典がもてはやされるのです。

もちろんスキーパック等に見られる、「宿泊を申し込むことで4000円のリフト券が3000円で買えますよ」といった、単価を見せることで効果を上げているプランも例外的に存在します。

こういった基本を踏まえたうえで、宿の企画者は素晴らしい企画を考え出そうとします。

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企画を立てる上で必要なのは、その企画者の「エンターテイナー」としての精神だと思います。

どんな企画を立てればお客様を良い意味でアッと驚かせられるのか?
どんな演出が必要なのか?なにをプレゼントすれば良いのか?どんな素材でどんな料理を提供すれば良いのか?
企画の向こう側にお客様の笑顔が見えないようでは、企画者失格だと思うわけです。

そうやって搾り出した企画が、お客様にとってもお得で満足のいくものであれば、大成功なわけです。


さて、今回はもう一点。こんな質問を頂戴いたしました。

「温泉の管理って、大変ですか?」

簡潔。
では、こちらも簡潔に回答を。

「大変です」

温泉は生き物です。
季節や昼夜の気温の差で湯温も大きく上下動するため、温度管理が大変です。
冬場の気温の下がる時期は、温泉タンクに使わなくなった布団を巻きつけたりします。

温泉は生き物です。
ちょっとほっといただけで、温泉を通す管の中には、温泉成分が凝固したスケールが発生します。
だから、月イチで管に圧をかけて、清掃をしなければなりません。
もしくは、温泉の湧出地から旅館まで繋がっているパイプを、数メートル置きにハンマーなどで、定期的に軽く叩いてまわります。
このパイプの距離が100m以上だったりすると、過酷な重労働となります。

まだまだあります。

皆様が温泉を楽しんでいる裏方で、けっこうな苦労話が大量発生しているのですよ。
心して楽しんでいただけると、裏方も泣いて喜びます。

本日は、以上。

次回こそ、旅を。
たぶん、また栃木県内ですが。


作画:foomin

text by 馬鹿旦那 | 2005.08.09 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (6) | トラックバック (1)

2005.07.19

第20回:馬鹿旦那とにぎわう温泉地

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

痩せた貴乃花が、もうASKAにしか見えません。
今度、道で会ったら「チャゲは?」ってききましょうね。

それはさておき、なんと、連載20回です。
20回も温泉について書いてきたんですねえ。すごい。
いや、その程度で喜んでいたんじゃあ、寿司の話だけで何十巻ともたせていた漫画はどうなんだ、って話なのですが。

ご覧になっている方が思わず拍手(かしわで)をうつようなコラムを書いてみたいものですね。
あ、「将太の寿司」を読破していない人は置き去りです。

そろそろ旅に出て珍奇な写真を、と思うのですが、温泉地も夏で繁忙期なんですね。
すごくすごく忙しいのですね。
私、一応温泉旅館の支配人ですね。
栄養ドリンクに依存した生活が続いているのですね。
ワタシ、イパイイパイ、ガンバテルデスネ。
コレハ コムギコ デス。
コレハ ザッソウ デス。シゼンニ ハエテキマシタ。

とまあ、色々と壊れ気味なのですが、今回の馬鹿旦那はだいたいこんな感じです。
忙しいこともあって、今回も前回同様、温泉についてのうんちくです、ということでございます。

なんといいますか。
もはや口に出すのも恥ずかしいぐらいなのですが。
世の中はまだまだ不況です。

不況ということは、お金がないということで。
お金がないということは、心にゆとりがないということで。

我々のようなサービス業というものは、こういった状況のあおりを大きく受ける業種のひとつです。

ただ、温泉地も色々です。
こんな状況の中、多くのお客様が足を運んでいる温泉地もあれば、すっかり諦めムードで寂れている温泉地もあります。

温泉地がにぎわう。
というのは、いったい、どういうことなのでしょう。

私が伝え聞いているいくつかの事例から、考えてみようかと思います。

まずは一つ目のケース。

とある温泉地は、都心からすこし離れた山奥のどん詰まりにありました。
そこにたどり着くまでの交通機関は、車かバスしかありません。
それどころか、道路自体がその温泉地までで途切れています。まさにどん詰まりですね。
つまり、「その温泉地に行くんだ」という確固たる目的を持ったお客様しか訪れない。
どこかに行くついでに通り道だから寄っていこう、という気軽さでは訪れることが出来ない状況にあったわけです。

そんなわけで、その温泉地、ひとにぎりの秘湯フリーク垂涎の温泉地として存在していました。

このままではいけないと思った温泉地は、たくさんのお客様を呼び寄せるべく、策を練りました。

まず、最寄り駅から温泉地へのバスの本数を、これまでの5便から倍の10便に増やしました。
どんづまりだった道路の先に山を貫くトンネルを掘り、山向こうの国道と接続させることを県に要請。実行の運びとしました。
山向こうの国道は高速道路ともつながっていて、お客様の利便性は格段に増しました。

さあ、これでこの温泉地は、お客様であふれかえる。
温泉地の人々は大きな期待を持ちました。

数ヵ月後。

その温泉地には、確かに多くのお客様が訪れていました。
ただし、もうひとつ、その数を増やしたものがありました。

それは、大型トラックでした。

車通りが多く、高速も間近な国道への絶好の近道として、その温泉地にまったくゆかりのないトラックが大量に行きかうようになったのです。
それでなくとも道の狭い温泉地です。
せっかくお越しになったお客様は、道の端をおびえながら歩かなければならなくなりました。
トラックと観光客の乗った乗用車との事故も、数回報告されるようになりました。

そして、バスの本数を増やして利便性を高めたことで、もう一つの問題がおきました。

日帰り客が増え、宿泊客が減少したのです。
利便性を増すことで、日帰りが容易になってしまい、都心に近かったその温泉地に宿泊する理由が失われたのです。

ただ、その温泉地は結果として、少なくとも以前よりは金銭的にうるおいました。

2つ目のケース。

とある温泉地は、都心からすこし離れた山奥のどん詰まりにありました。
そこにたどり着くまでの交通機関は、車かバスしかありません。
それどころか、道路自体がその温泉地までで途切れています。まさにどん詰まりですね。
つまり、「その温泉地に行くんだ」という確固たる目的を持ったお客様しか訪れない。
どこかに行くついでに通り道だから寄っていこう、という気軽さでは訪れることが出来ない状況にあったわけです。

そんなわけで、その温泉地、ひとにぎりの秘湯フリーク垂涎の温泉地として存在していました。

このままではいけないと思った温泉地は、たくさんのお客様を呼び寄せるべく、策を練りました。

まずは、温泉街に活気を取り戻すことを心がけ、まずは温泉地の中心街で廃墟となっている店舗に目をつけました。
温泉街で一番にぎやかな中心地。
お土産屋さんが立ち並び、浴衣を着た人が多く行きかうその場所に、廃墟が点々とある。
これはなんとも寂しく、お客様にとってもあまり気持ちの良いものではありません。
そこで、この廃墟を町の事業として取り壊し、足湯にしました。

他の廃墟も、町営の土産屋や、宿泊施設がお金を出し合ってモダンなカフェを作るなど、可能な限り再生しました。

また、温泉地に訪れたお客様の利便性を図ることを心がけました。
その温泉地の住人は、任意ではありますが、
「○○温泉暦 14年(○○温泉に14年在住という意味) お気軽に道をお尋ね下さい」
というカードを首から下げ、街の全ての住人を観光案内人にする運動を進めました。

また、挨拶運動を推し進め、すれ違う観光客のかたにはすすんで挨拶をするように心がけました。

また、夜を魅力的にする必要がある、という点にも目をつけました。

「夜が魅力的であれば、それを目当てにお客様が宿泊してくれる」

そこで、夜に開いているお店や、夜も楽しめる名所を記載した夜歩きマップを作成しました。
また、閑散期には街の名所をライトアップし、縁日を実施しました。

しかし、ここまで行っても、地の利の悪さというものはやはり大きく、思った以上にはお客様は増えませんでした。

ただ、その温泉地は結果として、少なくとも以前よりは金銭的にうるおいました。

まったく同じような悩みを抱えていた温泉地ですが、客寄せの策はまったく異なる二つのケース。

前者のケースは一見して大失敗のようですが、今後、大きく伸びてゆく可能性を感じます。
これからお客様がどっと押し寄せるための「利便」という条件を、すでに満たしているのですから。

でも、私があくまで個人的に好感を持てるのは、後者です。
なぜか?

bakadan31

温泉地を運営し、変えてゆくにあたって、その中心となる人物や組織と言うものは確実に存在します。

そういった人物は、たいていその温泉地に古くから住み着いている人間です。
だから、観光客が美しいと感じるものが生まれながらの風景になっていて、土地が持つ魅力に、意外と気付きづらいのです。

温泉地を変えてゆくのに必要なものは、
「資金」
「アイデア」
「交通の改善」
「根気」

など、色々あるのですが、最終的に必要なのは、1つだと思います。

「郷土愛」
です。

自分が住む土地が、それこそ暑苦しいぐらいに大好きで、
「なんでみんな、この土地の、この観光地に訪れないんだろう? 教えてあげたいな、味わわせてやりたいな」
と感じること。んで、
「さて、どうやったらそれが出来るんだろう?」
とつなげること。

そこから素晴らしい企画というのは生まれるんではないだろうか、と思います。
それが出来る人、根っからのエンターテイナーは、ほんの一握りです。

私が2ケース目の街づくりに好感を持てるのは、安易にそれまでの温泉街の魅力を消してしまった1ケース目に比べ、それを色濃く感じるからです。

だから私は、私がどこかの観光地に訪れて、そこが素晴らしいと思ったときには、必ずこう思うんです。
「この観光地からは、地元民の土地に対する愛情を感じる」


革命は、地域に根ざしたものでなければならない。


と、ある映画から頂いた言葉でしめくくりつつ。

本日はこんな感じで。


作画:foomin

text by 馬鹿旦那 | 2005.07.19 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (4) | トラックバック (0)

2005.07.05

第19回:馬鹿旦那と温泉入浴指導員

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

皆さま知っての通り、コラムライターさんがまたしても一新されるようです。

このコラムを書いている段階では、どんなかたが、どんなテーマでコラムをスタートさせるのか、新規ライターさんは何名なのか、全く知らされておりません。

いや、そもそも、新しいコラムライターさんがこの段階で決定していない場合、今現在このオフログの舞台に立っているのが、私だけと言う可能性もあります。
もしもそうなら一人舞台です。本来数名の演者がいなければ成立しない舞台に、一人きりで立たなければならない状況です。そう、北島マヤです(当コラムに訪れる人全員が「ガラスの仮面」愛読者に違いないことを前提としたネタ)。

紅天女!

そんなわけで、こんにちは。
スポットライトを浴びつつ、こんにちは。
でもそのスポットライトは照明係の手違いでブラックライトです、こんにちは。

衣服の白い部分と歯だけをうすぼんやりと輝かせつつ、馬鹿旦那でございます。
うすぼんやりとした内容の温泉コラムを、もう18回も連載させていただいております。

旅館支配人で、もと旅行代理店社員で、温泉入浴指導員の資格を持っております。
つまり、皆様が温泉旅行をされるとき、皆様の向かい側、「接待する側」に立ち続けてきたことになります。

このコラムは、我々の視点を皆様にのぞき見ていただくことで、新たな温泉の魅力にお気付きいただこうという、そんな内容でございます。
ときおり脱線して旅に出ますが、それはそれです。
その際に馬鹿馬鹿しい写真でお茶をにごしたりもしますが、それもそれです。

さて、今回は、私が持つ肩書きのひとつ、「温泉入浴指導員」という資格についてお話できればな、と思います。

「温泉入浴指導員」

国家資格ではありませんが、 それに順ずるもので、厚生労働省規定資格と呼ばれるものです。
立ち上げが平成15年ですから、まだまだ生まれたての資格と言えるでしょう。

名前だけ聞くと、プールの監視員の温泉版みたいなイメージがありますが、そんなことはありません。「タオルを湯船に入れるな!」と笛を吹くような立場にはありません。

温泉入浴指導員のお仕事は、大まかに言って、4つ。

1.温泉入浴者に、温泉の正しい使い方を指導すること。
2.温泉入浴者に、温泉に伴う健康的な生活のための指導をすること。
3.温泉施設そのものの安全管理を行なうこと。
4.温泉や温泉施設に伴う事故発生時に救急救命処置を行なうこと。

簡単に言えば、温泉のプロフェッショナルのようなものですね。
これまでのコラムでもつづった通り、ここのところ、温泉施設や温泉そのものに対する安全性が騒がれている状況でして。

こういった温泉に対する知識を持ったプロフェッショナルを各施設に配置することで、皆さんが安心して温泉に入浴できる環境を提供して行きましょうね、ということです。

皆さんも知っての通り、温泉と言うものは、なんでもかんでも入れば身体に良いと言うものではありません。
「禁忌症」というものが全ての温泉には存在し、お持ちの病気や怪我によっては、温泉に浸かることで悪化してしまうことだって少なくはないのです。

また、高血圧の方にとっても、温泉が凶器となる可能性はあります。
高血圧のかたが、温泉に入ると血圧が上がるため、血圧を下げる薬を飲んで温泉に入浴する。
いっけんして理にかなった行動のようですが、実は、これは危険行為です。
温泉に入浴した瞬間、確かに人間の血圧は上がります。
しかし温泉から出て脱衣所に行くまでの間、血圧は急激に下がるのです。それは入浴前、つまりフラットな状態よりも激しいもので、それから数十分から数時間をかけて、ゆっくりとフラットな血圧に戻ってゆくのです。
そのため、血圧を下げる薬を飲んで入浴した場合、温泉から出た瞬間、それでなくても薬によって下げられている血圧がさらに急激に低下し、死に至る危険すらあるのです。
血圧の高い方は、熱い風呂を可能な限り避け、半身浴から徐々に身体を慣らして入浴するのがベストといえるでしょう。

さらに温泉には、レジオネラ菌の心配もあるでしょう。
以前、当コラムでレジオネラの危険性が皆様が怯えるほどのものではない、といったお話をしましたが、それを知らないお客様は多くいらっしゃいます。施設側の人間にしたって、無知な人間がまったくいないとは言えません。

しかし、そんな細かいことを勉強して温泉に入る人間はいません。

そんな背景のもと、「温泉入浴指導員」は生まれたのです。

連載を続けてゆく上で、「ところで温泉入浴指導員って、なによ?」という質問を多く頂戴していたのですが、どっこいしっかりと温泉入浴指導員の知識が活かされていたのですよ。当コラムには。えっへん。

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現在、全国のいたるところで、温泉施設の責任者を対象とした「温泉入浴指導員」の研修・試験が行われています。
「温泉入浴指導員」の資格を得るためには、2日間研修をみっちり受け、その後の試験で高得点をあげる必要があるのです。

私が温泉旅館の支配人としてこの研修に参加したのは平成15年の冬。この資格が生まれた年であったと記憶しています。
講師による温泉の講義を朝から晩まで受け、非常時の人工呼吸の手順などを学びました。

講義の本筋からは少しそれるのですが、温水プールを利用したエクササイズについても体験講習を受けました。
温水プールで身体を動かすことで、リハビリやカロリー消費・健康維持に多大な効果を発揮するというものです。

ムキムキのお兄さん(以下「キンニク」)の指示のもと、プールの中に受講者たちが入水します。
受講者たちは全員温泉施設の責任者なので、その98%が中年の小太り、もしくはすがすがしいほどのデブちんです。
そのデブちん集団がたるんだバストを引きずりつつ、キンニクに続く形で、プールの縁にそって屈伸しながら横移動します。
プールには瞬く間にデブちんによる巨大な渦が発生します。
「汚いウォーターボーイズ」を想像してください。
あー、この渦の中心から「3段やぐら」がヌーンと出てきたら、もっとウォーターボーイズっぽくて面白いのになあ。汚いけど。
そんな妄想をよそに、キンニクの号令で、ボーイズはこれまでと反対方向に横移動します。
でも、発生した渦には逆らえず、それでなくてもデスクワークで足腰の立たないボーイズたちは、次々と飲まれてゆくのです。
いたずらっぽく笑うキンニク。
それどころではないボーイズ。
ビーチ板をオールのように扱い、渦をより強くするキンニク。
死を覚悟するボーイズ。

エクササイズでぐったりとしたボーイズたちは、襲い来る疲労感と戦いながら、再び講義を受けるのです。

2日間の研修の最後に行われた試験の結果は、全員満点と言う驚異的なものでした。
もちろん、全員合格です。
これは、奇跡の物語です。
感動です。

この奇跡には、
「合格点を取れなかったものはその場で答え合わせをし、さきほどとまったく同じ問題で試験を受けなおす」
という背景があります。

あと、
「試験直前の『傾向と対策』という授業で、試験問題と答えが100%明かされる」
というのも、奇跡の理由のひとつです。

・・・・・・・・・・・・はい?

なにか問題点があれば、質問を受け付けます。

ええ。

そんな感じでしたよ。

試験、どうやっても全員が合格できるようになっていましたよ。

温泉入浴指導員のような生まれたての資格と言うものは、まず資格の知名度を高めるために、こういったことをするものなんです。

じゃあ温泉入浴指導員の資格を持っている人はまったくの役立たずじゃないか、というと、そんなことはありません。
受講者の中で一致した意見として、こういったものがあります。

「試験の内容は、仮に講義を受けなくても合格点ぐらいは取れたかもしれない」

これは、試験問題自体が簡単すぎるから、というわけではありません。
温泉施設の責任者には、講義を受けなくとも、すでにある程度の知識が備わっているのです。
大抵の責任者は、既に指導員なみの知識を持っていたのです。
あとは今回の講習で自分の中で足りなかった知識の穴埋めをしていたに過ぎなかったのです。

試験事態はヌルいものでしたが、私もこの講習で、多くの知識を得る事が出来ました。
資格を持っている温泉施設の責任者たちは、持っていない責任者に比べて、圧倒的に強化されていると思うわけです。

自分はこれこれこういった症状を持っているのだが、温泉に入っても大丈夫だろうか?
妊娠していても、温泉に入ってよいのか?
火傷を負っているのだが問題はないのか?

温泉入浴に対する不安があるとき、温泉入浴指導員がいる施設では彼らを有効活用し、より効果的で安全な入浴を指導してもらうことをお勧めいたします。
そして、資格取得者は、お客様にどんどん指導者の存在と知識を広めてゆくことをお勧めいたします。

温泉のプロフェッショナルが、温泉地で大活躍する日が来るかもしれない。

と、本日はそんなお話でした。


作画:foomin

text by 馬鹿旦那 | 2005.07.05 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (3) | トラックバック (0)

2005.06.21

第18回:馬鹿旦那と道の駅温泉

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

あのですね。

もう、先にお話しておきますが、当コラム、まだ続くそうでございます。

なんと次回のシーズンで、まる1年の連載となるわけです。すげえ。
今回の期間延長のお言葉を@nifty温泉さんから頂いた時にですね。

「いまや馬鹿旦那さんのコラムは、おフログの大黒柱です」

と、こうおっしってくださったんですよ。

いえいえ。
細いですよ。
その大黒柱、細いですよ。
折れちゃいますよ。
ちょっと寄りかかったら、イっちゃいますよ。
湿ったポテロングを立てているだけですよ。
柱じゃないんですよ。
ポテロングなんですよ。

ともかくですね、イモ菓子なりにもうしばらく頑張りますので、よろしくお願い致します。

さて、それでは本日もお話を。

今や全国の至る所に存在する、「道の駅」
簡単に言えば、国がお金を出してやっているドライブインです。
「道の駅」の機能は、おおまかに言って、3つ。

道路利用者が羽を休めるための「休憩機能」
道路利用者や地域の方々に、地域情報を提供する「情報発信機能」
「道の駅」 をきっかけに町と町とが手を結びあう「地域の連携機能」(この3つ目がなんかキナ臭め)。

この道の駅、ざっくばらんに申し上げると、各施設、1億円づつの建設費用が投じられていると聞いております。

設置担当者となるのは、各市町村、もしくは市町村に代わりうる公的な団体。
担当者はこの1億円をセンス良く使い、個性溢れる道の駅を建設するわけです。

とある道の駅は、敷地内に巨大なビニールハウス群を作り、イチゴ狩りを楽しめるという「個性」を設けます。
とある道の駅は、敷地内に宇宙飛行士のためのトレーニング器具を配置し、体験することが出来るようになっています。
とある道の駅は、敷地内に「1億円のトイレ」と呼ばれるトイレを設置し(国から貰った1億円を全てトイレに投じたようです)、グランドピアノの自動演奏と総大理石のトイレで用を足すことが出来ます。

上の3つ。実在します。探してみてくださいね。

とにかくセンスに溢れ、個性的な道の駅。
この道の駅が地域にもたらす問題点などは、後半に説明します。

さて、そんな道の駅の中に、「温泉に入れる道の駅」が存在するとの情報を聞きつけた馬鹿旦那。
仕事漬けで外出の暇などあるはずのないfoomin氏を西村京太郎もびっくりの時刻表トリックで拉致し、現地に急行しました。今日も完全犯罪。

栃木県(最近、栃木ばっか)の喜連川温泉に存在する道の駅、「道の駅 きつれがわ」には、温泉施設のみならず、名物の「喜連川温泉パン」「喜連川温泉ナス」など名前からしてナイスなフードも充実しているとのこと。聞くところによれば味も絶品らしく、ファンが大変多いんだそうな。

行きの車の中、いやがおうにも期待は高まるのですが、喜連川のシンボルである展望台、喜連川スカイタワーに足湯が存在するとの情報も聞きつけ、道の駅の前に寄り道を敢行。

喜連川スカイタワーには、自動車、もしくは山の斜面を蛇行して登る、シャトルエレベーターなる乗り物で向かいます。
歩いても20分ほどで登れるので、散歩がてらにプチ登山を楽しむのも良いでしょう。
このシャトルエレベーター、見た目は完全にスーパーハウスですが、急な斜面を登る登る。わずか3分ほどでタワーへと導いてくれました。

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こちらがシャトルエレベーター。見た目は完全に工事現場だが、素敵な一品。

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エレベーターが登ってゆく様。かなりの急坂だが、もろともしない。たくましい。

タワー周辺は公園となっていて、アスレチックや孔雀が大量に押し込まれた小屋、懐かしいカキ氷の自販機など、イカしたグッズに溢れたスペースです。

足湯はお年寄りの皆さんに占拠されており、残念ながら入浴は出来ませんでした。

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金の無い我々は、迷うことなく歩きによる登山をチョイス。写真は、登山道で発見された野良ロボット。動力は原子炉。

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公園内にて特設ステージを発見。思わず自作の「ラブ数え歌」を熱唱する馬鹿旦那。「♪ひっとつっとせ~、必死でパクったリコーダー♪」

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足湯を発見。しかしながら地元のお年寄りで満席の模様。無念。

仕方ないな、とばかりにタワーへと向かいましたが、このタワー、思ったよりも高い。
無愛想極まりない受付のオバハンから入館券を購入し、自力でエレベーターに乗り込み、自力で「2階」のボタンを押し、展望室へと登ります。

展望室から眺める風景は、のどかなもの。
なんでもない景色ではありますが、この高さを2人だけのものと出来るのであれば、かなりの満足です。

ええ。
お客様は我々だけでしたよ。

タワーの展望台に、野郎が2人きりでしたよ。

寂しいと思うでしょう?

でも、相手は我々バカ2名ですよ。
寂しいどころかはしゃぐはしゃぐ。

ものすごい笑顔でバーッと走って展望台を1周したり(所要時間10秒)、床の上で寝転がったり、自動販売機の取り忘れたおつりをチェックしたり。
そんな中、防犯カメラを発見してちょっとこっぱずかしくなったり、開き直ってカメラに向かってWピースをしたり、柱から柱へキャッツアイよろしく身を隠しながら移動したり。
あの受付の無愛想なオバハンが防犯カメラをチェックしているのではないかと推測して、防犯カメラAの前で私が、防犯カメラBの前でfoomin氏が全力でコマネチをするという嫌がらせを実施したり。

主旨である「道の駅温泉」のことも忘れて楽しむこと30分(その間、他の客、一切訪れず)。
ようやくその主旨を思い出した我々は、タワーを出て下山。
タワーからも臨むことが出来た「道の駅 きつれがわ」へと向かいました。

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喜連川スカイタワーの前で呪術を唱える黒魔道師。まさにこの瞬間、地球の裏側では100体の悪魔が出現。平和な村は火の海に。

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タワーから町の平和を見守る先住民。foomin氏に見えなくも無いが、別人だ!騙されるな!頭から食われるぞ!

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展望台の自販機前で、親にジュースをねだるガキんちょ(28歳)。この後、笑顔でタワーから我が子を突き落とすタイプの教育方針を目の当たりにし、全員失禁。子供は不思議と無傷。

田園風景の中心に、ぽつりと立った近代建築。
スカイタワーから見た、それが道の駅「きつれがわ」の第一印象でした。

施設案内図を見てみると、「道の駅温泉」の表示の手前に「ふるさと直売所」があるのを発見。
まずは伝説の名物「喜連川温泉パン」と「喜連川温泉ナス」を求め、直売所を訪れました。

直売所は、中央にテーブルと椅子を配置した、なんちゃってアーケードの一角に位置しております。
正面から右手が直売所。左手はフードコート。
ラーメン屋、惣菜屋、タイヤキ屋にソフトクリームというものすごく選択肢の限られたフードコートも大注目なのですが、右手のふるさと直売所も驚きの安さです。
私はコンビニ利用率が大変高い人間ですので物の相場が分かりませんが、素人目に見ても、農作物の価格の安さがわかります。
そんな中、喜連川温泉ナスを発見! あまりに簡単に見付かってしまった伝説の一品に肩透かしを食いましたが、よく見れば、これは普通のナス。
なんでも温泉ナスはシーズンが限られており、現在は漬物でしか入手できないとのこと。

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道の駅温泉に降り立った貧乏神。思った以上に立派な建物に驚愕。

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ふるさと直売所で食材を吟味する調理人。20年もの修行にもかかわらず、身に着けた調理方法は「焼く」のみ。

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抜き打ちで「ナンちゃんを探せ」を敢行する馬鹿旦那。懐かし~!君は馬鹿旦那を見付けられたかな?

温泉ナスも温泉パンも、道の駅温泉と同じ建築の中にある総合交流ターミナルに置かれているようです。

総合交流ターミナルは、観光案内所・道の駅温泉・土産品の販売・なんとこちらにもフードコート(こちらはメニュー豊富)と、充実の内容。
敷地内には他にも温熱利用ハウスに一面の花々が飼育されていたりと、道の駅「きつれがわ」、かなりの気合を見せております。

土産屋にて、温泉ナスと温泉パンを発見。
温泉ナスは漬物だけなのでなんとも言えませんが、温泉パンはもっちり・ずしっとした、給食を彷彿とさせる丸パン。
せっかくですので惣菜屋で数品購入し、なんちゃってアーケードで昼食を楽しむことにしました。

喜連川温泉パン、美味しいですよ。ほの甘い、懐かしくてやさしい味。しっかりした食感。
実は、私、以前に1度だけ食べたことがありまして。そのときは大学生だったでしょうか。まったくこのパンの魅力が理解できなかったのですが、今はその良さが分かります。
美味いです。
美味い、というか、おいちー、と言いたくなる印象でしょうか。わけわかんないですね。

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温泉パンの昇りを発見!「職人気質元気」のキャッチコピーが難解だ!どういうこと?

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温泉パンコーナーで試食を盗み食いする大盗賊。レジ前のコーナーのため、検挙は時間の問題。

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なにはともあれ、温泉パンをゲット!味も色々あって、目移り必至!美味そう!

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早速温泉パンに食らい付く終戦直後の労働者。食らうこと、それは生きることだ!

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こちらは温泉ナスの漬物。バカウマとの噂だが、銀行に立ち寄るのを忘れた両名は、ノーマニーでフィニッシュ。購入できず。

アーケード下とはいえ、久々に外で食べる食事をかみ締めつつ、周囲を見渡して、気付きます。
この道の駅、やたらと地元民の皆さんが多いです。
平日だから、というのもあるのでしょうが、観光客然とした方は全く見当たらないと言っても良いほど。
近くで働いてるスーツ姿の方、農作業着の方、トラックの運ちゃん、ちいちゃい子供を連れたおばあちゃん。
そう言えば、駐車場には温泉地に見られる大型バスは1台としてなく、何台ものトラックが整列していました。

観光地の発展のために建てられた道の駅の、もうひとつの良い面を見たような気がしました。
ただ観光客のためだけに存在するのではなく、地域の憩いの場としても溶け込んだ施設。

さて、温泉パンに満足したところで、我々はいよいよ、道の駅温泉に向かいます。
入浴料を受付で支払い、浴室へ。

内湯は循環で、露天は掛け流し。
内湯は隣にバーデプールがあるせいか、ちーと塩素臭が強烈ですが、まあ良いではないですか。気にされるかたは露天にお入り下さい。
お風呂自体は決して広々とはしていませんが、日々の疲れを癒すには充分。
塩気の強い含硫黄-ナトリウム-塩化物温泉も、疲労回復の効果は高く、カランの勢いもまずまずです。
「今、自分は道の駅にいるんだ」
と思うと、なんとも奇妙な感覚です。

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無事入浴を達成したコソ泥。盗みに入った家の風呂に入るスリルにハマって35年のベテラン。故人。

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内湯にはジャグジーも完備。猛烈な水の勢いに悶絶。さすがはMだね。万歳。

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温泉施設を出たところには、「ぼくのお父さん展」が開催中。こちらのお父さんは、どの角度から見ても顔に見えるという絶品。

この喜連川温泉は、県内でも観光地としてのイメージはもともと少なく、地元民が好んで入る温泉に観光客がお邪魔しているようなイメージを持っています。
だから、この地に道の駅が出来る時、観光客と同じぐらいに地元民が癒しを求めて訪れてくれるよう、クアハウスとしての側面を高めたのではないでしょうか。

道の駅とは、観光客と地域の発展のため、国が巨額を投じて作られたもの。
しかし、ある意味それは、諸刃の剣です。
道の駅に観光客が集中してしまえば、温泉地に古くからあるお土産屋さんは、大きな打撃を受けることになります。
施設内の土産屋が地元の土産屋の支店として存在したとしても、割を食う店は確実に増えるわけです。
道の駅の建設地が温泉街の中心なら地域の活性化に繋がりますが、その温泉地の手前の道路沿いに建設されてしまえば、観光客は道の駅で満足を得てしまい、結果として温泉街に訪れるお客様は減少してしまうかもしれません。

ただでさえ、国や市町村がつくった建築には反感が付き物です。
この「道の駅 きつれがわ」のように、観光客ばかりではなく、地域に愛される施設が作り上げられるなら何よりなのですが。

温泉の恩恵を全身に受け、そんなことを考えながら、「馬鹿旦那が見た、アレ」、3rdシーズン最後の旅も、いっかんの終わりでございます。

我々のコラムは、4thシーズンへと続いて参ります。
だんだんと内容が笑いのほうにスライドしてきましたが、もしもお気に召したなら、これからもお付き合い下さいませ。
次回からも頑張ってコラムります。

ここまで続けられたのも皆様のお陰。

そこで、今回、謝恩企画として、このようなものをご用意させて頂きました。

ohanashi
(WMA形式・音声ファイル・約30分)

興味がございましたら、是非、クリックを。
音声が出ますので、職場で御覧になっている方は、クリックしないでくださいね。

(編集部追記)音声ファイルの公開は終了いたしました(2009/04/08)

kitsure_11
それでは皆さん、4thシーズンで、お会いしましょう。

kitsure_10
ワーーープ!

text by 馬鹿旦那 | 2005.06.21 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック (0)

2005.06.07

第17回:馬鹿旦那と困る言葉

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

こんなタイミングで申し上げるのもなんなのですが。
当コラムは、温泉旅館の支配人であり元旅行会社の社員であり温泉入浴指導員である馬鹿旦那が、それぞれの視点から温泉に関する問題や魅力を語る、そんな内容でございます。

それがいつの間に珍奇な写真で醜態をさらすコラムになってしまったのでしょう。

発言力も乏しい若造の自分が、温泉問題で危機に瀕する温泉観光地のために、出来ることを自分なりにやろうじゃないか。
このコラムは、そんな使命感に燃えて始まり、また@nifty温泉担当の皆様も、その熱き魂に引かれて素人の私なぞをコラムライターとして採用してくれたわけですよ。

それがいつの間に学生服やら三十路前のたるんだ裸体やらで、醜態をさらすコラムになってしまったのでしょう。

申し訳ない。本当に申し訳ない気持ちで一杯です。
私の下で働いてくれている従業員の皆様にも、申し訳がない。
ダメな上司でごめんなさい。
でも、そんな自分が大好きなんです(世話なし)。

んで、ですね。

どうも私は、旅行会社の話をするとき、誤解を受けやすい傾向にあります。
ですから、前もって申し上げておきますね。

旅行会社とは、素晴らしいものです。

今は、インターネットの普及などで多くの商品の取引きが機械化し、「相手の顔も心も見えない商品売買」が増加の一途をたどっています。
そんな中、形の無い「旅行」という商品を取り扱う「旅行会社」は、「お客様との対話から商品を組み立てる」、数少ない商売の一つです。

外回りの営業のかたも、販売カウンターで接客をするかたも、団体旅行の添乗員も。
お客様と接し、その主義・主張を出来るだけ汲み取り、そのかたが満足できる旅行を作ろうとする。

私が1年間お世話になった旅行代理店は、そんな「お客様との対話」を特に重んじる職場でした。
各旅館さんとの関係も良好で、「互いがリスクを負いながらもお客様を満足させる」ことが出来ました。

社長と社員の仲も驚くほど近く、ときにはうっとうしいほどにベタベタで、でも心地よい場所でした。

勉強のためにお世話になっていた1年間はあっという間でしたが、旅館支配人として過ごしている今も、当時の精神はしっかりと息づいています。

素晴らしい場所で働けた。
それだけに、いくつかの旅行会社で未だ根付いている悪癖が許せませんでした。

今回は、その悪癖を少しだけ語らせてください。
しかしそれは、ネットばかりでなく旅行会社の店舗にもっと多くの人が訪れて欲しい、だから、旅行会社にはこうなってほしいという気持ちの表れだと思っていただきたいのです。

旅行会社様から旅館に予約が入るとき、こんな言葉が添えられることがあります。

「支店VIP」

この言葉、旅行会社と契約を交わしている旅館関係者なら、100%目にしている言葉です。

「支店VIP」
「支店のVIP」

つまり、その旅行代理店にとって、このお客様はお得意様です。
という意味です。

掘り下げると、
「このお客様は、支店のお得意様なので、旅館側でもなんらかのサービスをしてあげてください」
とか、
「このお客様は、支店のお得意様なので、クレームが起こらないように、特別に良くしてあげてください」
ということですね。
ちなみに私は、こう捉えます。
「こちらのお客様は旅慣れている等の理由により、旅館に対して求めている接客レベルが高い可能性がある。だから、よりいっそうの心遣いを心がけよう」

で、このメッセージを受け取った旅館は、そのお客様に対して、代理店様にもご迷惑をかけぬよう、なんらかのサービスをご用意する。
というわけです。

んが。

そんな旅館が全てではないことも、また事実です。
このメッセージに対して、こう感じてしまう旅館さんもいらっしゃることでしょう。

「支店、つまり旅行代理店のVIPなのであれば、旅行代理店側がなんらかのサービスを用意するべきである」

ちょっとキツい考え方かもしれませんが、これにも一理あります。
旅行代理店によくお越し頂くVIPである。
でもそのお客様は、旅館にとっては初めてのお客様なのですから。

なおかつ代理店側はなんら金銭リスクを負わず、サービスにかかる費用は結局旅館側の負担となることが多い。
これは、旅館にとって、あまり気持ちの良いことではありません。
また、「初めてのお客様A」と「初めてのお客様B」。どちらのお客様も旅館にとっては初めてのお客様であるにもかかわらず、サービスで差別をしなければならない。
「言わなきゃわからないよ」と言ってしまえばそれまでなのかもしれませんが、これはお客様にとって、あまり気持ちの良いことではありませんよね?

さらに。

この支店VIPという言葉。
多用する旅行代理店が、わりと多くいます。

たぶん、楽だから、なのでしょう。
予約時に、コンピューターで「支店VIP」と、わずかに5文字を入力し、送信。
たったこれだけの作業で、旅館のお客様に対する待遇が、少なくとも悪くはならない。
それどころか、ぐんと良くなる可能性があるのです。

なので、ごく一部ではありますが、ちょっとうるさくてクレームを起こしそうなお客様であれば、初めましてであっても「支店VIP」と入力してしまう代理店なんてのがあるようです。
まあ、さすがに、全てのお客様を「支店VIP」と連絡するようなところは、無いと思います。
オオカミ少年の話ではありませんが、そんなことをしてしまおうものなら、本当の大切なお客様に対して、「ああ、ここは全員支店VIPって書いてくるからね」と、旅館の対応が粗雑になってしまうこともあり得るかもしれません。

そんなわけで、旅館によりけりなのでしょうが、「支店VIP」という言葉。
旅館業を行っていると、かなり多く見受けられるわけです。

bakadan29

作画:foomin

サービスにかかる費用は、旅館側の負担。
その上、もしもクレームなどに発展してしまったら、責任も旅館。

これでは良い気がしない施設があるのも当然です。

ちなみに私がいた旅行代理店では、大切なお客様をお送りした旅館には、代理店からなんらかのプレゼントを送っていました。
お客様がお付きになったとき、そのプレゼントをお渡しいただく、というわけです。

こういった美しいサービスを行っている代理店も、多くあります。

プレゼントは、特別高価なものでなく、代理店からお客様に向けての「無事到着されましたか?」のお手紙が旅館にFAXされる、といったケースもあります。
FAXなので単色で読みにくい手紙ではありますが、お客様に手渡すと、皆さん喜ばれているようです。

これもまた、美しいサービスだと思います。

「旅館」と「旅行会社」は、互いにリスクを負いあって、お客様に良いものを提供すべきである、と思うわけです。

旅行代理店から
「このお客様、お得意さまなんで、なんかサービスしてあげてくださいよ」
といった一方的な依頼からは、旅館側は、その言葉の裏に、
「お客様を送ってやっている」
という恩着せがましい意思を感じ取ってしまいます。

そして、同じように「旅行代理店を儲けさせてやっている」という一方的な感覚を持った旅館・ホテルも、数多くあることと思います。

旅行会社も旅館も、お客様に満足を得てもらうため、最大限の努力をする。
んで、お金も儲けられればこの上なし。
といった方向性は同一です。

そのことを全ての旅館が、全ての旅行会社が感じていられれば良いのですが。

と、そんなところで、本日はおしまいです。
あまり温泉とからまない話で、ごめんなさい。

久しぶりに真面目っぽい話をしてしまいました。リハビリです。

んで、次回は最終回です。
今のところコラムライター任期再々延長のお話は来ておりませんので、現段階におきましては、次回の第18回を持ちまして、幕です。

最後は温泉コラムらしく、またちょっとした取材をしてこようかと思っております。

ついでに、なんか面白いことが出来ればなあ、と、作戦を練っております。ねりねり。

では。
次回の最終回でお会いしましょうね。

text by 馬鹿旦那 | 2005.06.07 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック (1)

2005.05.25

第16回:馬鹿旦那の突入!ピラミッド温泉

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

先日、当コラムのファンであらせられる有難いお方から、
「ネタが尽きてきているのは文面から滲み出てわかりますが、頑張ってください」
との言葉を頂戴いたしました。

ありがとうございます!でも見抜かないで!でもありがとうございます!でも哀れな人間を見るような目で見ないで!

そんな、馬鹿旦那でございます。

「香港国際警察/NEW POLICE STORY」は、ジャッキー映画史上、最高傑作だと断言してもよい、馬鹿旦那でございます。
さりげなくお勧めです。

こういった無駄話で行を埋めているから、「ネタが尽きてきているのでは」とお気遣いさせてしまうんでしょうね。正解。

では、さっそくお話に移らせていただきます。

p>では、さっそくお話に移らせていただきます。

わが地元である栃木県に「ピラミッド温泉」なる名前からして期待の高まる温泉施設があるとの情報を聞きつけました。

なんでもその「ピラミッド温泉」、ホームページ上で
「この温泉の特徴はその泉質の良さとピラミッド・パワーにあります」
と高らかに宣言し、内部に「瞑想室(めいそうしつ)」なるサイケな部屋まで設けているほどの自信ぶり。

温泉成分のみならず、ピラミッドパワーすら効能として取り込んでしまうとは、なんともあっぱれな施設です。

しかし、みなさん。
ピラミッドパワーをナメてはいけません。

実は馬鹿旦那の弟、「カジノ王に俺はなる!」と言い残し、ラスベガスに留学中でございます。
「帰ってくるときはチャーター機で赤じゅうたんでドーベルマンを5匹連れた上で総金歯だ」
と言い残し、ラスベガスに留学中でございます。

彼が留学中のラスベガスには、ピラミッド型の巨大ホテルが存在します。
そのホテル、ラスベガスでも有数の豪華ホテルとしてお馴染みなのですが、実は地元民の間でささやかれている、もう一つの「お馴染み」があるのです。

それは、幽霊です。
そのホテルさん、幽霊が出るという噂が絶えない、出現率No.1のホテルとして噂されているのです。
これはもちろん噂に過ぎないので、鵜呑みにしてしまうのもどうかとは思うのですが。
この幽霊の出現率とピラミッド型というホテルの形状になんらかの因果関係があるのでは、というのが地元民の解釈となっているようです。

まあ、幽霊が出る出ないに関してはあまり良いイメージとは言えませんが、ピラミッドという建築の形状には、良い意味でも未知のエネルギーが秘められているのかも知れませんね。

「温泉」と「ピラミッドパワー」。「温泉」と「瞑想」。
この相乗効果を身体に取り込めば、かめはめ波ぐらいは撃てるようになるかも知れません。少年時代の夢が15年の歳月を経て、ついに叶うかもしれません。もしくは幽霊に出会っちゃうのかもしれません。

そこで馬鹿旦那、ぷんぷんただようオカルト臭に怯えるfoomin氏を当て身で気絶させ、突入してみました。
題して、「馬鹿旦那の突入!ピラミッド温泉」!

早速、出発!

道すがらに発見した「益子焼共販センター塩原店」に「すりばちラーメン」という、食い放題ラーメンを発見!
すり鉢にラーメン2玉がぶち込まれただけ(でも、具のほうは一人分)というヒネりの無さと「一杯のかけそばファミリー」も大満足であろうボリュームの醤油ラーメン800円ですっかり腹を満たした我々は、栃木県関谷にその存在が確認された伝説のピラミッドを目指します。

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すり鉢ラーメンが食べられる「益子焼共販センター」の前にて。シケモクにありつくインジャンジョー。

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2玉入りの巨大ラーメンを爆食するfoomin氏。写真から見ると普通のようだが、食べたぶんだけ下半身が膨れ上がる奇病。

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おかわりを注文したところ、すり鉢に入っていない普通のラーメンが登場。え?じゃあもう、すり鉢ラーメンじゃないよ?いいの?

敏腕執事(カーナビ)に案内され、車はびっくりするぐらいに繁った林道に差し掛かります。

途中、「まったく車を警戒しない鳥」「強制的に車を徐行させる段差」などのトラップで友を失うこと73人。
多くの犠牲を乗り越え、ついに我々の前に、巨大なピラミッドがその姿を現しました。

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「ピラミッド?この奥に進みな!」と、罠だらけの道を勧める人食い族。

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無事、伝説のピラミッドにたどり着いたアキバ系。見事なまでのピラミッドぶりに失禁寸前。

すごい!めちゃくちゃピラミッドだ!
その想像以上のサハラ感に、テンションのメーターが振り切れるのを押さえられませんでした。

直後、このピラミッド温泉が、ディズ○ーリゾートの隠れアトラクションだと知り、ますますテンションアップ(いや、冗談ですよ)!

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スフィンクスを押しのけてピラミッド温泉の番人となった野ネズミ。ウォルトも裸足で逃げ出すディテールの甘さは必見!

ピラミッド前にはスフィンクスが2体!
ゲームセンター用の巨大な「黒ひげ危機一髪(電源は入っていないので、おそらくオブジェ扱い)」が、なんと5台!
孔雀が2羽!
やたらと人懐っこいウサギが3羽!

あちこちに配置されており、ピラミッドの謎的側面をいやおう無しに高めています。

高まる期待を抑えつつ、内部へ突入。

そこで我々を迎え入れたのは、やたらと立派な木造りのオブジェと、昭和のにおいがする受付と、館内スピーカーから流れる演歌の響きでした。

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ピラミッドの入り口に座するスフィンクス。思った以上に端正な顔立ち。惚れるな。

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史上初!カメラが捕えたピラミッド内部の画像!立ち尽くすfoomin氏の背中が印象的でした。

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オアシス(喫茶室)の手前で力尽きる若者。助からなかったパターン。

外のピラミッドという形状は、あくまでピラミッドパワーを屋内に充実させるためであり、なにも内装をエジプトらしくするような姑息な手段は用いませんよ。
という、オーナーの意気込みであると、勝手に解釈することにします。

ともあれ、押し寄せるギャップにテンションが半分以下に収縮するのを感じながら、我々は風呂場へと向かいます。

館内にはオーナーのナニな趣味が全力で反映された商品が多数販売されています。

「パワーカード」と呼ばれる手作り感あふれるカード(でもパワーは絶大らしい)や、ピラミッド型の水晶など。
「昔の夢ゾーン」と書かれた廊下には、羅漢果などの健康グッズ。
少女漫画の占拠率がやたらと高い、休憩用の本棚や、ピラミッドパワーでかつてないハイスコアが狙えるであろうゲームコーナー。
謎グッズのチャンポンで多少酔っぱらいながらも、楽しくその場を通り過ぎ、浴場へとたどり着きました。

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水瓶の構え方を必至で盗もうとする天界初の男性女神候補。この後、「脇の締めが甘い!」と2時間近く説教を受けるはめに。

脱衣所には「健康ひろば」と題された2畳ほどのスペース(広場?)に、マッサージ器が2台配置されています。親切!

他にもあちこちの貼り紙に、温泉効果よりもピラミッドパワーを効果的に得るための入浴方法が記載されていました。親切!

ここからも、この施設のウリが「温泉<ピラミッドパワー」であることが強く感じられるわけです。
ちなみに、貼り紙の内容を抜粋すると、「このお湯は身体に良いお湯だ!」と念じながら入るとより効果的だそうです。

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脱衣所のツッコミ所満載な貼り紙。悲しき事後報告がそそります。よっぽど悔しかったんだろうな~。

泉質は、強めのアルカリ泉で、ぬるぬるのつるつるです。
浴室内部もピラミッドらしい装飾はほとんどなく、至って普通。かけ流しの内湯が2つ(熱いのとぬるいの)。それにミストサウナがひとつあるだけですが、もうひとつ、最も強烈な個性がすえられていました。

「氣柱(きばしら)」
ピラミッドの頂点に繋がるこの柱に、入浴しつつ背骨をあわせることで、より効果的なピラミッドパワーを得る事が出来ます(断言)。
ピラミッドパワー。ピラミッドパワー。ピラミッドパウワーです。

早速foomin氏と氣柱に寄りかかります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

まあ、厳密にそれでどうなる、ということは聞かされてませんので、たぶんパワーが注入されたことと思います。

とりあえず、氣柱使用中に、foomin氏と私の口から漏れた感想は、
「・・・なんていうか・・・楽だね」
「・・・寄りかかってるからね。・・・楽だね」

でしたが、まあ、パワーは注入されました。されました。されました。

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見事に入浴を達成~!が、翌朝目覚めてみると、やはり肥溜めの中。また化かされた~!

pira14

ミストサウナにて発見された妖怪「曇りメガネ」。メガネが曇る全ての原因はこの妖怪のせいだ!気を付けて。

pira15

これが噂の氣柱です。オーナーいわく、気の流れを整える効果があるそうです。

ここまでで驚いたことは、このピラミッド温泉、リピーターの方が大変多いということです。
これだけの個性的な温泉施設において、それらの特殊なファクターには目もくれず、どうどうとお風呂に浸かっているお客様の多いこと多いこと。
お客様の入り自体も上々のようですし、特に地元の方に、けっこう人気のある施設なのでしょうか?

さて、温泉効果を得た我々は、いよいよこのピラミッド温泉の、最もコアな部分、「瞑想室(めいそうしつ)」へと足を運びます。

いよいよ馬鹿旦那とfoomin両名は、「第三の目」を開きます。
人類としての階段を、また一歩昇るのです。
そうなってしまえば、もしかすると、このコラムの内容は変わってしまうかもしれません。
やたらと達観した口ぶりで説教を繰り返す文章に、亀の上に象が乗ったような抽象的なイラスト。
もしかすると、このコラムが、温泉コラムではなくなってしまうかも知れません。
「馬鹿旦那が見た、アレ」改め、「馬鹿旦那が見た、真理」とか「馬鹿旦那が得た、カルマ」とか「馬鹿旦那、死んだら驚いた」とかに、タイトルも一新してしまうことでしょう。
でも、我々は進みます。
皆さん、さようなら。今日までの自分よさようなら。どんどんイタくなってきてないか、今回のコラム?

瞑想室は有料のため、ますは受付へ。

「瞑想室を使いたいんですけど・・・」
「あー、それがねえ・・・」
「え?」

瞑想の手ほどきは、全てこの施設のオーナーさん自らがしてくださるそうなんですが。
なんと、そのオーナーさん、本日は出張で不在なんだそうです。

つまり、瞑想は出来ない、と。

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瞑想室前で悲しみに暮れる、元祖さびしんぼう。無常に掛けられたチェーンか悲しみを倍加。

いやいや、馬鹿旦那、ここで引き下がるわけにはまいりません。
せめて中央に巨大な紫水晶がすえられているという瞑想室だけでも拝みたい。
交渉してみます。今、大流行の言葉で言う、ネゴシエイトです。

「ではせめて、瞑想室だけでもお見せ願えませんか?」
「ごめんなさいね」

ネゴシエイト、終了。

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(以下、水曜スペシャルのエンディングっぽく)

仕方なく、瞑想室の前で瞑想の真似事をし、今回の旅は終わりを告げた。
伝説の温泉にそびえ立つ氣柱。
ピラミッド温泉に潜む瞑想室の実態。
徐々に核心に迫り、その入り口にたどり着いたものの、未だに明かされない多くの謎を残したまま、我々は涙を飲んで同施設を後にした。
しかしながら我々は、再びこの施設を訪れることだろう。
そこにピラミッドがある限り、我々の旅が、真の終焉を迎えることはない。
(終)

P.S.

こちらの原稿を、文筆家であり科学者でもあらせられる(らしい)同施設のオーナー様に送付したところ、このような訂正を頂きましたので、掲載いたします。

「ピラミッド温泉のピラミッドは、決してエジプトのピラミッドを意識したものではない。
あのピラミッドと言う形は凸レンズのように、宇宙エネルギーを一点に集める、装置としての役割がある。
そして、その宇宙エネルギーを貯めておく物質として、最も効率の良い水晶と金を施したオブジェを瞑想室の中心に配置しているのだ。」

だ、そうでございます。
だ、そうなのでございますよ。ええ。

P.S.2

ピラミッド温泉は、ちょっと風変わりなだけで、至って安全な温泉入浴施設です。
瞑想室も本文中で書かれるほど謎的なものではなく、気軽に使っていただける部屋みたいです。
栃木県にお越しの際には、是非、暖まりに行ってみてくださいな。

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取材協力

栃木県 塩原温泉
ピラミッド温泉
@nifty温泉「ピラミッド温泉」詳細ページへ

作画:foomin

text by 馬鹿旦那 | 2005.05.25 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (4) | トラックバック (0)

2005.05.10

第15回:馬鹿旦那の潜入!温泉饅頭工場

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

へきゃーーーっしゅ!(茶魔語)
祝!連載15回!
と、中途半端なメモリアル数に、それでも満足げな馬鹿旦那でございます。
いくらなんでもそろそろ連載終了の予感がするので、ちょっとでもキリさえ良ければ、祝えるものは祝おうかと。

淋しいんだね。俺。

さあ、今日も涙で明日が見えないなりにお話をさせていただきます。

「温泉饅頭」という食べ物があります。
日本全国、どの観光地に足を運ぼうと、「無いわけが無いお土産」。
それが温泉饅頭です。

全国の温泉地の名物として君臨し、その結果、ありふれて陳腐なお土産品としての印象だけが残りがち。
これもまた温泉饅頭の王者がゆえの悲劇といえるでしょう。

温泉饅頭だって、作り手によってしっかりと個性を発し、味もピンキリで美味いものは本当に美味いのです。
「温泉饅頭=センスの無い土産物」
という観念をお持ちにならず、旅行特有の振り切れたテンションで、まずはかぶりつくことをお勧めします。

さて、この温泉饅頭を温泉饅頭たらしめる定義とはなんなのでしょう?

温泉を生地の煉りこみに使用しているのか?
温泉水で蒸しあげるからなのか?
温泉に関わる何かに似せているのか?

温泉饅頭と通常の饅頭の違いを確かめるべく、ぐずる作画担当のfoomin氏をクロロホルムで寝かしつけ、共に温泉饅頭工場に潜入して来ました。

man01
そんなわけで、潜入成功~!
ここまでで監視により散った15人の精鋭をたたえ、まずは写真を一枚。

今回お邪魔した饅頭工場は、栃木県塩原温泉にある温泉饅頭屋「美由堂」の自社工場です。
この小麦粉にまみれたサティアンで、どのように温泉饅頭が作られてゆくのか、工場が休みの日にもかかわらず無理やり押しかけ、美味しく解き明かしてみたいと思います。
その結果、レポートの途中で美由堂さんのCMが挿入される可能性が若干ありますが、今回のコラムは、そちらのCMをメインにお考え下さい。番組とはそういうものでございます。

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こちらが今回お世話になった饅頭工場の原住民。
衣装の白は獲物を誘き寄せるのに絶大な効果。

まず、工場へ潜入した我々が目にしたのは、大量の小麦粉と黒糖でした。
これを独自の配分で煉り、温泉饅頭の生地を作ります。

もちろん、生地を煉るには水が必要なわけで。
「この生地を煉るのに、温泉水を使ってるのでは?」
とたずねてみましたが、答えはノーでした。

温泉水を生地を煉るのに利用した場合、泉質によっては温泉成分が生地の安定の妨げになる。
というよりも、生地と相性の良い温泉水なんて、実際はほとんど無いのだそうです。
ごく一部の温泉饅頭を除き、「温泉水を生地の煉り込みに使用している説」は、否定されました。

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生地の錬り込みを見守る馬鹿旦那。
ドモホルンリンクルを思わせる愛に満ちた見守り。

煉りあがった生地を別の機械に移した白衣の饅頭野郎は、別のトレイから見たことも無い量の粒あんを鷲づかみ。同じ機械にセットします。
これで準備完了。粒あんが生地に包まれ、次から次へと生れ落ちてくるのです。

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「どいたどいた~、アンコが通るよ~、轢かれても知らないよ~!」
と、江戸っ子気質満点の原住民。

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マスゲーム並みに整列し、蒸し器へと向かう子供たち。
カメラはその一団を虎視眈々と狙う極悪超人の姿を捕らえていた。

素人のデブちん(略称・素デブ)から見ると、この段階のものを大福だと偽られれば、「変わった味だ」と疑問を感じながらもモリモリ食べてしまいそうなビジュアルです。
それぐらい美味そうな物体が、ぽこぽこ生み出されてきます。
実際にはこの段階で食べてしまうと危険だそうなので、大人ならではの理性と性欲を高めることで食欲を打ち消します。

生み出された物体は、機械の力で整列させられ、蒸し器に入る前に、霧吹きマシンでまんべんなく水気を与えられます。

この水に温泉水が使われている可能性を考え、
「この、生地に水気を与えるのに温泉水が使われているのでは?」
とたずねたところ、またもや答えはノーでした。

ついでに「この饅頭が、温泉に関わる何かを模して作られたのか?」もたずねてみましたが、
とある温泉地にはそのような温泉饅頭もあるのだが、ほとんどの温泉饅頭は該当しない。
とのお返事が。つまりはこれも違う、と。

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これが、水を吹きかけられた状態の饅頭の素。
完成品にしか見えないが、食べれば昇天という悪童。

水気を与えられた饅頭予備軍は、いよいよ巨大蒸し器の中へと吸い込まれてゆきます。

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蒸された饅頭が出てくるのを待ち受ける生臭坊主。
馬糞に祈りを捧げる、たいへん珍しい宗派の住職だそうです。

産業革命を思わせる、間欠的に蒸気を吹き上げる機械の前にて、待つことたったの13分。
さあ、いよいよ温泉饅頭がその姿を、


CM

 ♪売れてるぜ~、売れてるぜ~、饅頭が~、売れてるぜ~♪
 ♪「美しい」の「美」に、「自由」の「由」~、美由堂(みよしどう)の饅頭が~♪
 ♪美しい自由とか言って、なんだかアメリカみてえだなあ♪
 ♪でっけえでっけえアメリカに届けアンコの芳香よ♪
 ♪美由堂~、美由堂~、温泉饅頭、美由堂♪

 栃木県 塩原温泉 温泉饅頭なら美由堂へ!栗きんとん饅頭もバカウマです!


さあ、脱線ぎみのCMソングで美由堂の魅力を存分に感じていただいている間に、温泉饅頭がついに蒸しあがりましたー!

完成品の試食を許された我々は、機械から出たばかりの饅頭を頬張ります。

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完成ー!ぶひー!
たまらない香りと湿気が工場に充満!

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待ちきれず完成品に飛び掛るイタリアンマフィア。
あまりの熱さにあっさり火傷。テンションは半分以下に。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
う・うまい!
うまぴぎゃーーーーーす!(茶魔語)

なんという生地の柔らかさ。ほくほくのアンコ。
出来立てアツアツの温泉饅頭が、これほどまでに美味いとは!

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かぶりついた瞬間、宇宙の真理を獲得した馬鹿旦那。
この後、全身が神々しく輝いたものの、奇病扱いで病院送りに。

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美由堂名物「栗きんとん饅頭」を食らう寸前の退役軍人。

全ての材料は国産品を吟味しているのだそうで、こだわりが生み出す絶妙の味わいは一食の勝ちあり!
お世辞抜きでバカウマ!それが、美由堂の温泉饅頭なので


 ♪売れてるぜ~、売れてるぜ~、饅頭が~、売れてるぜ~♪
     (中略)
 ♪グランドキャニオン♪ラスベガス♪ロスエンジェルス♪
 ♪温泉饅頭~、美由堂~♪

 栃木県 塩原温泉 温泉饅頭なら美由堂へ!場所はそのへんの町民に聞いてね!


いやあ、美味い。
そして、これで謎が解けました。
だって消去法でいけば、「饅頭を蒸すのに温泉水を用いている」が正解に違いないのですから。

でも、一応、聞いてみましょうね。

「つまり、アレですよね。饅頭を蒸すのに温泉水を暖めた蒸気を利用している、と」
「いいえ」

おっ。

「っていうことは、ですね」
「はい」
「温泉饅頭は、どの部分で温泉がからむんでしょうか?」
「温泉饅頭は、温泉地で作られたり、売られたりしているから、温泉饅頭なんですよ」
「・・・つまりは、こういうことですか?」
「はい」
「①温泉地に行く ②饅頭を作る ③温泉饅頭の完成」
「はい」
「これが、温泉饅頭のレシピである、と」
「はい」

まあ、考えてみれば、至極当然の話で。
一部の泉質を除いて、温泉の成分が饅頭作りの妨げになるのだと考えれば、温泉饅頭の7割ぐらいは、この定義が採用されているのではないでしょうか?
無理矢理温泉水を利用して、出来上がった饅頭がやるせないテイストになってしまっては、そのほうがお客さま的にも職人的にも問題ではないかと思うわけですよ。

現に、美由堂さんの温泉饅頭は、こんなに美味しいわけですしね(ここ重要)。

さて、完成した饅頭は、冷めるのを待って、機械にて1個1個ビニール詰めされます。
詰め終わった饅頭をトレイに整列させ、真空パックで包み、これにて温泉饅頭は完成となるわけです。

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こちらが饅頭をビニール梱包する機械。
馬鹿旦那もお手伝いしたものの、手際が悪く5秒でクビに。

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今度は梱包済みの饅頭を整列させる仕事にジョブチェンジ。
界王拳を4倍にしても追いつかないほどのスピードに悲鳴。

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詰め終わった大量の温泉饅頭に歓喜するハンチング。

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ビニールに梱包した饅頭を真空パックして、完成!
あとは箱詰めして客がむさぼる瞬間を待つのみ!

この温泉饅頭、やはり出来たてが最も美味しく、真空パックしてしまうと当然の事、皮は堅くなってゆき、味は落ちてしまうわけです。
皆様がお土産として購入するのは、間違いなく、皮の堅くなり始めた、この真空パックの温泉饅頭ではないかと思います。

そこで、温泉饅頭屋の主人曰く、電子レンジでの蒸しなおしをお勧めする、とのことです。
温泉饅頭を包むビニールを剥がし、本体を水で若干湿らせ、市販のラップで包みなおし、20秒過熱してください。
ラップはピチピチではなく、やんわり包んでください。そうすることで、出来上がりがいっそうふんわりとします。
加熱が完了した温泉饅頭は、1分間だけ放置してください。そのことで風味がぐっと増すそうです。
簡単にまとめると、中華まんに対する手順とほぼ同一です。中華まんは蒸しなおすのに、温泉饅頭を蒸しなおさないのは、不自然と言えば不自然ですよね。

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奥が真空パックから出したてのもので、手前が蒸し直し。
写真では伝わりにくいが、ふわふわが段違いです。

そして、この、あったかふわふわな温泉饅頭をいつでも食べられるのが、栃木県 塩原温泉 美由堂さんなのです。
美由堂さんでは、温かなお饅頭をいつでも用意している、数少ない温泉饅頭屋のひとつなので、

 ♪売れてるぜ~、売れてるぜ~、饅頭が~、
     (以下略)

ともあれ、たかが温泉饅頭。されど温泉饅頭。

本物を知る温泉野郎と言うものは、小手先に頼った珍奇な土産物を選ぶより、これまでのイメージを一掃するようなバカウマの温泉饅頭を買ってくるものなのです。
それが「粋」というものなのです。

温泉饅頭に、もっともっと目を向けて欲しい。
と、今日はそんな内容のお話でした。では。

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※今回工場にて作ってもらった温泉饅頭は、馬鹿旦那が全て買い取りました。
実際店頭に並ぶ温泉饅頭は、私服の人間が入ってはいけないぐらいに完璧な衛生状態で作られています。


取材協力

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栃木県 塩原温泉
美由堂(みよしどう)
栃木県那須塩原市塩原2523
TEL 0287-32-3290

作画:foomin

text by 馬鹿旦那 | 2005.05.10 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (3) | トラックバック (0)

2005.04.19

第14回:馬鹿旦那とマスコットキャラ

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

最近、各温泉地で増えつつあるのが、足湯カフェー。
足湯に入りながらのティータイムを楽しめる、温泉好きには夢のようなカフェーです。
これ、もちっと派手にして、店内にびっしりお湯を張ることって出来ませんか?
お客様だけじゃなくて、ウェイトレスもばしゃばしゃお湯を蹴りながらお茶を運んでくる、っていう。
出来ませんかねえ。衛生上、難しいのかもしれませんねえ。
あと、うっかりこぼしたときに、混ざりますしね。ロイミティーが。
でも、誰かやってくれませんかねえ。

そんな妄想でニヤリと笑う、妄想の谷の住人。馬鹿旦那です。

本日は、マスコットキャラについて、妄想できれば良いなと思います。

大企業や大事業により生み出され、そして消えてゆくマスコットキャラ。
ときに華やかで、ときにユルく、ときにデタラメで、ときに詰め込みすぎてて、ときに子供を泣かせる。

Jリーグやプロ野球チームのマスコットのような注目の的もいれば、企業が片手間に生み出し、愛称も与えられずに見当たらなくなるものもいる。

そんなマスコットキャラ。観光地にだって温泉地にだって存在します。

例えば草津温泉には、「ゆもみちゃん」というマスコットキャラがいます。
草津名物「湯もみ」をするための大きな木のヘラを持った和服の女性を、ただ単に漫画絵にしただけのキャラですが、へんにモンスター化しておらず、スマートにその温泉地の特性を表しているのが好感触です。
私はザスパ草津がJ2入りを果たしたとき、マスコットキャラとしてハーフタイムに踊るのは彼女だと確信していました。
もしも試合中、誤審のファールからピッチが揉め事に発展した際には、選手に成り代わって、湯もみのヘラで審判に殴りかかるのは彼女なんだと確信してました。がっかりです。

さて、マスコットキャラには、いくつかの種類があると思います。

既存の動植物をモンスター化するパターンと、伝承上の生き物をマスコットとするパターン、多くのテーマを詰め込んで一体のキメラを作り上げるパターンに、なんでもない人間を「マスコットなんだ」と言い切るパターン。

色んなパターンはあるのですが、共通して言えることは、お客様と企業や事業を親密なものにする、架け橋となってくれることです。

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企業や事業が意図することを、責任者のオッサンが伝えるよりは、かわいらしいマスコットに言わせたほうが伝わりやすい。
マスコットの着ぐるみで子供たちと触れ合えば、ぐっと企業と家族は歩み寄れる。テーマパークの着ぐるみマスコットも、この一例です。

また、マスコットは企業や事業が言いにくいことを伝えるフィルターにもなってくれます。

「このローンに入るには、誰かが保証人にならなきゃいけない」
と、係りの方が伝える前に、パンフレット等で、
「このローンに入るには、保証人がいなきゃいけないんだローン」
とマスコットキャラが伝えることで、なんとなくまかりとおる気がする。

だから、温泉地においてもマスコットキャラというのは、けっこう必要なんだと思うわけです。
温泉の魅力や注意点をキュートにぶりまく代弁者となってくれるのですから。

しかし。

そんな観光地、温泉地にとって、不穏な存在が迫りつつあります。

それは、あの有名な白ネコ、キ○ィーちゃんです。
本場の発音で言うところの、キリーちゃんです(本場?)。
舌を巻いて、キルィーに近い発音の、キリーちゃんです。

ここ最近、ほぼ全ての観光地に、彼女はその姿を変えて存在しています。
北海道にはマリモキ○ィー。渋谷には渋谷キ○ィー。沖縄にはシーサーキ○ィー。宇都宮餃子の着ぐるみを着ただけの宇都宮餃子キ○ィー。

一度腹を割って話す機会があるなら、「仕事を選べ」というテーマでこんこんと語り明かしたい存在です。
ここまでくると「秘宝館キ○ィー」の仕事も、オファーさえあればすんなり受けそうな勢いです。
平気でポップな男性器の着ぐるみを着こなしたキ○ィーに、めぐり合えそうな勢いです(下品)。

ここで、馬鹿旦那、考えたわけです。

なぜ彼女は、そのか弱い身体を壊しかねないハードワークを行使しながら、このようなオファーにOKを出し続けているのか。

もしかすると彼女は、日本全国津々浦々、全ての観光地のマスコットキャラになろうとしているのではないか。

全ての観光地におけるマスコットキャラを殺人的な愛くるしさで押しのけ、その勢力図をぐんぐん広げつつあるのではないか。
マスコットキャラがもとから存在していない観光地には何食わぬ顔で入り込み、すでにマスコットキャラの存在している観光地では、その知名度であっさりと首を獲る。

だとするとそれは、キ○ィーという「武将」による、全国制覇。
天下統一を意味するのではないでしょうか。

前述したマスコットとしての職務はまっとうせず、ただ観光地の「顔」としての存在にとどまり、なおかつ全国を制覇する。

これはいけません!

私の脳内には、燃え盛る日本地図を背景に、デーモン小暮閣下よろしく高笑いをする彼女の姿が浮かびます。

全国の観光協会の皆さん!
地域の花をモンスター化するのでも、ただ温泉マークに手足が生えてるだけでも構いません。
彼女に対抗する武将を、マスコットキャラを作り上げ、その天下統一を阻止するのです。
日本のマスコットキャラ達よ、今すぐ立ち上がるのです。そして、ときの声を上げるのです。

私もこうしてはいられません。

馬鹿旦那キ○ィーが誕生してしまうその前に、即席でマスコットキャラを作り上げます。

ええっと・・・(辺りを見渡す)・・・。
ちょうど部屋にラムネが転がっていたので、これを本日より、当コラムのマスコットキャラとします。

oretoramune

当コラムでは、このマスコットキャラの愛称を募集します。
選考の基準は、ラムネと当コラムをこじつける名称であること。
ラムネのケースを愛くるしく擬人化したイラストなどがあれば、なお良し。

採用された方には、当コラムイラスト担当、foominによる色紙をプレゼント!あ、欲しくないのは分かってます。
じゃあ、それと、僕からも何かをプレゼント!
もちろんイラストなんか来た日にゃあ、当コラム上で掲載します。でも、権利とかは勘弁してください。
応募はメールにて!

皆さんからのご応募、お待ちしております。

P.S.

仕事で徹夜2日明けのため、今日の馬鹿旦那はどうかしています。
私、キ○ィーちゃんが大好きです。サン○オ様が、大好きです。
キ○ィーちゃんのぬいぐるみを、夜は抱いて寝ています。それも5匹、抱いて寝ています。


・・・さて。

本日は2本立てで、もうすこしためになるお話をしたいと思います。

先日、このような質問を頂戴いたしました。

「旅館と日帰り入浴システムとその価格決定基準について書きなさい」

なるほど。これ、一概にはなんとも言いにくいのですが、可能な範囲でお答えいたしましょう。

旅館には、日帰り入浴を受け入れているところと、受け入れていないところがあります。
私の勤める旅館は大変小さな旅館でして、日帰りのお客様は受け入れておりません。大浴場の湯船も小さいので、日帰り入浴客を受け入れてしまうと、お泊りのお客様が窮屈な思いをしてしまう、というのがその主な理由です。
また、浴室の清掃時間が日帰り入浴のお客様を迎え入れるべき日中であるため、というのも理由の一つです。

逆に私は疑問なんです。
宿泊客はその滞在中、いつでも入浴が出来て、なおかつ日帰り入浴客も受け入れている旅館さん。いったい、いつ清掃をしているんでしょう?

で、あちこちの旅館に聞いてみました。
そういった旅館さんは、お客様が朝食を食べている最中に掃除をしたり、さすがに入浴されるお客様はいないと思われる深夜の時間帯に清掃をしたりと、工夫をなさっているようです。

掃除をまったくしない、ということは無いようなので、安心して入浴なさってください。

さて、日帰り入浴には、入浴だけを楽しめるものと、「日帰り休憩」といわれる入浴とお部屋での休憩をセットにしたものと、主に2種類があるようです。
価格の相場は入浴だけだと500円~1000円。日帰り休憩だと2000円~3500円ぐらいではないでしょうか。

この価格って、なにを基準に決められているんでしょう?
いくらなんでも入湯税より安くはしないだろう、とか、常識的な計算はあるのでしょうが、最終的な結論は「経営者の独断」です。
ただし、温泉地の場合、横のつながりを大切にしていることが多いので、その土地の相場を見て価格を決定しているのは間違いないと思われます。

そんなわけで、ガソリンスタンドなんかと一緒で、温泉地温泉地、地域地域で相場もだいぶん異なるようですね。
入湯税が込みなのか別なのかもしっかり判断基準に入れて、探してみてくださいね。


作画:foomin

text by 馬鹿旦那 | 2005.04.19 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (3) | トラックバック (0)

2005.04.05

第13回:馬鹿旦那式廃旅館再生法

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

他のライターさんの卒業を見送るのも、今回が2回目です。

見慣れた友人たちの「仰げば尊し」を、在校生席から見守る、ある意味2留の馬鹿旦那です。
一人だけ、ジャージの色が違う、馬鹿旦那です。
クラスメイトから「さん」付けで呼ばれて微妙な気分になる、馬鹿旦那です。

当コラムも、皆々様のおかげさまで、なんとなんと3周目を迎えることが出来ました。
3周目ともなれば、人間すっかり汗だくですし、親のかたきのように乳酸もたまります。脳みそに乳酸がたまります。乳酸。
「一緒にゴールしようね」
と誓い合った大親友は、スタート地点で「位置について、」の瞬間にクラウチングですよ。
でも、汗臭さをぷんぷんとぶりまきながら、頑張っていきたいと思います。よろしくお願い致します(深々)。

それでは、今日も今日とてお話をさせていただきますよ。

わりと以前の話題にはなりますが。
政府は、全国に約70か所ある「かんぽの宿」などの郵政関連施設を、2007年4月の民営化から5年後の2012年以降、原則として売却などで郵政事業から切り離す方針を固めました。

「かんぽの宿」とは、全国の主要温泉地に点在している、国営の宿泊施設のこと。つまりは、国がやってる旅館ですね。
リーズナブルな価格で宿泊できるため、利用者も多いのですが、半分以上の施設が赤字経営だというのも現実。
これにより2012年以降、かんぽの宿は日本から姿を消してゆくこととなりました。

無事に誰かが買い取ってくれれば問題は無いのですが、下手をすれば主要温泉地にひとつづつ、巨大な廃墟が誕生しかねません。

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今回のテーマに合わせて、廃旅館を襲撃。
写真は、人類初、開脚前転による廃旅館への到達を記念しての1枚。

かんぽの宿のみならず、全国津々浦々では、毎年多くの温泉宿が廃業に追い込まれ、廃墟と化している現状。
温泉地に廃墟と化した旅館がある。
なんとも悲しいことではありませんか。道ゆく観光客にとっても、あまり気持ちの良いものではありませんよね。

これって、どうにかならないんでしょうか。
廃墟となった宿泊施設の再利用法。

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裏口からの潜入をもくろむ温泉探偵。
「全ての事件は温泉に通じる」がモットー。現在無職。

そこで、馬鹿旦那、考えました。

こういうのは、どうでしょう?

「心霊旅館」

廃墟と化した温泉施設ならば、きしむ床、朽ちかけた壁、散乱する備品など、幽霊屋敷としてのムードに満ち満ちているはず。
そこで、この施設をほとんど手を加えることなく、日本最大の旅館型オバケ屋敷という触れ込みで再利用するのです。

とすると、オバケ屋敷にとって必要なものは何か?
それは、「オバケ」と「宿題」です。

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潜入成功!夜警室と思われる場所にて1枚。
申し分の無い荒れっぷりにテンションも上昇。

ここでいう「宿題」とは、例えば肝試しの際、「折り返し地点にローソクを立てて戻ってくる」といったようなもの。

ここでは、そうですねえ、「オバケが出没する廃旅館で3つの鍵を探し出さないと、出口の扉が開かない」としましょう。

まず入場者は、この旅館の、あえて裏口から侵入します。
入場すると、まずは「夜警室」などの狭い部屋に通され、そこに置いてある14型のテレビが突然スイッチオン。
映し出されたブラウン管には、青白い顔をした夜警の男が映し出され、彼はこの旅館に関する幽霊の噂話を語り、ついでに脱出方法としてのルール説明がなされます。先ほど述べた宿題が語られるわけですね。
全ての説明が終了すれば、夜警室の扉が開き、宿の中へと進んでゆく、と。
そこから先は、恐怖の仕掛けが多く待ち構える、恐怖の世界。

いやあ、これは怖い! これは面白い!

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フロント裏の事務室にて、達成されなかったと思われる目標を発見。
カレンダー裏に書いてあるところに、哀愁を感じました。

じゃあじゃあ、せっかくなので、温泉も通してしまうというのはどうでしょう?

「日帰り入浴施設・心霊旅館」

大浴場で温泉をお楽しみいただけるオバケ屋敷。
浴室での入浴中の安全は保障されているのですが、そこにたどり着く前、またお帰りの際に、存分に怖い目にあっていただく。

前代未聞の温泉に入れるオバケ屋敷!

「日帰り入浴施設・心霊旅館」

hairyo19
荒れ放題のフロントで、今なおお客様を待ち続ける妖怪。
見ていたテレビが突然「ビデオ2」になったら、こいつのせいなんだってさ。合掌。

おおう! なぜか、猛烈にテンションが上がってきましたよ!

じゃあじゃあじゃあ、こうなったら週末は宿泊も出来るようにしてしまっては!?

「心霊旅館・1泊2日」

週末は宿泊も出来る心霊旅館。
しかしながら当然、某番組の罰ゲーム「廃旅館1泊2日」のような恐怖イベントが満載。
客室に突然鳴り響くうめき声。トイレに待ち受けるラップ音。窓の向こうに漂う影。
深夜零時。客室内のテレビに突然スイッチが入る。ゆらゆらと揺れながら館内をうろつく何者かの視点で、映像は流れてゆく。
やがてその映像は、とある客室の前で止まる。
・・・自分の部屋だ!
突如響くノックの音。ドアノブを回そうとする音。それは次第に激しさを増してゆく。

心も身体も休まらない、恐怖の旅へとご招待。
それが、

「心霊旅館・1泊2日」

面白い! 面白いですよ、これ! 候補地は全国のいたるところに存在するはずです!
ピンチをチャンスに変える一大企画!

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ロビーに捨てられていた船盛り用の船。
foominが見事に乗船。「出港~!」って叫んでたよ。

んが、しかし。

この企画には、こういった問題点があげられます。

集客の問題。
遊園地のたくさんある中でのいちアトラクションならまだしも、オバケ屋敷というお客様を選ぶタイプの建物が1軒のみ。
グループのお客様なら、その全員がオバケ屋敷肯定派で無い限り、足を運んでいただけない可能性があります。
これで本当にお客様が呼べるのか?

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厨房にてゴースト退治の装備を完了したサモ・ハン・キンポー。
元祖「機敏なデブ」の称号を胸に、いざ勝負!

予算の問題。
館内の仕掛けには、コンピューター処理をした高度なものが多少なりとも必要になる。
となれば、経費がとんでもないことになりそうですね。
では、あえてオバケメイクをした人間を、行動エリアを決めて5人ほど野放しにするというのはどうでしょう?
オバケ役の人間は、各自行動エリア内で、物陰に隠れながら入場者を驚かせ、時にはしつこく追い回す。
ただ、そこにも人件費は当然のごとく発生するし、まったく建物に手を加えなくても良いかといえば、そんなことはありません。
オバケ役だって、そこらへんにいるバイトくんでは演技力が甘く、恐怖も半減です。役者の卵か、もしくは指導者が必要です。

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廊下の天井は、あちこち崩れ落ちてこんな状況に。
良い子は絶対に潜入するな!本気で危険!

安全の問題。
対象となるのは、一度は廃屋となった建物です。ひとたび住む人を失った建築というのは、恐ろしい速さで傷みます。
それでなくとも廃業してしまった旅館のことですから、もとより古く、あちこちに傷みがある可能性は高い。
旅館として使用するのと、オバケ屋敷として使用するのでは、建物への負担も大きく変わることでしょう。
走り回る客、新たなる設備。
きしむ床、それは、事故の危険性をはらんだ床とも言えます。
それに建物が持ちこたえられるのか? なにより、国が、建築法がそれを認可するのか?

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宴会場の舞台でリサイタルを実施するYAZAWA。
この後、舞台袖から本物登場。大パニックに。

まだまだ問題は山積みです。

でも、やりたい。ああ、やりたい。
リアルな廃墟で怯える人々。最高のエンターテイメントの土台が、各温泉地にゴロゴロしている。

でも、予算が、集客が、安全性が、ああ、難しい。

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舞台がYAZAWA登場に沸く一方、第2ステージでは大喜利が開催中。
座布団もネタの優劣も完全セルフ方式。

では、いっそのこと、こうしてしまってはどうでしょう?

オバケも配置しない。仕掛けも作らない。
ただ、完全なる廃墟と化した旅館に、温泉だけを通すのです。
あとは、お金を受け取るフロント兼管理役の人を1人だけ雇います。

お客様は、かび臭く、備品の散乱する廃墟の旅館を、薄気味悪さと同時にある種のノスタルジーを感じつつ立ち入り、温泉に入浴する。

「日帰り入浴施設・廃墟旅館」

これなら余計な経費は一切かからず、個性的な日帰り入浴施設の完成です。

hairyo04
探索を続けること1時間。ついに大浴場に到達。
写真は、バサロスタート直前のfoomin氏。3秒後、血の海。

あとは、お客様が廃墟に対する衛生面さえ問わなければ、問題なしです。
・・・でも、問うんでしょうけどね。10人に1人は。
でも、薄汚れえてないければ、廃墟っぽくないですもんねえ。
ただ、10人が10人とも、その「面白さ」を理解できるかといえば、そんなことは無いですよね。
それに、この方法でも、建物自体の安全性の問題はクリアーできてません。

でも、やりたい。ああ、やりたい。

でもでも、安全性が。衛生面が。ああ、難しい。

でもやりたいよう。やりたいよう。

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廊下に突如現れた、ハングルの案内板に驚愕!
あと、0階ってなに? 霊界への入り口? 怖すぎ。

と。

経営者というものは、「やりたい」と「でも出来ない」の天秤を揺り動かし続けている生き物なのですよ。

という、お話。
とっぴんぱらりの、ぷう。


P.S.

今回述べたアイデア、どなたか採用してくれませんか?
そんときは、アイデア料を下さい。お金を下さい。お米を下せえ。


※今回訪れた廃旅館は、地主の許可の下、撮影を行っております。
普段はセキュリティが作動しているので、見付け出して潜入しようとか思ってはいけません。

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作画:foomin

text by 馬鹿旦那 | 2005.04.05 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック (0)

2005.03.15

第12回:馬鹿旦那と雑誌掲載とおしまいおしまい

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

猿。サル。さる。

最近、当温泉地に猿が増えました。
去年まで、街中でその姿を発見できれば幸運であった猿を、一週間前、路肩で2匹発見しました。
その翌日、路上で4匹発見しました。

確実に、増えつつある、猿。

脳裏を過ぎるのは、テレビのニュース。

土産屋に忍び寄る、猿。
売り物を持ち去る、猿。
マシンガン(エアガン)を乱射する、60代のお婆ちゃん(土産屋の女主人)。
ウ○コを投げて、応戦する、ボス猿。
それをマトリックス的なモーションで次々とかわす、お婆ちゃん。
猿の口から、ビーーーーーム! お婆ちゃん、フライパンで、ガーーーーード!
お婆ちゃん、真っ赤に焼けたフライパンを猿に向かって、室伏!
ムロフされたフライパンは、まっすぐ猿の眉間に! 危なーーーい!

後半は、ウソ。

でも、前半のような殺伐とした温泉地にならないよう、祈る日々でございます。馬鹿旦那でございます。
三十路にもなって、ビーーーーーム!とか恥じらいも無く書ける、馬鹿旦那でございます。

さて、今回は旅行雑誌について、ちょいと語れればな、と思います。

ネットに押されつつあるものの、まだまだ元気な旅行雑誌。
私、旅行雑誌、大好きです。
あくまで私見ですが、決定的にネットと違うのは、寝転がって読めること。
つまりは、楽。
「キーボードを打つ」というアクションは、「本をめくる」というアクションに比べればやはり面倒です。

優柔不断な方にとっては、ある程度、押し付けがましいのも魅力ですね。
ネットと言うのは、ある意味、数億ページの雑誌です。
検索というシステムが助けにはなっていますが、それでもやはり情報量が多すぎます。
雑誌はネットに比べて情報量は少ないかもしれませんが、旅行の計画を立てるにおいて最も重要な「的を絞る」という仕事を、最初からこなしてくれているわけです。

「○△温泉に泊まるなら、■○旅館」

うん、なんて楽なんでしょう。

皆さんの中に、こう思っちゃう方、いらっしゃいませんか?

雑誌にこんなに大きく紹介されているんだから、良いに決まっている。

雑誌に大きく紹介されている=間違いない旅館

果たしてそうなんでしょうか?
私は、ある意味、イエス、ある意味、ノーだと思います。

旅館支配人なんてのをしていると、最低、週に1本は、こんな電話がかかってきます。

「【全部カレー味出版社(架空)】のものですが、支配人様はいらっしゃいますでしょうか?」
「あっ、はい、私ですが」
「本日は当社が発行しております旅行雑誌【カレー旅】への掲載に関するご相談なんですが」
「・・・有料ですか?」
「ええ・・・はい、有料です」
「・・・なるほど」

雑誌に載っている旅館は全てが出版社のお勧め宿であり、出版社の収入の全ては雑誌そのものの売り上げ金である。

いえいえ、そんなことはございませんよね。

雑誌の収入は、雑誌の売り上げはもちろんのこと、広告費によって成り立ちます。
広告費とは、広告を雑誌に載せることで発生する代金です。
金額は雑誌によってまちまちですが、1ページか半ページか、カラーか白黒か、雑誌自体のネームバリューなどなど、掲載のタイプによって大きく金額が変化します。

例えば、1ページでカラーなら50万円。半ページなら25万円。
平均的に多い金額としては、そんなところでしょうか?

雑誌とは「記事」「広告」の2つによって成り立ちます。
なんでも良いので、そのへんにある雑誌をめくってみてください。そのことが、よくお分かりいただけると思います。
中には「記事」に見える「広告」なんてのもありますね。巧妙ですね。褒め言葉として。

雑誌によく掲載されている、ジャンル・温泉地別の旅館の紹介コーナー。
たくさんの旅館の情報が、大きく1ページだったり、小さくごちゃっとしてたりで掲載されている、あのコーナー。

これ、一見して「記事」に見えますが、れっきとした「広告」です。広告の集合体です。
もちろん出版社が激しくお勧めしている旅館は、完全に「記事」として掲載する場合もあります。
数ページに渡って1件の旅館が特集されている、というのは、まず「記事」でしょうね。
しかしながら旅館の紹介ページというものは、全体のおよそ8割が「記事」のような「広告」だとお思い頂いて結構です。

それは、つまり、こういうことです。

お金さえ払えば、大きく扱ってくれる。

ですので、雑誌に大きく掲載されている旅館が間違いない旅館かと言えば、決してそうとばかりも言い切れない、と。

ただ、逆に、こうも言えるわけです。

雑誌に大きく載っている旅館は、それだけの広告料をポンと支払えるだけ、力を持っている。
力を持っている以上、お客さんが入っていて、それなりの評価をもらっている。

さらに述べるなら、出版社も出版社で、無差別に旅館に広告掲載のお願いをしているわけではありません。
雑誌のジャンルに見合ったもの、周囲の評判、様々な要素を加味して、ある程度選りすぐった旅館に、広告の掲載依頼をしているのではないかと。

思います。思いたい。願いたいです。

ですから、こう考えてくださいね。
雑誌に取り上げられている旅館は、良いかどうかは知らないが、少なくとも力を持っている。

あとは、各雑誌が語る旅館のカラーと売り。これにお客様自身の旅に対する要望が合致しているか。
そこをしっかとご確認ください。

菊池さんのコラム第5回にあるように、温泉を100%楽しめる体質を得られれば、それがなによりですが。

映画を完成度で評論して楽しむのか、ただただ映画が好きで好きで楽しむのか。
どちらが幸せかといえば、答えはその人の「心の中」に。温泉も然り。


といったところで、全12回、半年も続けさせていただきました当コラムも、いよいよ終了でございます。おしまい、おしまいです。

楽しい半年をありがとうございました。幸せでした。
お堅い内容が続いたコラムですが、特別企画で廃校を取材した辺りから、ふにゃりと肩の力が抜けました。
面白いものを書こうという気負いを失ったとき、初めて自分で面白いと思えるものが書けた気がします。いや、むろんまだまだ未熟者ですが。

私自身の返答も含めて、当コラムに寄せられたコメントは、全12回でざっと100件に登りました。
これら全てのコメントに、心よりの大感謝です。

トラックバックも、数件いただきました。
トラックバックとリンクの違いは結局最後まで分からずじまいでしたが、心躍る思いでした。
ありがとうございました。

コメントはしなくとも、当コラムをお読み頂いた、全ての方。
皆様のお陰で、私はこの場に立てております。多謝。

多くの応募者の中から、私のような素人を発掘していただき、なおかつ任期延長までご依頼下さった@nifty温泉スタッフの皆さん。
本当に、本当にありがとうございました。感謝、感激です。

そして全ての温泉を愛する皆様へ。
問題。報道。不況。様々な要素が「温泉」を、大きな窮地に立たせております。
我々旅館を、観光地を、温泉を支えてゆけるのは、皆様です。
これからも温泉にお越しください。どんどん飛び込んで下さい。人に勧めてください。

それが温泉に携わる全ての人間の願いです。

以上で、「馬鹿旦那が見た、アレ」、終了とさせて頂きます。


ありがとうございました。ありがとうございました。
ああ、花束を! くださるんですか? ありがとうございます!
@nifty温泉のスタッフ様から、花束を頂戴いたしましたよ! ありがとうございます! ありがとうございます!
 
 
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・この、花束に添えられたカードは、なんですか?

・・・・・・・・・・・めくってみろ?

・・・・・・はい。
 
 
 
「任期再延長」
 
 
 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?

ぶええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!

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作画:foomin

text by 馬鹿旦那 | 2005.03.15 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (8) | トラックバック (0)

2005.03.01

第11回:馬鹿旦那と招待温泉

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

馬鹿旦那でございます。ニーハオでございます。

実は私、現在とある場所にて、この原稿をしたためております。

DSC00054

その国の名は、中国広東省の省都、広州という町です。だからニーハオなのでございます。ニーハオ。

日本の観光資源を中国の方に知ってもらおうという、中国人観光客を誘致するための博覧会、「Yokoso Japan」。その栃木県ブースのお手伝いなのです。

各県が誇る観光地の紹介のみならず、ロボット同士が熱い戦いを繰り広げる「ROBO-1」や「ジャパニメーション」のブースなども設けてあり、それはそれは華やかなイベントです。

さて、仕事とはいえせっかく中国に来たのです。
先日予告した「馬鹿旦那と招待温泉」のプログラムを大幅に変更し、今回は中国の温泉をリポートしたいと思いますよ。ひゃっほう!

では、宿泊地でもあるホテル「白雲賓館」のフロントさんに、広州の温泉について訪ねてみたいと思います。

「このへんに温泉ってありますか?」

「メイヨー(無いです)」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

馬鹿旦那でございます。今回は、コラムライターとして招待を受けました、伊東にある高級旅館「淘心庵 米屋」さんをレポートしたいと思っております。きゃっほう!

コラムライターという職について(まあ、それもあと2回で終わりですけどね)、わずか5ヶ月。
いきなり旅館の招待をお受けするなんて、これが作家に与えられた特典というものなんでしょうか。だとしたら、作家とは神の職業です。言葉を操る神です。貧乏神です。新宿の母です。
「招待」の2文字からにじむ高揚感から、おのずと心も暴走気味の馬鹿旦那とfoomin両名は、前回の廃校温泉を訪問したその足で、静岡県は伊東へと向かいました。

このたび招待いただいた旅館、「淘心庵 米屋」さん(せっかくのご招待なので、クドいぐらいに名前を連呼する予定)は、伊東の温泉街でもやや奥まった場所にある、総客室数9室の高級旅館です。
この「高級旅館」という言葉、読み手によってボーダーラインは様々でしょうが、基本料金が本館24,000円、離れが28,000円という価格を聞けば、
「あら、お安いざます。ねえ、カトリーヌちゃん(プードル)。ねえ、セバスチャン(執事)」
と、過剰なファーを風になびかせる人類の敵以外の皆様には、高級旅館だと認めていただけるのではないでしょうか?

そんな高級旅館が「淘心庵 米屋」さんなのです(ほら、クドい)。

廃校温泉のある群馬県から高速道路を乗り継ぐこと5時間。
日も傾きかけた頃、我々は、とある山の中腹で車を止めました。
周囲を見回せど、そこに「淘心庵 米屋」さんはありません。
民家が立ち並ぶ、およそ旅館があるとは思えない山道です。

foominの愛車が擁するカーナビゲーションシステム(愛称・敏腕執事)に案内されるままに車を走らせたその結果なのですが、予約の電話の際に忠告はされていたのです。

「カーナビゲーションシステムで直接いらっしゃると、別の場所に案内されてしまうことがございます」
と。
「まずは南伊東駅までナビで向かって、そこからはお持ちのパンフレットに記載された地図でおいで下さい」
と。

それに対して愚かな我々は、
「うちの敏腕執事を馬鹿するな」
と。
「長年当家に仕えてきた、大切な召使いだぞ」
と。
そのありがたい忠告を無視したのです。

結果、執事に案内された民家・山田家の前で、我々は執事を解雇し、大いなる反省をしたのでございます。

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反省を胸にたどり着いた米屋さん。
素敵な門構えとちょうちん。そして美しい庭園が、我々を迎えてくれました。

「和」を凝縮したような建物に足を踏み入れて、まず我々を驚かせたのが、ガラス張りの大窓から美しい滝を望めるカウンターでした。
米屋さんに訪れたお客様は、こちらのカウンターで、高級旅館のいちステータス・抹茶をいただきながら、優雅な優雅なチェックインの手続きを行います。

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到着時、抹茶を戴けるチェックインカウンター。

その後、鯉のひしめく池の脇を抜け、間も無く客室に案内された我々は、その部屋の設備にまたしても驚かされました。
まるで宿のお隣にある民家に案内されたような、離れの部屋。
次の間付きの和室には、囲炉裏や檜の客室風呂など、随所に心配りがなされていました。

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脇息の豪華さに圧倒されるケダモノ。
この後、臭いを嗅いだり、アゴを乗せたり。ケダモノらしく満喫。

お部屋にて2度目のお茶とお菓子を頂きながら、訪れた静寂に身をゆだねます。
主要道路からも離れているため、まったくの無音状態。音と暮らす現代人にとって、これは素晴らしい贅沢だと感動しました。
駅に程近い立地から、窓越しに電車の通る音がときおり聞こえますが、かすかでかえって心地よく感じられます。

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客室のお風呂。檜と柑橘系の香り。気持ち良過ぎて嘔吐。

このような充実の空間に、我々のような豚が紛れ込んでしまってよろしいのでしょうか?
米屋さん、いま、あなたのお宿には薄汚い豚が2匹、紛れ込んでおります。
あなた様が門を開き、迎え入れてしまったのは、2匹の豚です。
コラムライターの皮をかぶった、2匹の豚です。
コラムライターと言っても、2匹の豚はブーとしか言えません。
だから、ろくなコメントは出来ません(前フォロー)。

と、自らを卑下してしまうほどの客室にて、さっそく主題である温泉へと向かうべく、浴衣への着替えを行います。
こちらのお宿には、「浴衣」「作務衣」の2種類が館内着として用意されております。

「2種類ある以上、互いが別々の館内着をチョイスすべきだ」
と、話し合いの結果、寝相の良いfoomin氏が浴衣に。
浴衣で寝れば翌朝必ず帯一本になっている、男流セクシーアイドルの馬鹿旦那が作務衣に、それぞれメタモルフォース致しました。

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作務衣(左)と浴衣(右)。好みをチョイス。

再び鯉のひしめく池の脇を通り抜け、白熱灯に薄ぼんやりと照らされた美しい庭園を眺めながら、大浴場へと向かいます。

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鯉と対話が出来る唯一のホモサピエンス。
逆に鯉に人生相談をされる大失態に。

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大浴場へと続く廊下で発見された、新種のポケモン。逃げ足が速い。

こちらのお宿にはもう一点、素晴らしいサービスが用意されています。
それは、まっさらなタオル地のスリッパ(持ち帰り可)です。他のお客様が何度もお履きになったスリッパではない、新品を気持ちよく使用することが出来ます。
大浴場にはサインペンが置かれ、スリッパに直接お名前を記入していただけます。
これで他のお客様とスリッパが入れ替わってしまうこともありません。

作画担当のfoomin氏、燃える創作意欲でスリッパにレジオネラ婦人(当コラム第1回第5回参照)と伯爵(第5回参照)を描きました。

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こちらのスリッパ(未使用)を、今回はユーザーのかた1名様にプレゼント致します!やったね!
応募要項はコラムの最後にお伝えいたします。と、最後まで読ませる狡猾さ。しかし、プレゼント自体に全く魅力が無いため、作戦失敗。

温泉は、「古代檜風呂」「四阿岩風呂」「露天風呂」と三つの浴場があり、今回は館のメインである「四阿岩風呂」と「露天風呂」に入浴。
9部屋の小さな旅館でありながら、脱衣場にセーフティボックスが置かれている心遣いに、まず感銘を受けました。
脱衣場には他にも足つぼ・椅子型の両マッサージ器や、飲料用のアルカリイオン水、かかとクリームにテレビも用意され、お客様がお風呂を満喫できるようにといった「気持ち」が感じられ、好感触。

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脱衣場のアルカリイオン水の納得いかない美味さに脱帽。

お風呂は天然温泉・含塩化土類一芒硝泉。あまり耳に馴染みの無い泉質ですが、動脈硬化・高血圧・創傷などに効果がある良質のお湯です。
おっさんくさい泉質ですね、といわれてしまえばそれまでですが、とりあえず飛び込んでみてください。温度管理が素晴らしいです(これは人それぞれですが)。
施設の良さを示す要点である「シャワーの勢い」も良く、全身の汚れが根こそぎになる感覚に酔いしれることができます。

お風呂でも客室でも、この宿において言えることは、とにかく「静かである」ということ。
静かな露天風呂で、耳になんの情報も入れず、ただ染み入る温泉の恩恵を感じる。ただ青かったり星だらけだったりの空を見上げる。
これが何物にも変えがたい贅沢というものです。

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食事は懐石料理をお部屋出し。暖かいものは暖かいままに、1品2品ずつ。
海沿いの街、伊東。海鮮がやはり素晴らしい。

料理の良さを口で説明するのは難しいものです。
写真をバシャバシャ撮りましたので、これらの料理写真にヨダレが止まらなければ、予約という名のお薬を。
豚どもはブヒブヒ言いながら、全ての料理を平らげましたよ。
食事の最後には、お夜食まで出てくるというきめ細かさ。是非うちの旅館にも取り入れたいものです。

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さて。
我々、チェックインの際に、支配人からお話をうかがうことが出来ました。
最後にその話を少々。

淘心庵 米屋さんは、もともと5万円前後の宿泊費を提示する、超のつく高級旅館さんでした。
これが世の不景気により、現在の料金体系を導入。更には同温泉地にある「ウェルネスの森」という全国規模の大型施設さんと手を結びます(米屋さんにご宿泊のお客様は、ウェルネスの森・伊東の施設を、一部有料施設を除き、無料で利用することが出来ます)。
これによって再スタートを果たした、米屋さん。
しかしながら、新たな料金体系を導入したことで、これまでのお客様は次々と宿を離れていってしまい、新たな客層と向かい合うこととなります。
もちろん米屋さんは新たな価格の中で、これまで私が紹介したような素晴らしいサービスを提供してはいます。お客様というものは、予算で宿を決定することが多いのは事実。いくら施設が過去のままのグレードを維持していても、5万円の宿を求めるお客様の選択肢からは除外されてしまう。

新たな客層を開拓するということは、これまでしてこなかった新たな客層に向けてのPRをゼロからスタートさせるということです。それは旅館にって、必死に漕ぎ出す荒波です。

なぜここまでの思い入れを感じるのかといえば、私の旅館も、まったく同じ道筋をたどっているからです。
もともとの高級旅館から、世のニーズに合わせて料金を下げる。半額にすれば、単純に倍近い入り込み客数を目指さなければならない。
でも、それはそうとうに難しいこと。そうなれば見入りは減るので、従業員を減らさなければならない。そうなるとサービスに無理が出てくる。
料理の素材においてもこれまでのものが使用できなくなる可能性が出てくる。そうなれば、これまで超高級旅館で料理を作ってきた調理師さんたちのプライドはどうなるのか?その現状を飲み込めるのか?

企業側にして見れば、価格を下げるということは大きな大きな賭けなんです。
それを工夫で乗り切る。そんな奇跡のような技を連発するのが、不況にあえぐ今の旅館の仕事です。

同じ悩みを持つ中で、これだけのグレードを維持している米屋さんには、心から拍手を送りたい。
施設的には、もと5万円なんですよ。それは基本的に変わらないんですから。ご満足いただけますよ。絶対です。

あなたの人生の節目や、大切なご旅行には、是非利用してみてください。

米屋さんの支配人と語らい、素晴らしい1日を過ごした翌朝。
私は再び大浴場へと足を運びました。

かぽーん、と桶の音が反響する温泉に、足先から浸かります。熱さに息を詰まらせ、イーッ、って顔になりながらも、足を徐々に沈めていき、腰に、胸に、やがて肩までゆっくりゆっくり浸かります。その頃には熱さにもなれ、その苦痛は、全面的に快感へと変化していきます。間髪入れずに顔にバシャバシャと湯をかけます。身体中の皮膚と言う皮膚が、温泉の恩恵で満たされます。

私は、こう言います。

「ふぃ~」
って。

で、思うわけです。
「最高だ」
って。

前述した温泉旅館の苦悩を抱えながら、それでも温泉旅館が温泉旅館であり続ける。
資金が無いから。それもありますが、やはり最終的には、この仕事が好きなんですよ。でもって、温泉が好きなんですよ。もしくはもう抜けられないんですよ。

これから先も、温泉の魅力を語れればな、という思いは尽きないのですが、当コラム、次回がいよいよ最終回です。

最後までお付き合いくださると、たいへん嬉しく思います。

あ。後の調べで、中国の広州には、従化温泉風景区という温泉地があることがわかりました。
広州市街より75キロの距離があるので、無いって言われたのかもしれませんね。

【プレゼント応募要項】

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文中の予告通り、foominによるイラストの入ったスリッパを1名様にプレゼントいたします。
ご希望の方は、住所・氏名・年齢・職業・スリッパの用途を記入の上、こちらまでメールしてください。
件名は「スリッパ」で結構です。
当選者は商品の発送をもって替えさせていただきます。
スリッパの用途が面白かった方、当選の可能性大です。

@nifty温泉「淘心庵 米屋」詳細ページへ

作画:foomin

text by 馬鹿旦那 | 2005.03.01 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (9) | トラックバック (0)

2005.02.15

第10回:特別企画 馬鹿旦那と廃校温泉 座談会編

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

さて、前回の続きです。
前回をお読みにならないと、なんのことやら分かりません。心がマイナス寄りの方ですと、疎外感に襲われることでしょう。「くそう、こうなったら、またあいつの上履きに画鋲を・・・」と、当コラムの影響で怪我人が出るのは避けなければなりません。前回をお読みになってからの服用をお勧めいたします。

廃校から温泉宿泊施設へのリニューアルを遂げた群馬県「葉留日野山荘」。
学校の装いをそのままにした同施設に狂喜乱舞、1日を面白おかしく過ごしたものの、花子さんが出るに違いないトイレで20年ぶりの連れションを敢行した馬鹿旦那と作画担当foomin。

今回2人は、山荘の創設者である高橋氏と、座談会を行います。
廃校を宿泊施設として蘇らせる上での苦労話をうかがいました。

bakasp037
山荘の創設者である高橋氏(右)と、馬鹿旦那(左)・foomin(坊主)

馬鹿旦那(以下、旦那) 「そんなわけでですね。今回特別企画と言う形で、廃校を宿泊施設として生まれ変わらせた、創設者である高橋さんに、こりゃあ面白い、ということでお話を伺いたいと思っております」
高橋館長(以下、館長) 「あー、はい、よろしくお願いします」

旦那 「こちらの建物は、何年前まで学校だったんでしょう?」
館長 「たぶんねえ、正式な記録を見れば分かるんですが、たぶん40年ぐらい前だと思うんです」
旦那 「よん、え、40年! ずいぶん前ですねえ」
館長 「私が始めたのが、32年前で、そのあと宿として改装しましたから」

bakasp020
葉留日野山荘、校舎時代の写真

foomin(以下、フミ) 「何年前に改装はされたんですか?」
館長 「もう、10年ぐらい前になりますから。まず、3つあった教室を2段ベッドのスキーヤーズベッドにして。もともと、合宿など、お子様を対象としてたものですから」
旦那 「ほうほう」
館長 「ただ、ご時世的に2段ベッドはあまり流行らなかったものですから、1室を会議室にして、残りを和室とベッドの部屋にしたわけです」

 ちなみに、今回の座談会は、こちらの会議室で行われました。

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 廃校施設からぽんと異世界に飛び込んだような立派な会議室でした。ミーティングなんかにも良さそうです。 

旦那 「館長は当時から、ずうっといらっしゃったわけですよね」
館長 「ええ。創設者ですから。ただ、中10年ぐらいは他の支配人にお任せしてました」
旦那 「でも、現在は創設者である館長がやってらっしゃる、と」
館長 「こんな場所でしょ。で、こういった施設ですと、今みたいな冬の時期とか雪で建物がミシミシいったりしますでしょ。で、真っ暗でしょ。それでねえ」
旦那 「(笑)なるほど。我々は、こういった立地・シチュエーションを大変面白いと思ったんですけど。それで、支配人はお辞めになったりしたわけですね」
館長 「ええ、2、3人代わりまして。それで、最終的に私が入ったわけです」

旦那 「この、廃校を、宿泊施設にする上での苦労話って、ありますか?」
館長 「する上で、と言うよりも、始めてからはいくつかありましたね」
旦那 「始めた段階では、2階は、ああいった客室だけが並んだ形式ではもちろん無かったわけですよね?」
館長 「2階は無かったんですよ」
旦那 「ん? 2階に客室が、ですよね?」
館長 「いえいえ。2階自体が無かったんです。平屋だったんですよ」
旦那 「! 平屋だったんですか? 全然気付きませんでした(笑)」
館長 「ええ。学校だった当時の写真が館内に展示されてるんですが。平屋でした。2階は後から作ったんです」

 後ほど写真を拝見しました。

bakasp019

 なるほど、確かに平屋です。驚愕です。
 ちなみにこちらが、現在の葉留日野山荘さんのお写真です。

bakasp055

 あれ? そう言えば、花子さんが出るに違いないと思ってたトイレは、2階でしたね。出ませんね。花子さん。出ません。

フミ 「もともと廃校を宿泊施設にする、というのは、館長が考えられたんですか?」
館長 「地元の方がねえ、こういった廃校があるんだけど、ちゃんとした団体で使ってくれる所は無いだろうか、というお話があったんですね。それがきっかけです」
フミ 「なるほど」
館長 「で、私の住まいは所沢にあるんですが、当時は周囲が畑でして、親戚の子やなんかが学校の休みの時に遊びに来てたんです。そのときに、子供たちを入れて自由にさせられる施設があったら良いなあ、そういうのが作りたいなあ、と思ったんですね。そのときに話があったんで」
フミ 「子供たちは、夏場なんかは多くいらっしゃるんですか?」
館長 「ええ。子供たちや、登山者や、スキーヤーや、そんな人たちの活動の拠点になるものを作りたいと言う気持ちもありましたね。ただ、当時、宿屋としてやるつもりはさらさら無かったんです(笑)」
旦那 「もともとは宿屋にするつもりは、無かったと。よかった、宿泊施設になって。取材できないところでした(笑)」

bakasp058館長 「でねえ。冒険学校、っていうのを始めたんですよ」
旦那 「冒険学校?」
館長 「冬休み、春休み、夏休み、一般募集して。小学1年生から中学生まで。夏休みの際は、泳ぐのはもちろんですけど、沢登りをやったり、小屋作りをしてそこに寝たりとか」
旦那 「体験学習のようなものですね」
フミ 「現在もやってらっしゃるんですか?」
館長 「ええ、近隣にキャンプ地もあるんで、こちらで1泊して、あとはキャンプといった形式です」
旦那 「参加者は、どれぐらいいらっしゃるんですか?」
館長 「多い時は、百数十名ほど集まりますね」
旦那・フミ 「へええええ」
館長 「1回では出来ずに、2回に分けて行いますね。そういった時は」
旦那 「やっぱり、求めてるんですよね。みなさん」
館長 「ところがね、最近は減りましたね。冒険学校を始めて20年ぐらいしたあたりから、子供の様子がだんだん変わってきて、苦労したり辛いことをするっちゅうのが、イヤだと」
フミ 「うーん・・・」
館長 「だからね、だんだんと参加者が減ってきてね」

館長 「冬は、ラッセルで雪山を登って、山の裏側の斜面を大滑降したり。雪洞を彫って、中へ泊まったりしてました」
フミ 「面白いですけどねえ」
旦那 「ただ、今のお子様は、そういったことに触手を伸ばされないと」
館長 「そうですねえ。そんなわけで、夏はまだ行っているんですが、春と冬に関しては冒険学校は行っておりませで、スキー教室に切り替えてしまいました」
旦那 「もったいないですねえ」

 我々も学生服姿・体育教師姿で、是非、冒険学校に参加したかったものです。
 おそらく個展を開催できるほどの面白写真が、大量に撮れると思うのですが。

bakasp059フミ 「そういった子供たちが変化しつつある今、今度は我々のような、学校にノスタルジーを感じる大人というのも、狙い目になってくるかもしれませんよ」
旦那 「そうそう! そういった方も、けっこういらっしゃいますでしょ? 我々のように、バシャバシャ写真を撮っていかれる方とか」
館長 「ええ(笑)。そうですねえ」
旦那 「基本的に、そういった目的のお客様をメインにされているのかと思っていたもので。いろいろやってらっしゃるんですねえ」
フミ 「面白いですねえ」
旦那 「我々、今、28歳と30歳なんですけど、我々から数年下の世代ぐらいから、がらっと館長がおっしゃった考え方の人間というのが増えているように感じますねえ。年取った証拠なんでしょうか?(笑) こういう面白いことがあるんだけど、やらない? なんて持ちかけると、ダルいねえ、なんて言われちゃうような」
フミ 「むしろ我々のような、学校が懐かしくて来る客層も、開拓していったら面白いのかもしれませんね」
旦那 「今、駄菓子ブームってあるじゃないですか。駄菓子屋があちこちに出来て、大人向けの駄菓子屋さんが、もの凄いブームになってて。だから宿泊施設に関しても、大人向けのレトロとしての売り方とか、そういう方向もアリなんかなあっていうのを、常々感じますね」
館長 「ちょっと前に、『廃校の宿』と言うのをテレビでやって、紹介されたんですよ」
旦那 「そうですか。我々は本で紹介されてるのを見て来たんですよ」
フミ 「元廃校の宿泊施設の特集みたいな本で、そこに紹介されてたどの施設の写真よりも、群を抜いて、葉留日野山荘さんが『学校』だった(笑)」
旦那 「おわー!分校だー!っていう(笑)」
館長 「私はねえ、そういった、元分校みたいな施設と言うのは、好まれないんじゃないかと思ってたんですよ」
旦那 「あー。そうですかねえ?」
館長 「でね、『廃校の宿』としてテレビでやったら、けっこう申し込みが殺到したんですよ」
フミ 「ですよねえ。そうですよ」
旦那 「そうですよ。食いつきますよ。現に我々が、がっつり食いついてますもん(笑)」
フミ 「やはり、テレビで紹介されて、多くの人の目に触れて知られると、食いつく人は多いですよ」
旦那 「僕の旅館もテレビで紹介されたことはあるんですけど。やはり紹介されて申し込みが多く来て。自信になりますよね。自分の作ってきた商品は間違いないものだったんだと」

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校舎時代の名残、廊下の水飲み場で腹を満たす欠食児童

館長 「過去ね、何回か、この施設がテレビで紹介されたことはあるんですよ」
旦那 「はいはい」
館長 「ただ、テレビで紹介されても、問い合わせは100件以上あるのに、実際の予約は2件ほどしかない状況だったんです」
旦那 「ええ!悲しい!」
館長 「ところが、先日『廃校の宿』というアプローチでテレビ放送されると、これは多くの予約に繋がったんですね。ずいぶんたくさんの人が、この施設に来てくれた」
フミ 「へええ」
館長 「だからね、我々も見直してね、そんな欲張んないで、廃校としての売り方に絞ったほうが良いんじゃないかと思いましたね」
旦那 「それは、僕も、大賛成ですねえ。そのほうがいいと思いますね」
フミ 「そうですね。ただ、一方で、お子様を迎えての冒険学校を行うと言うのも、これはこれで面白いですよね。こういった自然に囲まれた学校と言うのは、今の子供は触れてないでしょうから」

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旦那 「例えば、変り種のお客様に、食事は給食かい?とか聞かれたことって無いですか? 僕だけですか?」
館長 「それは、過去、無かったですねえ(笑)」
フミ 「給食風の食事がメニューに入ってても、面白いですよね」
旦那 「今、けっこうあるんですよね。給食を食べさせるレストランみたいなものって」
館長 「あー、そうですか」
旦那 「懐かしい、みたいなことで」
フミ 「食器も昔みたいなブリキの形で」
旦那 「ただ、それを面白がって食べてくれる人と言うのは、10人に2,3人なんでしょうね(笑)。だから多数決をとっていけば、やっぱり普通に料理を出したほうが良いと言う結論に行くんでしょうけど」

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館内廊下でぼんやりしてた、もさもさの猫。たぶん守り神。

旦那 「最後に、施設の売りとして、まとめて言えることって、あります?」
館長 「うーん・・・。あのねえ、テレビのプロデューサーの方にも同じ質問をされたんですけどねえ。一言で言えば、ボロ宿なんですよ」
旦那・フミ 「ぶははは!」
館長 「本当にその時も考えてですねえ。でも、出てきた言葉は『ボロ宿』ですよね」
旦那 「いや、言葉だけ拾うとマイナス要素かも知れませんけどね。実際にこちらの施設においては、褒め言葉ですよ。それは」
フミ 「味がある、ということですよね。すごいですよ。『学校』ですからね」
旦那 「そうですよ。まず、入った廊下でたまげましたもん」
館長 「いや、廊下は広いってよく言われるんですよ。そうなんですかねえ?」
旦那 「そうですね。旅館としては広いですね。学校ですから、多少の広さは要求されるんでしょうけどね」
フミ 「広さで言えば、よほどの大旅館で無い限り無い広さですね」
旦那 「うちの旅館も、この半分です」

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分校舎時代の講堂。現在は食堂としてリニューアル。

フミ 「食堂は、もと講堂だったんですよね」
館長 「そうですね。もともと講堂は木の床で、底が抜けて、梁が出ちゃってたんですね。それを直したんです」
旦那 「2階を設けたことといい、講堂の件といい、これはけっこう、費用がかかっちゃいましたでしょう?」
館長 「そうです。だから、失敗だなー、と思ったんですけどね」
旦那 「(笑)思った以上にかかっちゃった、と」
館長 「正直、最初から新しい建物を作ったほうが、よっぽど安く良いものが出来たと思いますね」
旦那 「あー、そうですかあ・・・」
館長 「廊下も、広いのは良いんでしょうけど、そのぶん暖房が効きませんでしょう? 食堂なんかもそうですよねえ」
旦那 「昔の学校ですもんね。ダルマストーブみたいのが、あちこちにありますよね。今の学校や宿泊施設なんてのは、天井から熱風が、ぶおーって、きてくれますもんね。暖房費なんかの苦労は、ありますよねえ」
館長 「ええ」

旦那 「是非我々も、既にこの施設のいちファンですから、好意的にコラムも書かせていただいて、お客様を呼べたらと思っております」
館長 「お願いします(笑)」
旦那 「お忙しいところ、ありがとうございました」
フミ 「ありがとうございました」

 なるほど。廃校の温泉宿泊施設化には結構な苦労もあるようですね。
 高橋館長、年下の我々が言うのもなんですが、大変丸い人柄で、安心しました。
 この人柄から出た子供たちに向けての想いが、こういった施設を生み出したのだから、当然といえば当然でしょう。
 座談会でも語られたとおり、テレビ放映で予約が殺到する現状を思えば、廃校温泉を求める同志は思いのほか多いことが判明しました。我々としては、これが何よりの収穫で、何よりも嬉しい情報です。

 同志諸君。

 野を越え山を越え、訪れる価値は充分にありますよ。
 葉留日野山荘。春夏秋冬、老若男女、是非是非おいでくださいませ。
 その際、もしあれば、子供コスプレなんかお持ちになると、盛り上がります。
 それで撮った写真とか、良ければ私に見せてくださいね。そういうの、凄く嬉しいです。
 冒険学校、スキー教室もシーズンごとに開催されますので、詳しくは現地にお問い合わせを。

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葉留日野山荘の魅力に悶絶した苦学生。凍死寸前。

 さて、廃校温泉をレポートしたその足で、次回、我々はとある高級旅館を見学に行きます。
 コラムライターになって数ヶ月。なんと私、旅館さんに招待されてしまったのです。
 ああ、嬉しい。えらいこっちゃ。嬉しい。うれすぃー。
 群馬県から走ること5時間。伊豆半島、伊東にて我々を待ち受ける天国をレポート致します。

 なんだか趣旨が変わってきてないか?
 大丈夫か? このコラム?

 そんな気持ちで御覧下さい。

 次回、「馬鹿旦那と招待温泉」へ、続きます。ぶひー(興奮)!

@nifty温泉「廃校の宿 葉留日野山荘」詳細ページへ

作画:foomin

text by 馬鹿旦那 | 2005.02.15 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック (0)

2005.02.01

第9回:特別企画 馬鹿旦那と廃校温泉

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

旅館の支配人になってからというもの、日のあたる屋外に飛び出した覚えがありません。
いや、もちろん出たことはあるんです。

屋外に「出る」ことと「飛び出す」ことは違います。

そこに、外に向ける「期待」や「自発性」が欠けている現状なのです。

デスクワーク中心の仕事。CD収集だDVD観賞だゲームだ漫画だと、屋外とは無縁の趣味。新たに手にしたコラムライターという仕事も、パソコンと向かい合うのが基本です。
気が付けばこの年齢・この立場で奇跡的に開催された合コンでの、私に対する最初の問いが「何でそんなに白いんですか?」となる始末。
白くて細い人間でしたらまだまだ需要もあるのでしょうが、白い小デブに興味は注がれません。

これはいけません。
外に出なければ。

でも、外が怖いんです。
お日様が、怖いんです。

そんな矢先、群馬県で廃校になった分校を、温泉宿泊施設として再利用した建物が存在するとの情報を得ました。
聞けばこれは、少子化と過疎化の相乗効果により廃校となる学校が増加の一途をたどる昨今、全国的に増えつつあるケースだそうです。

その施設の名は、「葉留日野山荘」。
写真を見れば、なんと昭和のノスタルジーに満ち満ちた建物なのでしょう。

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学校に宿泊する。

お泊り教室。部活での合宿。学園祭直前。
学生時代にイベントとして行われた、あのわくわくを、もう一度味わうことが出来るのかもしれない。
そうすることで、これまでの自分に別れを告げ、あの時代からやり直すことが出来るのかもしれない(ダメな考え)。

例えば小学生の頃、私は偏食家で給食残しの常習者でした。昼の掃除の時間になっても私の席だけは片付けられず、邪魔なオブジェとしての扱いを受けながら、埃の舞い散る教室の中、味のしない給食をもそもそとやっつけていたのでございます。

こういった類の元学校施設では、わざと給食のような食事を出すことが多いと聞いております。
もし仮に、この旅館で給食風の食事が出されるのであれば、いまや飛行機以外の空を飛ぶ生き物と椅子以外の4本足の生き物を全て平らげられるようになった私が、給食を見事に平らげて見せ、そうすることで過去の自分との決別を果たせるのではないでしょうか(物凄くダメな考え)。

思えば、馬鹿旦那の温泉地でも先日小学校が合併し、結果、1軒の廃墟が誕生しつつあります。
現在の駄菓子屋ブームに代表される「昭和レトロブーム」。そして今やすっかり人気の定着した「温泉」。「郷愁」。「ノスタルジー」。
これは温泉宿泊施設の新たなる形。そして業界にとっては新たなるチャンスなのでは。

そんなもろもろの理由と使命感から、馬鹿旦那と作画担当のfoomin両名は、群馬県「葉留日野山荘」へと向かう決意をしたのでございます。

名付けて、「馬鹿旦那が見た、アレ。特別企画:馬鹿旦那と廃校温泉」!

・・・・・・・・・・よしっ、前フォロー終了!
旅行だ旅行だ!休むぞー!

とはいえ、これはれっきとしたコラム企画でございます。
旅館支配人 兼 元旅行代理店社員 兼 温泉入浴指導員である馬鹿旦那の視点から、今回の施設さんを拝見したいと思っております。

今回の目的地が学校ということで、我々もそれらしい衣装で臨みます。

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馬鹿旦那(文章担当):学生

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foomin(作画担当):体育教師

さあ、いざ出発、お日様の下に飛び出すのです。

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その3時間後。

我々は降りしきる記録的な豪雪の中、動かなくなった車を見つめていました。
目の前には目的地の葉留日野山荘。そこに続く、坂道の途中。

いや、私に信心が足りないのは認めます。今年の初詣はニンテンドーDSにハマりこんで、キャンセルしました。霊柩車が通っても親指は隠しませんし、夜にパチパチ平気で爪を切ります。

でも、神様、この仕打ちはあんまりです。

が、それもそのはず。ここは群馬県水上温泉に程近い、スキー場で有名な土地柄です。

目と鼻の先に葉留日野山荘。

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そして動かなくなった「foominの愛車」改め「もうすぐ雪の塊」。

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スコップ片手に往生する我々に、葉留日野山荘のスタッフの皆さんが手を差し伸べてくれました。
車の行く手を阻む雪を丁寧に掻き出す、お兄さん。
雪道脱出のプランを練る、老齢の男性。
そして車を後ろから押し出してくれる、アメリカ人。

・・・・・・えっ!? アメリカ人いるよ!? こんな山奥に、アメリカ人いるよ!? なんで? なんでいるの? 何州から来たの? ポテトを食べるの? それともポテイト(本場の発音)を食べるの? 何バーサルスタジオに行くの? やっぱりアメリカンサイズなの? あっちのほうもアメリカンサイズなの(失言)?

脳裏に湧き上がる疑問をよそに、我々の車は、見事、脱出を果たしたのでございます。

やった! 苦難の末の脱出を喜ぶ、我々。
ふと気付くと、あのアメリカ人がいません。

思えば、彼は、神様の使いだったのかもしれません。神は我々を見捨てませんでした。ニンテンドーDSのような玩具をあがめてきた我々を、見捨てませんでした。ありがとう神様。サンキューゴッド。これからは、会話の言葉尻には必ずアーメンを付けるようにします、アーメン。例えイタい人間と思われようとも、そうします、アーメン。

で、後ほど山荘の支配人さんにお話を伺ったんですが、彼、山荘の隣にある教会の神父さんなんだそうです。
なんと、彼、本物でした。
出来すぎた話に、ちょっと怖くなりました、アーメン。

ともあれ無事に館内に足を踏み入れた我々は、フロントから続く廊下に広がる風景に、一発で心を奪われました。

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葉留日野山荘 一階廊下

紅い絨毯、左右の壁に配された額縁、もと教室があったであろう扉の向かいには水飲み場。

なんということでしょう。子供たちのはしゃぎまわる声が響いてくるような、それは、確実に学校でした。
旅館支配人の目からすると、いち旅館としては大変に広い廊下です。
暖房効率を上げるためだったりと、理由は色々なのですが、さすがは元学校です。

家を出てからここまでの4時間、学生服と体育教師姿で過ごしてきた我々は、服装もすっかり馴染み、精神的にもこの学校の生徒と教師になっていました。

さあ、恥ずかしい素人コントの始まりです。

もともと講堂だった食堂。

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もともと昇降口だった乾燥室。

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もともと職員室と理科室だった娯楽室。

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少年の心を取り戻した28歳と30歳が、館内を巡ります。

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あっはははは。

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あっははは。

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あっはははは。

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つかまえてごらーん。

bakasp042

あっははははは。

bakasp046

あっはははは。

bakasp043

ちゅかまえてごらーん。

bakadan21

あっははははは。

・・・我に返ったため、少し休憩。

とりあえず、客室へと足を運ぶことにします。

bakasp052
二階客室廊下

我々の客室は、建物の2階になります。こちらには校舎としての面影は一切ありません。
客室は10畳の和室。個人的には最も落ち着く広さの中、部屋の中央に置かれた円卓のちゃぶ台が、キラリと自己主張。
ああ、ひっくり返したい。円卓はひっくり返してこその円卓。でも、大人だから諦めます。

部屋には小さなテレビと浴衣とタオルという、必要最小限の設備。
でも、バスタオルは? とか、そういった類の不満は一切沸きませんでした。
このレトロで郷愁あふれるシチュエーションにおいては、行き届きすぎたサービスというのは、ちょっと不似合いかな、と思ったからです。
「そうこなくちゃ」と言う思いのほうが、圧倒的に強いんです。

窓の外には雪景色。

bakasp025
写真右手にある雪山は、全て掻いた雪です。驚愕。

というより、もはや「雪」です。雪が全てを飲み込みつつある状況です。
この地域でも、ここまでの降雪量は珍しいことでしょう。そりゃあ車もアーメンになります。
私の旅館のある地元も雪は少なくありませんが、雪は路面状況の悪さと引き換えに、猛烈な「静寂」と「美しさ」を与えてくれます。
道路から多少奥まった立地に、交通量が少ないこともあいまって、恐ろしくなるほどの静けさにしばし身をゆだねます。
そして、こんな詩的な考えをめぐらせては悦に入る学生服姿のオッサンはどうか、という思いにも身をゆだねます。

この葉留日野山荘さん。もと学校なだけに、冬はスキー教室に、夏はキャンプにと、学校行事などでの利用率が高いそうです。
自然と過ごす機会の無い子供たちに、好評なんだそうな。窓から臨む大自然を見れば、それも納得です。

やがて悦にも限界を感じ、ふとこのコラムが温泉コラムであると言う主題を思い出した我々は、客室の棟と離れになっている大浴場へと足を運びます。

bakasp006

大浴場は和組み造りで、天井の高さが印象に残ります。
浴場専用の離れならではの突き抜けるような高さ。露天風呂こそありませんが、それを補う開放感です。

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泉質はアルカリ性の単純泉。いわゆる「美人の湯」ですが、お湯には際立ったぬめりもなく、すっと、長く入れそうなのが好感触。

bakasp009

お風呂にはシャンプーやトリートメント・洗顔フォームは一切無く、石鹸が置いてあるのみ。
しかしながらこの石鹸、見た目は何のことは無い白石鹸ですが、職人の手作りによる山荘自慢の石鹸で、洗顔をしてもつっぱらず洗髪すら可能であるとのこと。
早速、洗顔と洗髪に使用。
確かに洗顔してもつっぱり感は全くありません。
さすが職人さんこだわりの一品。泉質もあいまって、お肌はすべすべです。素晴らしい。石鹸最高。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・トリートメントは用意して来てくださいね。

ただ、私の隣で洗髪をしている坊主頭の体育教師は、頭も皮膚みたいなところがあるんで問題なさそうでした。坊主最高。

さて、身体が温まれば、あとは食事です。
基本的にはもと講堂だった食堂で召し上がれるのですが、今回は特別に、お部屋にお持ちいただけるとのこと。

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お食事は、山の幸をメインにした和食膳。御飯が進む品々です。
残念! 給食ではありませんでした! 馬鹿旦那、過去との決別、ならず! まだまだダメ人間!
名産のこんにゃくが素晴らしい食感でした。美味。

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体育教師が勧めるままにビールを傾ける学生服。
ほろ酔いになって思います。

大満足の1日でした。

確かに宿は古いし、露天も無いし、アメニティも今ひとつです。人によっては不満を感じられる方もいるかも知れません。
しかしそれよりもなによりも、我々が思った以上に、その建物は「学校」でした。
5点満点で客室が3点。お風呂が3点。設備が3点。しかしながら、客室この猛烈に押し寄せる「懐古」や「郷愁」が、27点なんです。
5点満点で、27点なんです。

こういった一芸一能が凄まじい宿と言うものが、密集において最終的に生き残ることを、私は知っています。

あとはその感情をお客様一人一人が愛せるか。ここに尽きると思います。

いやあ、ページ数が足りません。本当はもっと長々と、この宿の魅力について語りたい。
仕方が無いので、一言でまとめます。

「馬鹿旦那のお勧め宿、認定!(迷惑な称号)」

でも、なぜ食堂ではなく、お部屋での食事にしていただけたんでしょう?
気になって訪ねてみました。

「今日のお泊りは、お客様がただけですので・・・」

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え?

我々だけ?

雪山の山荘に、我々だけ?
もと廃校で、いま雪山の山荘に、我々2人だけ?

bakasp056

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・聞こえる!
「かまいたちの夜」のテーマ曲が、聞こえる!

やめて!
とめて!
トラウマなの!

その夜、共同トイレに連れ添って向かう、兄弟の姿があったとかなかったとか。
はーなーこーさーん。

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※次回、葉留日野山荘の創設者、高橋氏との座談会を敢行。廃校温泉設立時の利点や苦労話について伺います。

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作画:foomin

text by 馬鹿旦那 | 2005.02.01 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (6) | トラックバック (0)

2005.01.18

第8回:馬鹿旦那と飲泉とゲーセン

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

先日、おしっこがしたくてしたくて、トイレでする、っていう夢を見ました。
で、眼が覚めて、ああ、トイレに行かなきゃ。トイレに行って、おしっこをしたわけですよ。ああ、スッキリ。
そこで眼が覚めたわけですよ。どちらも夢だったんですねえ。
でも、現実の僕は寝小便をしなかったわけです。すごい!さすが大人!

そんな大人が温泉について、英国貴族がごとく上品かつ紳士的に語ります。
馬鹿旦那でございます(ステッキをくるくる回しつつ)。おはようございます(脱いだシルクハットを胸にあて)。

さて、本題です(片メガネ)。

その前に、質問を一つ。
皆さんは、「飲泉(いんせん)」というものをご存知でしょうか?
読んで字のごとく、温泉を飲む行為のことを言います。

さらにもう一つ。
皆さんは、「塗り薬」「飲み薬」。より効果的なのはどちらだと感じますか?
そう。もちろん症状・病状にもよりますが、大抵の方が「飲み薬」と答えることと思います。

温泉もまたしかり。
同じ泉質の温泉であっても、入るのと飲むのとでは、効果が違うわけです。
という、今回はそんなお話です。

「炭酸水素塩泉」を例に上げてみましょう。
保温・保湿性に優れ、美人の湯としても知られている、女性に嬉しい泉質です。

入浴した場合の効能は、
「傷、火傷、慢性皮膚病など」
とされています。あと、効能としてはあまりカテゴリされませんが「美肌」ですよね。

では、まったく同じ泉質を、今度は飲泉した場合はどうでしょう?
「慢性消化器病、胆石病、慢性胆のう症、肝臓病、薬物中毒、糖尿病、痛風など」
に効果があるとされているのです。

入浴した場合の「女性に嬉しい温泉」という肩書きは一転、「男性、特に働くお父さんに嬉しい温泉」となるのです。

なんと素晴らしい。これが飲泉の力というものです。

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もっとも、湯治を目的で温泉に向かわれるお客様にとっては、飲泉はポピュラーです。
飲泉の効能が高いとされている温泉地では、飲泉用の温泉水をご自宅に取り寄せることが出来たりします。

調べてみて驚いたのですが、10リットルで4000円だの1.5リットルを10本で25000円だの、思わず、「湧いてるの汲んだだけやんけ!」と、インチキ関西弁でツッコみたくなるぐらい高価なものが多いみたいです(もちろん市販のミネラルウォーターぐらいのリーズナブルなものもあります)。

げに素晴らしき「飲泉」。
病人のメシア(かもしれない)「飲泉」。
そして経営者にとっては金のなる木だ「飲泉」。
GOGO飲泉、GO飲泉、ワァーーーーーーオ!
Fight!飲泉!I・N・S・E・N飲泉!
OK!カモン!チェベックス(あっ、レッド吉田がいる)!

すみません、取り乱しました(「金のなる木」部分に興奮したと思われ)。

泉質によっては飲めない温泉もあるのでは?
という意見もあることと思いますが、大抵の泉質においては飲めないと言うことはありません。
硫黄泉でも放射能泉でも硫酸塩泉でも、飲み方さえ誤らなければ飲泉の素晴らしい効能を得る事が出来るのです。

ただし、温泉地に行っては、持参したコップで湯船の湧き出し口の温泉を注いで飲むと言う行為。
たまに見かけますが、これはあまり感心できません。

理由を例えれば、「日本で言う飲料水」と「インドで言う飲料水」は違い、日本人がインドで飲み水として出された水道水を飲めば、お腹を壊しやすい。
私の友人は、韓国の安ホテルで水道水をペットボトルに詰め込んだだけの偽ミネラルウォーターを飲み、「トイレ王」になりました。「海賊王」になるのは困難ですが、「トイレ王」になるのは簡単です。もっとも「トイレ王」は、なった後が困難ですが。

ともかく、飲泉においても、これと似たようなことが言えるわけです。

温泉は、地中や岩場を通過して湧き出し宿に注がれるもの。その段階で、入浴には適していても飲泉にはまったく適さない成分が紛れ込んでもおかしくは無いのです。
飲泉においてはさすがにお湯は源泉で無くてはいけませんが、だからといって源泉だから全て飲めるとは言えないわけです。

保健所によって安全性が保証された「飲泉所」での「飲泉」をお勧めします。

そして、飲泉を行う場合は、きちんと飲み方を責任者に尋ねてから行ってください。

同じ温泉でも、冷やすのと温めるのとでは効果が違うもの。
ストローを使って飲まないと、歯に悪い影響を与えてしまうもの。
薄めて飲むもの。特定の薬や飲料との併用を避けなければいけないもの。

飲み方を誤れば、それなりのリスクが伴います。お気を付けて。
冒頭でもお話したとおり、飲泉を「入浴」よりも効果的な「飲み薬」として考えるなら、用法・用量は守らなければならないのです。

日本にあまり多く飲泉所が無く、飲泉もポピュラーじゃないのは、このへんが理由なのかも知れませんね。
保健所に許可を取ったり、飲泉所を設けたり、飲み方を指導したり。私の立場、つまり旅館側の眼から見れば、コスト的にも大変ですもの。これ。
特に最近の保健所さんは数年前の10倍は厳しいですし、間違った用法で飲まれて問題になった日には目も当てられません。

飲泉所をあまり見かけないのは、温泉地・温泉施設の安全策、というのも確実に理由の一つにあげられるのではないかと。
だとすれば10リットル4000円も納得しなければいけないのかも知れませんね。いや、高いですけどね。

「入る温泉」に「飲む温泉」。

温泉の魅力の幅が、ぐっと広がる。そんなお話でした。まる。

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さて、本日はもう少しだけ、お話を。
私、またしても質問メールと言うものを頂戴してしまいましたー!ひゃっほう!

ありがとうございますー。
さあ、どうぞ。どうぞ私めに質問を。そして暴言を。なんならキックとかも(M発言)。

「旅館にあるゲームセンターのゲームが微妙に古かったりするのは何故か教えなさい」

はい!お答えします!きゃうん!

お金が無いからです(血の涙)!

いや、それだと終わってしまうので、もう少しだけ説明を。

旅館に置かれているゲーム機は、過去「借りる」のではなく「購入する」のが基本でした。
過去、と言うのはバブル経済の頃のお話ですね。中古だろうと新品だろうと、ゲームセンターのゲーム機を充実させるために、あれやこれやと買い揃えていた施設さんは、特にマンモス旅館に多く見られました。

ガンシューティングにエアーホッケーにUFOキャッチャー。大型筐体をものともせずに購入。それはそれは華やかなものでした。

しかし、バブルがはじけると共に、その動きは急激に失速。
新しい筐体を買う余裕も無く、業者さんに「もう部品が無いですよう」と泣き言をぼやかれ騙し騙しの修理を重ねながら、現在の状況にたどり着いた旅館さんは多いことと思います。

現在、旅館の倉庫では、修理不可能になった古いゲームの筐体がうずたかく積まれている光景が多く見受けられます。

つまりは、古いゲームを仕入れているのではなく、仕入れたゲームが古くなったのです。

最近は景気に伴い、こういったゲーム機もリースやレンタルが出来ることが多くなりました。

でも、仕入れる旅館側の人間は、旅館経営のプロではあってもゲームセンター経営のプロではありません。
業界の流行りすたりを知らないために、「麻雀ゲーム」「ぬいぐるみ取るやつ」「あっ、ぬいぐるみ取るやつの商品はアダルトビデオにするのって、出切る?」という大雑把な指示だけで、品揃えはレンタルする業者さんに一任。
しかも費用的にも多くは出せないため、並ぶのは一昔、二昔前の商品が基本となってしまうのです。

つまり、結局は古いゲームが並んでしまう、と言うわけです。

そう言えば、今はレトロゲームが随分と流行りのようですよね。
だとすれば、予期せず時代が追い付いた、ってことでしょうか。

コアなゲームファンの方は、今がチャンス?


作画:foomin

text by 馬鹿旦那 | 2005.01.18 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (8) | トラックバック (0)

2005.01.05

第7回:馬鹿旦那と送客手数料

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

同期コラムライターの皆様がばたばたと最終回を迎え、気が付けば周囲には見知らぬ方々が。
大変です。私以外の生徒が全員転校生です。
過ごし慣れている校舎。昨日まで友人と濡れティッシュを黒板に投げ付け合い、架空の童貞喪失トークで盛り上がった3-A教室。なのに、なんでしょうか、この肩身の狭さは。

とまあ、そういった状態の、馬鹿旦那でございます。
この度、転校しなかった、馬鹿旦那でございますよ。

祝、コラムライター任期延長!
誰にも祝われないので、自己フェスタ。シャンパンに三角帽子に鼻メガネ。しかし独り。じっと手を見る。

当コラムは、温泉旅館の、旅行会社の、そして温泉入浴指導員の。
つまりは温泉旅行をする際にあなたの向かい側に立つ人間の視点から見た、数多の「温泉うんちく」を語ります。うんちく王。
個人的に節目ですので、再度説明させていただきました。
今回初めてこちらにいらっしゃった方は、第1回から読んでくださいね。何でかって言うと、今回のお話、「温泉」からちょこっとそれますので。「温泉の話と違うじゃないの!」とか突っ込まれちゃうと、美しい土下座で応えなければなりませんので。第1回からの流れでお読みください。そうすることで、あながち、それてもいない感じになりますので。うまいこと騙されちゃいますので。よろしくお願いいたします。

それでは今回もお話を始めさせていただきます。

皆さんは、温泉旅館を予約する上で、どういった方法を用いますか?
宿に直接電話。旅行会社。インターネットの宿予約サイト。宿が直接運営するホームページから、といった方法もありますね。

では、そのどれがお客様にとってお得なのか、ご存知ですか?

例えば。

「宿に直接電話をして13000円の部屋を予約した場合」。
と、
「旅行会社を介して13000円の宿を予約した場合」。

お客様のお財布から支払われる金額は同一です。

でも、お客様自身に提供されるサービスは、同一なのでしょうか?
以前にもこのコラムでちょこっとだけ出てきましたが、「旅行」というものは、本やおもちゃなど、モノと違って形になっていない商品です。
なので、こういった部分が曖昧になっていても、お客様は気付かれないことが多いように思います。

温泉旅館に勤めていても、この類の質問が寄せられることは非常に多いです。

「ひょっとして、自分は損をしているのではないだろうか?」
そういった疑問を持たれやすいのが、「旅行」という商品の特徴の一つなんです。

なので、少々、分析させていただきます。
皆さんが温泉旅行の計画を立てる上で、それぞれの長所と短所を理解していれば、これはなにより強力な武器になります。

さて、これらの謎を解くキーワードは、2つあります。
「送客手数料」「宿泊特典」と呼ばれる2点がそれにあたります。

旅行会社さんが、お客様に代わって宿を予約した場合。
このとき、宿は旅行会社さんに宿泊費の一部をお支払いする契約がなされています。
これが「送客手数料」です。
またの名を「リベート」。業界での通称は「R」です。

簡単に言えば、「うちの旅館にお客様を送ってくれてありがとうございます」。のお礼金です。

旅行会社さんのお仕事は、この「R」によって成り立ちます。
宿からの、JRからの、航空会社からの。また団体旅行においては、立ち寄った観光施設や食事処。お土産屋さん。
そういった施設から頂く「R」が、旅行会社さんの重要な収入なんです。

あくまで一例になりますが、ちょっと金勘定というものをやってみましょう。
高校で数学を捨て去った男のつたない勘定ですが、今回のコラムにおいては割と重要な部分ですので、お付き合いください。

お客様が旅行会社さんに、予約した宿の宿泊料金としてお一人様13,000円をお支払いになったとします。

旅行会社さんと旅館においては、この「R」、お客様がお支払いになった宿泊代金の13%~20%です。
まあ、とりあえず15%としましょう。13,000円の15%は、1,950円。
この上に、旅行会社さまとの協定利率という数字が加わります。簡単に言えば、旅行会社さんへの加入金ですね。
これが0.2%~0.4%でしょうか。間を取って、0.3%としましょうね。13,000円の0.3%は、39円。
お客様が宿にお持ちになるよう旅行会社さんに手渡される、宿泊クーポン券。
宿は、こちらのクーポン券を銀行に持って行き、宿に代わって旅行会社さまから宿泊代金を頂くようにお願いします。
このやり取りに、平均して525円ほどの手数料が発生します。

ほかにももろもろ細かい計算がありますが、とりあえずは省きますね。
では、最後の計算です。

13,000円-1950円-39円-525円=10486円

つまりは、この10486円という金額が、宿がお客様を接待する金額ということになります。

お客様が電話などで、直接宿に予約を頂いた場合は、この金額が0になります。13000円のまま、ということですね。

インターネット系の予約サイトになると、「R」は5%~8%ぐらいが基本となり、協定利率やクーポンに絡む手数料が発生しないので、また計算が変わってきます。

このあとは、宿側それぞれのやり方の問題です。

差額分を旅館の儲けから減らすのか?
お客様の料理や付帯サービスを価格に見合うものに変更させるのか?
はたまたその中間点を模索するのか?

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とにもかくにも、旅行会社を介した予約というものは、宿側、ひいてはお客様の側にもこういった数字をもたらす結果となっている。
というのは、事実だと言ってしまってよいでしょう。

もちろん旅行会社さんにすれば、ここで得た金額がパンフレットの製作や印刷・企画やら社員さんの給料やらで消えてゆくわけですから、旅行会社めー!という展開になっていただいても困ってしまいます。安く仕入れたものを高く販売するのは商売の基本です。
あまり原価でものを考えず、「それが商売というものだ」と、男気溢れる解釈をしていただけると幸いですし、そういった方は私のほうでも「よっ!大統領!」と全力で持ち上げます。「よっ!大統領!」

それに、旅行会社を介する予約には、大きな利点が数多く存在します。

これが第2のキーワード「宿泊特典」です。

旅行会社さんを介したときのみ付け加えられる、「宿泊特典」が、旅行の魅力を何倍にも高めているわけです。

例えばそれは、「アーリーチェックイン・レイトチェックアウト」。通常予約よりも早い時間にチェックイン。遅い時間にチェックアウトが出来る特典は、旅行会社さんの商品に大変多く含まれている特典です。
例えばそれは、「連泊割引」。一つの旅館に連泊をすることで宿泊代金が値引きとなる特典です。
例えばそれは、「広い部屋の確約」。旅行会社さんを介した予約でのみ、通常よりも広い部屋が確約される特典です。

他にも「家族割引」「お客様の記念日に粗品プレゼント」「コーヒー券のサービス」「館内施設利用券」など、旅行会社さんを介した宿泊予約には、ほぼ確実になんらかの特典がつくわけです。
こういった特典は基本的に旅行会社さん独特のもので旅館に直接申し込んでも叶わないものが多くあるので、そういった特典をどれだけお客様自身が欲しているかが肝要です。

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飛行機や電車などの交通機関が正規料金より格段に安上がりなのも、特典の一つですね。
宿泊と交通機関のパック旅行なんてのは、正規料金で時刻表片手にヒーコラ組み合わせを行って、「宿の予約」「飛行機の予約」「JRの予約」と個別に予約をするよりも、確実に安くて楽ちんです。

数回前のコラムでも出てきましたが、温泉においては旅行会社さんが持つ泉質等の情報も捨てがたいですね。
最近になって旅行会社さんが各温泉施設より回収した温泉のデータはお客様にとっても貴重な貴重な判断材料です。
長年「旅」と真剣に向き合ってきた、いわゆる「年の功」を持っているわけです。ある意味お婆ちゃんですね。知恵袋。

「宿に直接予約すると、支払った金額がそのまま宿での接待に反映されるが、部屋の内容・サービス等、ある意味では宿側の都合に左右されやすい」
「旅行会社を介すると、いくつかの特典や情報が得られ、部屋タイプやサービスがある程度確約されるが、お支払い頂いた金額が宿での接待にまるっと反映されるとは言い難い」

それぞれは一長一短です。
それほど難しくお考え頂く必要はありませんが、ご自分の要望に合った方法をお選び下さいませ。

今回のお話に沿えば、電話などで宿泊料金を値切られるお客様がいらっしゃいますが、あまりお勧めは出来ないといえるかもしれませんね。
例えば先ほど例え話に出しました「おもちゃ」を値切る場合。
目の前にあるおもちゃは既に完成しているものですから、どれだけ値切ろうと、その商品が変化することはありません。
おもちゃ屋さんが「その価格でしたら、こんなものでいかがでしょう?」と、そのおもちゃのタイヤかなんかを外して提示するような場合は別ですが、まあ、ありえませんよね。
ただ、はっきりとした形になっていない宿泊や旅行に関しては、様々なアレンジが可能なわけです。もちろんアレンジの仕方は旅館によってまちまちなのですが。

お食事やお部屋のグレードよりも、とにかく安さを優先されるならそれはそれで構いませんが、いちおう頭の隅っこにだけ、ちょこんと入れておいてください。

まあ、本来温泉やら旅行やらを100%楽しめる人間というのは、こういった泥臭い金勘定のことをまったく考えない方のことを言うのでしょうけど。


作画:foomin(イラストが遅れてしまい、すみませんでした)

※作画担当foomin行方不明中に当コラムに掲載されていた、
 馬鹿旦那によるイラスト (クリックにて拡大表示)
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text by 馬鹿旦那 | 2005.01.05 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (9) | トラックバック (0)

2004.12.14

第6回:馬鹿旦那とお土産とさよならさよなら

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

何気なく、「google」にて「馬鹿旦那」を検索にかけたところ、ありとあらゆる主婦の愚痴に、連続HIT!
そりゃそうだ! でも一緒にしないで! っていうか、これだけお世話になってるんだから、「@nifty」で検索しなさいよ!

最近、「ひとり」をパソコンで変換すると、「一人」ではなく「独り」が第一候補に上がります。
馬鹿旦那でございます。機械にすら見抜かれております。

今日は、「お土産」について、お話したいと思います。

温泉地には、その土地土地に、お土産がございます。
お客様が旅行から無事に帰り着いた報告の品であり、人によっては旅の自慢話のきっかけであったりします。
「いやあ、実際に入ってみないと、あの温泉の素晴らしさはわからないね」
などとのたまわれ、悲しみにくれた少年は、青くて丸いロボットに秘密道具を請うのでございます。

まあ、そこまで卑屈になるのは、悲しみにくれる側の心のゆがみにもなんらかの原因があると思いますが。

基本的にお土産を渡すという行為は「身内や知り合いへ、日々の感謝の気持ちを届けること」と考えるのがよろしいかと思います。
そういったチャンスというのは、なかなか無いんですよね。
お土産をお渡しすることで、受け取った側も、「この人に親われている」という印象を受けるのだと思います。スマートですね。
 
さて、この「お土産」。

ここ最近、劇的に進化を遂げようとしていること、ご存知でしょうか?

科学の進歩が、温泉地のお土産に、革新をもたらそうとしている、という、今日はそんなお話です。

温泉宿泊施設の経営者というものは、たまに、ひとところに大集結することがあります。
「全国大会」と呼ばれるものが、それです。
ひとくちに「全国大会」と呼んでしまうと、例えばスポーツで頂点を競う大会のように思われがちですが、ここでいう全国大会は、ちょっと違います。

例えば、「旅館組合」の全国大会。
全国の温泉旅館の関係者が一同に会し、温泉についての学ぶべき講演や、ときには抗論をし、互いの情報を交換し合う会を指します。
1000人をゆうに越える参加者が一つの巨大なホールで宴を催します。飲んでは吐き、吐いては飲み、開催地の自慢の料理が致死量かと思うほどに並びます。それはそれは華やかな宴です。

さて。
こういった会には、温泉に絡む多くの業者が、自慢の新製品のブースを設けます。
旅館の庭園に飾る置物。石造りの芸術的な間接照明。カーペットの染み取り剤に、ガム剥がし。はてはゲームコーナーに置かれるゲームの筺体まで。斬新なアイデアやものづくりの情熱に満ちた、熱いブースが立ち並ぶわけです。

これが、大変面白い。

プリクラ風の筺体に自分の両目を映すことで、網膜の情報からその人の健康状態を見抜くマシーン。
旅館の部屋という部屋にブロードバンドを配するシステム。
テレビショッピングと見紛うばかりの見事な身振り手振り口繰りで実演を行う、畳の染み抜き剤のブース。
まだまだあります。通信カラオケに保険に和室向けベッド。旅館が絡む可能性のある商品は、ばしばし展示されています。

そして、今回のテーマである「お土産」も、例外ではありません。

例として、最近もっとも私の目を引いたお土産を一つ。

先ほど、冒頭で冗談交じりに語った、
「いやあ、実際に入ってみないと、あの温泉の素晴らしさはわからないね」
を、そのお土産を受け取ったお客様が、実際に入れるようになってしまう、そんな素晴らしいお土産が開発されたのです。
まるで本当に秘密道具ではないですか。凄い!

その秘密道具の正体とは、入浴剤です。

「バスク○ンかよ!」
という、皆様のツッコミはごもっとも。

しかし、この入浴剤。ただの入浴剤では無いのです。
この入浴剤、お客様がお入りになった温泉地の、しかもその温泉旅館のお湯をもとに作られているのです。
旅館側の手続きとしては、湯船に注がれるわずか2リットルの温泉水を、その業者さんにお渡しするだけ。
業者さんはその温泉水の成分を科学的に明細に分析し、その旅館の温泉水をほぼ完全に再現する入浴剤を作り出してくれるのです。
つまり、ただ漠然と温泉地の名前が付いただけの入浴剤とは異なり、旅館の名の付いたピンポイントの入浴剤なわけです。

なんという衝撃的な商品なんでしょう。
なによりもこの商品には、「粋(いき)」を感じます。

温泉旅行のお土産が、お客様がまさに入浴された旅館の温泉だなんて。
まさに幸せのおすそわけです。

その業者さん、現在は一温泉地に一旅館という規定付きで、この特殊なサービスを運営しているとのこと。
まだまだ産声を上げたばかりの、これから広まっていく商品であるといえるでしょう。

その他にも、「温泉旅館のお湯で作られる石鹸」「温泉旅館のロゴや紹介文・泉質が記入された温泉コーヒー」「温泉旅館のロゴ入りお漬物セット」など、ここ最近の温泉旅館の商品は、オンリーワンを追及したものが、大変増えているように感じます。

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「旅館やホテルというものは、全てのサービス業の集大成である」
という言葉があります。

旅館では、お客様に食事を提供します。これは飲食店のお仕事です。
お土産コーナーでは、お土産を販売します。これは小売店のお仕事です。
お客様にお風呂に入っていただき、場合によってはエステなどを提供します。これは入浴施設・銭湯・クアハウスなどのお仕事といえるでしょう。
その他にも、お酒の席ではお客様の要望により、コンパニオンさんを提供したり、夜はマッサージを提供したり。

多くのサービス業の役割を、一つの建物の中でこなしているわけです。
一つの旅館という建物の中に、多くの店が凝縮している。
ここに旅館の面白さ。そして難しさがあります。なんでもできなきゃいけないわけです。なんでも。今のジャニーズと一緒です。バラエティも俳優も歌手も出来なければいけないし、なおかつ痩せマッチョで、しかも笑いも取れなければ御飯にありつけないわけですね。

お土産のコーナーというのも、これが一つの店であると考えるならば、どうにか個性を出して売り上げを確保しなければなりません。
ここでしか買えない、価値のあるものを並べなければならない。
こういった商品の登場が、温泉地土産に、大きな「個性」と「粋」をもたらしてくれることを期待します。
そして、お客様がお知り合いや身内の方に、「親しく思う気持ち」に加えて「個性」と「粋」を届けられれば、何よりですね。「土産はセンス」。その通りだと思います。

そして、これまでのベタベタな「温泉まんじゅう」や「ちょうちん」「ペナント」にも、個人的にはしっかりと残っていって欲しいものです。
彼らは温泉地に風情をもたらしてくれる、温泉地を温泉地たらしめる、大変重要な存在ですので。

「温泉まんじゅう」も、なまじこの名前が定着しているだけに、味はそっちのけで、「平凡なお土産」としての印象だけが残ってしまって不憫です。
ピンキリですよ。美味しいお店のものは、本当に美味しい。
一見して平凡でしかない温泉まんじゅう。ところが食べてビックリ、ものすごく美味しい。これもまた「粋」だと思うのですが、どうでしょうか?


といったところで、私のコラムライターとしての任期も、無事終了でございます。
素人臭い文章に6回もお付き合い頂き、まことにありがとうございました。感謝(深々)。

温泉旅館の支配人として、そして温泉を暑苦しいほどに愛する人間として、これらのコラムが、温泉に対する不安を取り除き、温泉へと皆様をいざなうカンフルとなってくれることを祈ります。

馬鹿馬鹿しい文章、馬鹿馬鹿しいイラストの中に、
「こいつはバカだが、このへんで言ってることは正しいぞ」
と思っていただける部分が一文でもあったのなら、このコラムは大成功です。

温泉報道による温泉への「不安」に、ほんの1ミリでも風穴を開けられたら。
そういった思いから始めたコラムですので。

さあ皆さん。最後のお誘いですよ。
温泉に行きましょう。行きましょう。行きなさい。今すぐ。ゴッ。ヒウィゴッ。


と。ここまで書いたところで、@niftyさんから、メールを頂戴いたしました。

「コラムライター任期延長です。全12回で書きなさい」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

ええええええええええええええええええええええええええええええ!!?

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作画:foomin

text by 馬鹿旦那 | 2004.12.14 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (3) | トラックバック (1)

2004.12.01

第5回:馬鹿旦那とかけ流しは善か?循環湯は悪か?

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

こんにちは。温泉地生まれ温泉地育ちの馬鹿旦那でございます。
東京生まれHIPHOP育ちよりも見てくれやセンスは悪いが、そのかわり、めちゃ健康でうるおい肌です。
はっきり言っておきましょう。食ったら美味いのは、我々のほうです!

まあ、それはさておき、本題に。

当コラムの第一回「馬鹿旦那とレジオネラ菌」を御覧になった愛すべき皆様から、書いた本人も驚くほどの書き込み、メールを頂戴しました。
なんともありがたい。と同時に、

やはり皆さん不安なのだなあ。

と、しみじみ感じた次第です。

また、個人的にも第1回コラムの執筆後、多くの方々からの意見・知識を頂き、「ああ、これも話しておけばよかった」「あの言い回しは読み手に誤解を与えたのでは?」「っつうか、レジオネラ婦人って誰やねん?(インチキ関西弁)」と、反省と後悔にマクラを濡らす日々を送っておりました。
どうにか眠っても夜毎うなされて、寝汗をいっぱいいっぱいかきました。
物干し竿にかけられた汗だくのシーツを背景に、お母さんにガミガミ怒られました。
幼少期、あんなに私を慕ってきた妹にも、センスの悪いオブジェを見るような視線で「しっかりしてよね。私がいじめられるんだから」となじられる始末。
いや、妹はいませんけどね。後半は妄想です。妄想28歳です。

とにかく、これは書かねばなりません。

といったわけで今回は、当初予定されていた「馬鹿旦那と大量破壊兵器」の内容をまるっと変更し(あ、嘘ですよ)、「かけ流し」というものに、より深く深く迫りたいと思います。
温泉旅館側の人間として、全ての温泉を愛する人のために、出来る限りの知識を、脳汁が耳からひょっこり顔を出すぐらいに語れればと思います。

題して、「馬鹿旦那とかけ流しは善か?循環湯は悪か?」。長い!

まず最初に、一番多く寄せられた質問にお答えいたします。
「レジオネラ菌って、なんですか?」

これ、わざと第1回では話すことを避けたんです。

出だしから難しい話をしてしまうと、先を読む気が失せてはしまわないか?
という自分なりの配慮をさせて頂いた、というのが理由の一つです。

猛烈に繁殖すると抵抗力の弱いお年寄りや乳幼児などに感染することがあり、まれに死亡する可能性もある菌。

これぐらいの知識で充分ではないかと思ったんです。
なぜなら、現在は厚生労働省の細やかな調査システムにより、もともと低かった感染の可能性が更に向上し、ほぼ無くなったわけですから。
だから、もともとレジオネラ菌を知らなかった方に、後付け的にマイナス要因となる知識を、わざわざ語る必要があるのかなあ?
下手すると、もう、「レジオネラ婦人」で良いんじゃないでしょうか?
と考えたというのが、二つ目の理由です。

bakadan12.jpg

とはいえ、せっかく頂いた貴重な質問です。この場をお借りして、出来るだけ簡潔にお話します。

レジオネラ菌は、土壌や淡水等、自然界に普通に存在している菌です。
基本的にはまったくの無害な菌ですが、水垢や澱んだ水の中で大繁殖すると菌に対して抵抗力の弱い方に、ごくごくまれに害を及ぼします。
感染方法は大繁殖した水が霧状になったもの、「エアロゾル」を呼吸器から肺に入れてしまうこと(ここを混同してしまう方が多いのですが、あくまでエアロゾルとは水やお湯そのものを霧状にしたものであり、つまり、水蒸気である湯気は除外されます)。
24時間風呂、俗に言う循環湯のバイオフィルタが汚れていたり、加湿器の水が汚れていたり、給湯器の手入れを怠ったり。そういった環境で繁殖する可能性が高いです。
症状は基本的には2種類です。「ボンティアック熱」と「レジオネラ肺炎」。
「ボンティアック熱」は自然治癒します。インフルエンザに近いものとお考え頂いてけっこうです。
「レジオネラ肺炎」は発症した場合、死亡する危険があります。

日本では2002年、とある温泉施設で300人弱の感染者と7人の死亡者を出してしまったことが、レジオネラ騒ぎを日本全土に広げたきっかけとなりました。
レジオネラ菌を温泉の浴槽から減らす方法、「かけ流し」のお風呂が重宝されだしたのも、このときからです。
現在温泉施設では消毒や清掃を国レベルで徹底し、レジオネラ菌繁殖の危険は激減しましたが、マスコミ報道などにより多くのお客様がレジオネラ菌を恐れ、かけ流しのお湯を求めてやまない状況にあると言えるでしょう。

以上です。まあ、面倒だったり難しかったりしたら、おおむね忘れていただいてけっこうです。

さて。

前述したとおり、これまでの温泉報道の影響で、皆様の頭の中には、こんなネオンがペカペカと輝いているはずです。

「源泉かけ流しが、一番である」

温泉成分が薄まっていない。話題のレジオネラ症に感染する不安がない。

「源泉かけ流しこそが温泉であり、源泉かけ流しこそが安全である」

今や神話とも呼べる台詞になってしまったのではないかと思われます。

が、果たして本当に、かけ流しが一番なのでしょうか?

現在なされている温泉報道では、基本的には、確かに真実が語られています。
確かにかけ流しは、レジオネラ菌だけは浴槽の外に追いやってくれるんです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

さて。

・・・今の最後の一文に、違和感を感じはしませんでしたか?
おかしな言い回しが含まれていたことと思います。

「レジオネラ菌だけは」。

そう。
かけ流しが温泉から拭い去ってくれるのは、レジオネラ菌とごくごく一部の菌だけです。
それ以外の人体に無害な菌も有害な菌も、かけ流しは消し去ってはくれません。
「レジオネラ菌」という、人の命を奪った「大悪」と思われる存在に目を奪われ、それを消し去る手段のみに囚われた結果。
それが、現在の「かけ流し至上主義」を生み出したのだ、と私は考えます。

かけ流しの温泉とは、湧き出した温泉になんら手を加えることもなく、浴槽に流すことを意味します。
マグマや地熱で温められた、土の中や岩の中にあるお湯を、そのまま、です。

そんなお湯が、まったくの無菌であると思いますか?

現在悪者にされつつある循環湯。
第1回のコラムでは、私、「湯量の少ない温泉地で、その効能・成分を保ちつつ、多くの人に温泉を楽しんでいただくための有効な手段である」と、循環湯の魅力を語りました。

でも、実は、もう一つ。循環湯には大きな利点があるんです。

それは、
「かけ流しでは流し切れず、たまる一方の汚れや菌を、奇麗にしてくれること」
なんです。

温泉には、はじめは「かけ流し」という形態しか無かったわけです。
それが、「菌や汚れが溜まって良くないんじゃないの?」という意見があって、それを解消するために生まれたのが「循環湯」と呼ばれるシステムだったわけです。

レジオネラ症による事件が起こる以前の構図は、こうだったわけです。
「かけ流し=不衛生」「循環湯=衛生的」

いまはこの構図が、まったくの真逆の扱いになってしまっている。
「かけ流し=衛生的」「循環湯=不衛生」

レジオネラ菌という、たった一種類の菌の為に。他の要素をないがしろにして。

これ、物凄い事だと思うんです。

bakadan11.jpg

ただ、ここで、「じゃあ、循環湯もかけ流しもおっかなくて、温泉なんか入れないじゃない」といった方向にお考え頂いてしまうと、それは困ってしまうんです。
過去、かけ流しに残留した菌で人間が死亡した例は、まったくと言ってよいほど報告されておりません。
そして、何度も同じ事を言ってしまいますが、循環湯もレジオネラ症に感染する不安は限りなくゼロに近づきつつあります。

ですからここは、こう考えるのが正解なのだと思います。
「循環湯にしろ、かけ流しにしろ、温泉は危険なものではない」

そうして頂ければ、あとは簡単です。
このコラム連載にかける私の想いは、ほぼ100%伝わったんだ、と嬉しく思ってしまいます。

あとは休みを取って、計画を立てて、温泉に飛び込むだけです。
で、「ふぃ~」って言ったり「アイタタタ」ってうめいたり「最高だー!」って叫んだりすれば良いのです。
良いのですったら、良いのです。


作画:foomin

text by 馬鹿旦那 | 2004.12.01 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (3) | トラックバック (0)

2004.11.16

第4回:馬鹿旦那と妊婦in温泉

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

欠点があっても、コンプレックスが無ければ、それは欠点が無いのと一緒。
そんなことが堂々と言える人間を、心底かっこいいと思う、そんな馬鹿旦那でございます。
馬鹿のほうが人生は楽しい。そんな遊び心を忘れない旦那でいたい。そんな意味なのでございますよ。
どう考えてもバカタレなペンネームに大義名分を加えてかっこよく見せる作戦。失敗。

さて。

先日、お客様からこんな質問を頂きました。
「妻が妊婦なんですが、温泉に入ってはいけないんですか?」

温泉には、「禁忌症」と呼ばれるものがあります。
こういった症状をお持ちの方は、温泉に入ってはいけません。というものです。
この禁忌症、温泉の泉質によって、当然のごとく異なります。
温泉は、温泉だから、むやみやたらに身体に良い、というわけではないのですね。

たしかに、今現在日本中にある温泉のほとんどには、この禁忌症として、「初期・後期の妊娠」が掲げられています。
これ、考えてみると、ちょっと失礼な話ですよね。
「妊娠」は「症状」ではないのに、「禁忌症」にカテゴライズされてしまっている。

こうなってくると、私としても、
「禁忌とされているんだからダメなんでしょ」
ではいけない気がして、調べてみました。

果たして、妊婦の方は温泉に入ってはいけないのか?

結論から言いましょう。
正解は「おおむね入っても良い」でした。

禁忌症として「妊娠」が上げられている温泉でも、妊婦の方が入っていけないことはありません。
よほどのやむにやまれぬ事情が温泉側に無い限り、大丈夫なようです。

では、なぜ温泉には、妊娠が禁忌症であるとされているのか?

温泉は、基本的に高温です。普通の家庭のお風呂よりも、若干高めの温度であることが多いでしょう。
そして、温泉というものは、あまり堂々と温度調節は出来ません。貸切風呂ならまだしも、大浴場などは、自分勝手に水で温度調整というのはしにくいものです。
さらに、温泉にいらっしゃるお客様は、温泉が目当てでいらっしゃっているわけですから、出来るだけ長く温泉に浸かろうとします。

熱い湯に浸かるということ。
長湯をするということ。

このことが、妊婦の方にとって、あまり良いこととはされていないのです。
高温のお湯に長く浸かると、流産・破水に及ぶ危険があります。

これは、温泉であろうと、家庭のお風呂であろうと、一緒です。
温泉の成分そのものが妊婦に良くない、ということは、まず無いんです。

bakadan09.JPEG

ここに、温泉の禁忌症に「妊娠」が加えられた全ての原因があります。

古来より温泉というものは、人々を癒し続けてきました。妊婦の方も多く訪れ、つい長湯をし、少なからずトラブルが起こったことでしょう。
昔、まだ温泉の効能というものに科学的根拠が無かった時代、温泉が妊婦に悪い影響を与えるとされ、禁忌とされた可能性はあります。
そして科学的根拠が見出せるようになった現代においても、温泉旅館など温泉施設側にすれば、温泉に入ったことで起こった「流産」などのトラブルは、受け入れがたいものです。
そういったトラブルを避ける意味でも、「妊娠」を禁忌症と定めたままにしたのではないでしょうか。
そしてそれは、今日に至るまで、特に誰が疑問を感じるでもなく息づいている。

これが事の顛末ではないかと、私は推理します。
違ってたらごめんなさい。てへっ(28歳男性が表現可能な最大級の可愛い仕草)。

とにもかくにも、妊婦の方は、温泉に入るとき、くれぐれもご注意を。
「湯温」と「時間」。
この2つにさえ気を配れば、妊娠されている長い長い期間を温泉抜きで過ごすという苦行から開放されます。

温泉には様々な個性・泉質・効能があり、禁忌症も存在するということも、ご理解ください。
特に湯治を目的とされる方は、効能と同時に、禁忌症も確認してから計画を立てるのがベストかと思われます。

さてさて。

「湯治」という言葉のついでに、温泉がもたらす効能についてお話いたしましょう。

温泉地のお風呂場に掲げられている、効能を示した看板。実に多くの内容が記載されていますね。
「疲労回復・神経痛・肩こり・腰痛・便秘・高血圧症・皮膚病・切り傷・胃腸病」
泉質によりけりですが、まだまだまだまだあります。まあ、とにかくその数の多いこと多いこと。

実はこれらの効能の7割以上は、温泉の温熱効果によるもの、つまりは「お湯が温かいことによってもたらされる効果」であること、ご存知でしょうか?

そう、つまり、温泉がもたらす効能の7割は、自宅のお風呂でも得られる効果なんです。
もちろん残りの3割は、温泉の成分がもたらす素晴らしい効能なのですが。

ちょっとがっかりしましたか? でも、本当のことなんですよ。
ただし。
温泉というものが多くの人々の怪我や病気を回復させ、肌に潤いを与えてきたことも、これまた真実なんです。

温泉が家庭のお風呂に比べて、圧倒的に人々の怪我や病気を癒すのには、理由があります。
それは、温泉における開放感とリラックス効果です。

温泉地という恵まれた環境。忙しい日常や俗世間からの開放。おいしい食事に、足をぐっと伸ばせる広々としたお風呂。
長期間の湯治においては、美しく空気の良い自然環境における、規則正しい生活と地元の人々との出会い・人情。
これらの精神的な癒しの要素が、肉体にも大きく作用し、人間の代謝機能をぐぐっと高め、それが温泉の効能を何倍にも高めているのです。

「病は気から」。そして「癒しも気から」なんです。温泉はそのお手伝いをしているに過ぎません。

こういった側面に、旅館側の、そして温泉の効能を知る者の視点を加えますと、白骨温泉の入浴剤事件について、私は首を傾げてしまいます。

この事件に際し、多くのお客様から「裏切られた」という反応が寄せられているとの事です。

この事件は、温泉の湧出口から白いお湯が出ていないのに、浴槽に溜まったお湯が白いのはおかしい、というお客様の意見から始まったものである、と聞いております。
白骨温泉に代表される「硫黄泉(いおうせん)」の白濁は、温泉に含まれる硫黄の成分が空気に触れ、酸化することで発生します。
だから、湧出口から出てきたばかりの温泉に、濁りは無いのです。
ともあれ、お客様からの意見に従い、いくつかの温泉施設が入浴剤を利用し、温泉の湧出口から白いお湯が出るように細工をしました。つまりは、あくまで着色料としての利用ですね。
お客様の意見を形にすべく、本来かける必要のない経費を投じて。お客様の満足を、より多く得るために。
しかし結果はうらはら。これが大問題と報じられたわけです。

私は、こう考えます。

温泉の成分にこだわるのであれば、入浴剤を利用した温泉も、利用する前の温泉も、その成分自体に変化はありません。
つまり、温泉の効能自体はまったく変わっていないのです。
これが「裏切られた」という意見に該当する行為なのか?
ここが私が首をかしげる理由です。

硫黄泉の効能は、「ニキビ・皮膚病・水虫・神経痛・高血圧・婦人病・動脈硬化症・しもやけ」など。
入浴剤が使われていた状況でも、それ以前も、以後も、これらの症状を白骨温泉は回復させ続けていました。
そして、温泉と温泉地が持つ癒しの効果により、多くの方が満足を得ていたはずです。

温泉の成分自体に変化が無いとすれば、あとは一つだけ。「気分の問題」ですね。
天然温泉だと思っていたものに、多少なりとも混ぜ物が加えられていたことに、怒りを感じられるかたが多いのだと思います。

そう。
ですから、あとは、皆様の考え方一つなんです。

現在は明らかに入浴剤が使われていない。
そもそも、温泉の成分・効能は変わらない。

だったらもはや問題は無いのではないでしょうか?
今、お客様の激減に苦しんでいる温泉地を救えるのもまた、お客様自身なのです。

現在白骨温泉にお越しになるお客様の大半は、旅館の経営者や従業員に、こうおっしゃってくれるのだそうです。
「なにかと大変だな。頑張れよ」
私は知り合いからこの話を聞いたとき、涙が出そうになったのを覚えています。

とにもかくにも、皆さん、温泉に行こうじゃありませんか。
温泉が素晴らしいものであることを再確認してくださいな。
温泉の成分だけにとどまらない、きっとまた、何度でも訪れたくなる「効能」に癒されるはずですよ。


あっ。
前半に述べた「妊娠」を「禁忌」とするに至ったくだりで、トラブルを出来る限り避けたいという温泉地側の動機は、あくまで馬鹿旦那の推理です。ご了承を。
推理が当たっていたとしても外れていたとしても、腹を立てず、そこは広い心で。ねっ(28歳男性が思いつく限りを総動員したプリチーな仕草)。

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text by 馬鹿旦那 | 2004.11.16 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (8) | トラックバック (2)

2004.11.01

第3回:馬鹿旦那と温泉地在住

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

温泉地生まれ、温泉地育ち、現在も温泉地にて旅館に勤める温泉馬鹿。
温泉成分がすっかりDNAに染み付いた、馬鹿旦那でございます。

第1回、第2回と、わりかしカタめの話が相次ぎましたので、本日はブレイクタイム。雑談を一つ、お送りしましょう。

私、馬鹿旦那の田舎は温泉街です。もうすぐ開湯1200年を数える、由緒正しき名湯です。
札幌での大学生活とその後の旅行代理店勤務を含めた5年間。それ以外の時間を、私はこの温泉地で過ごしました。

「毎日毎日、入ろうと思えば温泉に浸かれる」

子供の肌というものは、水道水に浸かろうと泥水に浸かろうと24時間すべすべです。
だから私が子供の頃は、正直、そのことの「ありがたさ」を理解してませんでした。
旅館の広い温泉に浸かれば、その効能よりもバタフライが出来ることに喜びを感じ、硫黄泉に浸かろうものなら、「くさい」以外の感想を何一つ持ち合わせない。
温泉版の「もったいないオバケ」がいるのなら、襲われようと獲り憑かれようと、「おまえも、もったいなくしてやろうか!」と、もったいなくされてしまおうと(どんな状態だ、それは)、文句は言えない精神状態で育ったわけです。

28歳を迎えた今は物凄く感じてます。はい。
温泉ってすごいです。むしろ、すげえです。肌のすべすべが段違いです。

さて、本筋に戻ります。

この温泉地に住まう人々の家庭には、お風呂がありません。全てとは言いませんが、ほとんどの家庭がそうなんです。
なぜなら、街の至るところに、町民だけが利用できる共同の温泉浴場があるからです。

大人も子供もお姉さんも、小さい頃から毎日毎日、この共同浴場に通います。
でなければ他にお風呂が無いわけですから。

そんな中、私は、生まれてこの方その共同浴場に行ったことがない、町全体から見ると珍しい人間でした。
なぜならそれは、実家にお風呂があったからです。自宅にお風呂があれば、部活動で疲れた体を引きずって共同浴場まで向かう必要がありません。むしろ私は幼少期、その共同浴場の存在すら知らなかったのかもしれません。

だから、私は知ることなく28年間を過ごしてしまったんです。
この共同浴場の実態を。
つい先日、地元の喫茶店にて。
同じ温泉地で過ごした小学・中学校時代の後輩から、とんでもない事実を聞かされるまでは。

「俺さ、入ったこと無いのよ。あの共同の風呂」

突如として沸き上がった共同浴場の話題。
私が放った言葉に、後輩の女の子は、目を丸くします。

「ああ、あの共同浴場ですか? 混浴の」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
「共同浴場ですよね。混浴の」
「混浴!?」
「ええ。どこの共同浴場も、混浴でしたよ」
「入ってたの?」
「もちろんですよ。皆さん入ってましたよ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

「小学生のときも!?」
「ええ」
「中学生のときも!?」
「ええ」
「高校生のときも!?」
「ええ。よく同級生の男の子や先輩と一緒になっちゃいましたけど」
「大学生のときも!?」
「休みで実家に帰って来たときには」
「今も!?」
「はい」

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しまったあああああ!

そんな、そんな、そんなにもチャンスに恵まれた街だったのか!

そんなにも、日々、「おかみさん」が「時間ですよ」な街だったのか!
毎日毎晩、女の子との入浴イベントがあるなんて、いったいどこのギャルゲーですか、それは! で、どんなボンクラが書いたシナリオですか!

高校の男子校時代。

ときめきの皆無だったあの時代。
(この辺で、中島みゆきの「時代」を脳内オンエアさせてください)

最も動物的な発情期を送るのに、ときめきの皆無だった、高校時代のあの日。

家に帰れば。
あの街に帰れば。
幸せは落ちていたんだ。
青い鳥は、いたんだ。
ビバ田舎!
ビバ田舎!

そんな幸福にも気付かずに。
もうだめだ。
もう今さら行けない。
28年間、共同浴場に訪れなかった人間が。
今になって、突然訪れたとて。
それは、明らかにエロ目当てだ。
エロテロリストだ。
バレバレだ。
バレバレオブジョイトイだ。

と。

悲しみにくれたい気持ちもあるにはあるのですが、実際に共同浴場に入っていた友人から話を聞くと、どうやらそうでもないらしいです。
混浴があまりにも日常になりすぎて、そういった欲求は、入浴時だけ頭から切り離せるようになるらしいです。
その訓練が男性としてプラスなのかマイナスなのか、勝ちなのか負けなのか、得なのか損なのか、それは私にはわかりませんが。今となっては、どうにも。

あ、ちなみにこの共同浴場、町民だけが持つことを許される鍵がないと入れませんし、猛烈に人口の少ない土地のため、外部の人間が入浴するとモロバレです。
どうにか見つけ出して、入ろうとか思わないように。
あと、このクラスの田舎町に住んだ場合、特典として「消防団に強制入団」やら「吐くまで許してもらえない飲み会」やら「コンビニ皆無」やらがくっ付いて来ますので、それなりのご覚悟を。

さて、雑談はここまで。
もうすこし続けます。

先日、当コラムを御覧頂いている方から、質問メールなどというものを頂戴してしまいました。いや、うれしい!ありがとうございますー。
ありがたく回答させていただきます。

質問「旅館でお客様がルーム係などに手渡す【心付け】の裏側を教えなさい」

はい!恥ずかしながら、お答え差し上げます!はうん!

心付け(こころづけ)とは、お客様が旅館側にお渡しする「気持ち」と呼ばれるものです。簡単に言えば、まあ、ほぼ現金ですよね。「チップ」に近いものと考えていただいてよろしいかと思います。
それは、スタッフがお客様の特別な依頼を遂行したときの報酬であったり、「他のお客様に比べて、接客やサービスを特別に良くして下さいよ」の暗黙の意思表示だったり、その旅館に対する高い評価の証であったりします。

この心付け、果たして最終的に、どこに行くのでしょう? 旅館側の売り上げとして計上される? 貰ったスタッフの報酬となる? 全スタッフに平等に分配される?

これは、旅館によって様々である、というのが実際のところです。ちなみに私が勤める旅館では、100%、貰ったスタッフの報酬となります(月によっては心付けが月給を超えたりします)。
心付けはそのスタッフの接客力による結果なわけですから、それが当然であり、かつ他のスタッフとの競争意識を高めていただきたい、といった方針によるものです。

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さて、お客様サイドから見たとき、心付けというのは払わなくてはいけないものなのか? といった不安はあることでしょう。
払う必要はありません。なぜなら、宿泊代金に含まれる「サービス料」に、この心付けも含まれることになっているからです。

温泉旅館の宿泊代金の内訳は、基本的にはこのようになります。
【宿泊費+消費税+入湯税+サービス料】

このサービス料、現在では9割以上の旅館の宿泊代金に、最初から含まれています。(サービス料を頂かない旅館というのも稀にあります)
だから、旅館にお泊りの際は、よっぽど無茶なお願い事をしていない限り心付けを支払う必要は無いですし、それが当然のことであるため支払わないからといってサービスが低下するという心配もまずありません。
だから旅館では、心付けを渡そうとすると断ることが多いのです。
「料金に含まれていますから」といった理由で。

しかしながら、何回もお断りするのはかえって失礼に当たるので、3回目ぐらいにはきちんと受け取ります。
先ほどの「サービス料」は宿泊代金の一部ですから、旅館側の売り上げとして計上されるのが基本です。
心付けを手渡すという行為は、かなりの直球行為ですが、それをお客様の「なんとしても旅を成功させたいという気持ち」と置き換えるならば、ほぼ確実にスタッフの心に通じます。

ご自分の旅行費用を圧迫しないように、財布と相談して決めてくださいね。本末転倒になりませぬよう。


作画:foomin

text by 馬鹿旦那 | 2004.11.01 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (8) | トラックバック (1)

2004.10.15

第2回:馬鹿旦那と旅行会社

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

皆さん、温泉好きですか? 知性乏しき旅館支配人、馬鹿旦那でございます。
先日、大雨の中、ワイパー全力で車を走らせていたところ、片側のワイパーが異音と共に停止。もう片方のワイパーときれいな「X」の字を描いて、視界ゼロになりました。エーックス(JAPAN)!皆さんも車の整備には気を配って、楽しい旅行にしましょうね。じゃないと死にますよエーーーックス(紅)!

さて、本件とは無関係の話題で読み手をひとしきり混乱させたところで、お話のほうを始めさせていただきます。

私、温泉旅館に入る以前は、某大手旅行代理店に勤めておりました。国内・海外への旅行の相談と、お客様の宿への予約代行などを致しておりました。
旅行会社の素晴らしさは、雑誌では得られない情報を得られることですね。行きたい場所を告げれば、それに即した宿やツアーを、しかもその中からお勧めのより良いものを教えてくれる。便利ですよね。
でも、紹介される我々宿側にとっては、ちょいと不安要素が拭い切れないのも、旅行会社の特徴と言えるんです。
一概には言いにくいんですけど、けっこうクレームが起こりやすいんです。旅行会社経由のお客様って。

それは、何故か? そうならないためには、どうしたらよいのか?
旅行会社の宿への予約に至る流れを知ることで、旅行会社経由で宿を予約するときのコツが見えてくるんです。
と、今回はそんなお話です。
ちーとテーマの「温泉」からは話がそれがちになるのですが、早めにお話しておいたほうがより活用できるのではないかと。次回はもう少し温泉らしい話を。

さて。ここからは例え話にお付き合いいただきます。

あなたは旅行会社に温泉旅行の相談に出かけました。人員は彼氏もしくは彼女との2人きり。つまりはカップル。本場の発音で言うとカポー。旅行期間は2泊で、行き先は近場の骨抜き温泉(架空)に決まっています。予算は13000円以下が希望です。
旅行会社の窓口にその旨を告げると、窓口のお姉さんは、目の前のパソコンにカタカタと何がしかを打ち込みます。その旅行会社と契約している骨抜き温泉の全ての宿から、出発日・期間・人数・予算全てを受け入れられる宿を検索しているんです。
そして、その中から旅行会社側が特にお勧め出来る宿を、お客様に告げます。

さて、ここで最初の疑問です。
旅行会社の社員一人一人が全国全ての温泉宿を一軒一軒泊まり歩けるわけが無い。
なのにどうしてその温泉宿がお勧めであるとわかるのか?

正解は、お客様によるアンケートの結果です。
もちろんその店が培ってきたデータもあるのでしょうが、案内する側にとってその宿が「良い宿」か「悪い宿」かの基準は、ほぼ全て、このアンケートデータに基づくと言っても過言ではないでしょう。
その旅行会社で宿を予約すると、お客様にはアンケート用紙が手渡されます。お客様は旅行の後、宿の感想を記入しポストに投函します。このデータの集計が、「全般」「料理」「お風呂」「設備」などにジャンル分けされ、宿の点数となり、全国の旅行代理店に配信されるのです。

さて、あなたは旅行会社のお勧めに従い、宿を予約することにしました。
申し込み用紙にお客様の「お名前」「年齢」「性別」「住所」「電話番号」といったご自身のデータを記入していきます。
記入が終わればその用紙を見ながら、お姉さんはまたしてもカタカタとパソコンを打ちます。打ち込みが終われば予約は完了。
料金を支払い、宿に手渡す宿泊クーポン券を受け取り、店を後にします。
さあ、後は出発の日を待つばかり。あなたは恋人との旅に期待をはせるのです。

でも、ちょっと待ってください。
この段階であなたは、あなたの旅に対する期待を出来る限り現実のものにする可能性を失っていることになるんです。
正確には、可能性を旅行会社と宿まかせにして安心してしまっているんです。

あなたが旅行会社に告げた希望と情報は、「出発日」「人数」「予算」「目的の温泉地」「泊数」「名前」「住所」「年齢」「性別」「電話番号」以上です。
現実、旅行会社はこれだけの情報を得ることで、宿に予約を入れることが可能になります。
システムによって多少の差異はありますが、「出発日」「人数」「泊数」「旅館名」「お客様の名前」を入力して、ボタンをポンっ。以上で旅行会社からの宿への予約は、事実上完了するのです。

でも、少し立ち止まってみてください。

これがあなたの宿に、旅に求める希望の全てでしょうか?

足りないと思いませんか?

あなたは当日、宿に出発し、当初の期待とは違った待遇を受け、腹を立てます。
そして、宿に、旅行会社にクレームを与えに行くのです。
でも、その前に、少しだけ考えていただきたいんです。そのあなたの「期待」を、どれだけ旅行会社に告げたのか? 旅行会社に告げていない期待は、もちろん宿にも伝わりません。
そして人間は、そういった不完全なスキマを自分自身の「常識」で補完する性質があります。

例えばそれは、
「宿に着いたらルーム係がお茶を入れるのが常識だ」。

例えばそれは、
「チェックインの時間前に宿に着いてしまっても、部屋に通してくれるのが常識だ」。

例えばそれは、
「お風呂付の客室といったら、客室の風呂も温泉であるのが常識だ」。

「旅行」というものは、「本」や「おもちゃ」と違って、形になっていないものです。
形になっていないものから「常識」を定めることは難しく、それぞれ個人個人の経験や人伝いの情報から、それを定めることがほとんどです。つまり、旅行に関する「常識」は、人によってまちまちであると言えます。
ここがお客様が旅に対し「裏切られた」と感じる理由の一つであると思うわけです。

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この「お客様の常識」は、前述したアンケートにも変化をもたらすものです。
顕著なものは「設備」でしょう。とある旅館がアンケート集計によれば、「設備」面が80点だったとします。そうとうに高い数値です。

でも、「設備が良い」って、なんでしょう?

旅館の中にプールがあること? ゲームセンターがあること? アメニティーが充実していること? お風呂が広いこと? シャンプーとリンスが別々に置いてあること?
この項目は、特にお客様の「常識」に左右される項目であると考えられます。

お客様から旅行会社への情報提供が少なければ、それだけ実際の旅行で裏切られたと感じる可能性は高まります。
そしてそれは、旅行会社から宿への情報提供にも影響してくるのです。

旅行会社から宿に予約を入れるのに必要なお客様の情報。パソコン上の必須項目は、「お客様氏名(漢字じゃなくても可)」「人数」「宿泊日」「泊数」。基本的には、以上です。

これが、旅行会社経由でおいでになったお客様に対し、我々宿側が不安を感じる要因なんです。

足りません。お客様を迎え入れる上での情報が、ぜんぜん足りないんです。
例えば、漢字では無く、ひらがなでお客様の氏名が伝えられれば、宿の入り口の歓迎の看板にも、お客様の名前がひらがなで記入されてしまいます。お泊りのお客様の男女別が報告されなければ、浴衣が男女で違う場合、アメニティーが違う場合、土壇場で部屋のセッティングを変更することになります。つまりはお客様を待たせてしまうのです。
お客様から宿への直接予約であれば、我々の必要な情報を、我々の口からお尋ねできます。でも、この場合、そうはいかないわけです。

もちろん、これは旅行会社を否定しているわけではありません。
長年培ってきた旅行会社のデータやノウハウは、膨大で素晴らしいもので、あなたの旅をがっちりとサポートできるのは間違いありません。がっちり。
ですから、お客様が旅行会社経由で宿の予約する際、以下のことに気をつけましょう。

① これだけは譲れない!他はどうでもこれだけ叶えられればハッピー!と言う宿への希望をリストアップ。
② 旅行まで日があるのなら「旅行会社にパンフレットを取りに行く日」と「予約をしに行く日」は、別にしたほうがよろしいでしょう。パンフレットはあなたの希望に適した情報の宝庫です。まずごっそりとゲットして、ゆっくり自宅で熟読しましょう。
③ 旅行会社に30分から1時間は居座る覚悟とスケジュール取りを。
④ 旅行会社で止めてしまわないよう、要望をしっかり宿側に伝えるように指示。
⑤ 旅行会社から予約時にもらったクーポン・書類をチェック(チェックイン時間や旅館の場所が告げられてなければ聞いておくと良いでしょう)。

これだけで、あなたの旅はずいぶんと充実するはずです。
我々のお客様を向かいいれる能力。
旅行会社の情報。

ここに、お客様の、旅を成功させようという想いが加われば、無敵です。

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せっかくですので、最後に旅行会社の温泉に関するお話を。

最近、あちこちの旅行会社が、全力で各施設の温泉に対する情報を集めています。
やはり、これまでの温泉問題で、問い合わせが増えているようですね。
泉質・源泉温度・湯量・かけ流しか否か・加水・加温。
各施設に、事細かな温泉情報のアンケート用紙が配布されています。

これらの情報が、温泉施設に豊かさを。そして温泉そのものにお客様を呼ぶ何よりの活力となることを祈ります。
そしてその反面、循環や加水・加温など、誤解を受けやすい一部施設に猛烈な衰退を呼ばないことを祈ります。

良い旅を。アデュー。

P.S.

旅行会社様

ときおり、「ああ ああ様」とか「一般 顧客様」とか、ものすごいお客様氏名での予約があなた様経由で入ることがあります。
氏名欄が必須項目なので、何か入力しておかないと予約が入れられない気持ちも、とりあえず客室を押さえたい気持ちもわかります。

わかりますが、惰性でドラクエをやってる人みたいな名前で予約を入れられると、お客様を迎え入れる気持ちが、なんと言いますか、多少、萎えます。

歓迎の看板に「ああ様歓迎」とか「一般様歓迎」とか、書いてあるのは失礼に当たるかと。
特に「一般様歓迎」が。
いや、書きませんけどね、実際。


作画:foomin

text by 馬鹿旦那 | 2004.10.15 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (7) | トラックバック (0)

2004.09.30

第1回:馬鹿旦那とレジオネラ菌

馬鹿旦那が見た、アレ。 by 馬鹿旦那

コラムニストです。コラムを書く人のことを言うらしいですよ、ダンナ。まさかそんな立派な役目を仰せ付かるとは。全力でコラムります(?)。

初めまして。馬鹿旦那(ばかだんな)と申します。テレコにして旦那馬鹿とか呼んじゃいけませんよ。ただむやみに旦那が好きな人みたいになっちゃいますから。旦那ラブ、むしろラヴになっちゃいますから。

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旅館に勤める前は旅行会社に。温泉入浴指導員という資格も持っています。

当コラムは、旅館の、旅行会社の、温泉入浴指導員の眼から、つまりは温泉旅行をする際に、あなたの向かいに立つ人間の眼から見た「温泉」というものを紹介したいと思います。

さて、今回のお話は、皆さんお馴染みの「レジオネラ菌」です。ここ最近、旅館で予約受けしておりますと、この手の質問の多いこと多いこと。

「そちらの温泉は、かけ流しですか?」
皆さん不安なのだなあ、と思います。

最近になって、入浴剤の事件が起こった際には、
「そちらの温泉は、入浴剤とか、入れてませんよね?」
といった質問が多く寄せられました。
皆さん不安なのだなあ、と思います。

その後、沸かし湯を温泉と偽る事件が起こった際には、
「そちらの温泉は、大丈夫ですか?」
といった質問が多く寄せられました。
皆さん、なんか漠然としてきたなあ、と思います。

このレジオネラに始まる事件は、涙目になるほどに、温泉そのものの肩身を狭めています。旅館に勤める身として、ここはひとつ、旅館側からの(と言っても基本的には私見ですが)言い分とお願いをお聞き願いたく思います。直訴!

件のレジオネラ菌という菌。その辺の壁にも土にもあなたの体にも、ごく普通にくっついてます。これが猛烈に繁殖してしまうと、抵抗力の弱いお年寄りやお子様に感染し、死に至る可能性もある。

ここでのポイントは、2つ。
①レジオネラ自体は、どこにでもありふれている菌だということ。
②抵抗力のある健康な人間なら跳ね返してしまう菌であること。

そして、ここにもう一つ、重要なポイントが加わります。

③レジオネラ菌は、温泉だろうと自宅のお風呂だろうと、感染の危険はある。

温泉だけにレジオネラ菌感染の危険があるわけではないんです。
彼らは水垢のある場所で繁殖します。ご家庭でも循環形式の24時間風呂だけではなく、給湯器の中でも繁殖の危険性は普通にあるんです。
公衆浴場でレジオネラ菌により数名の尊い命が奪われた。あくまで人によりけりですが、これにより、温泉=レジオネラ、温泉にしかレジオネラは発生しないというある種の錯覚が生じてしまっていると私は考えます。
もし、レジオネラ症にかかる可能性が温泉と家庭のお風呂とで大差が無いのであれば、私は確実に効能に恵まれた「温泉」を選択します。

折角ですから、もうひとつお話させてくださいね。あっ、お茶、入れましょうか?

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レジオネラ菌を封じる方法としてポピュラーな手段「かけ流し」についてお話しましょう。

もしもあなたがどうしても「レジオネラ」に不安を感じるのであれば、これは仕方がありません。一番確実な安全策は「かけ流し」を選択することだと思います。
しかし厳密に言うと、温度の高い源泉を人が入れる温度にするために水を入れる行為「加水」をしても、「かけ流し」の枠から外されてしまうという話があるのです。
恐らくは、10%が温泉で90%が水道水といったような温泉施設への対策なんだと思いますが、これが大変大変困るんです!
まっとうに考えて、温泉の温度を人が入れるようにするには、水を使うのが一般的です。お風呂が熱かったら基本的に水を入れるんです。お客様がされるか、宿側が前もってやるかの違いです。
それを「かけ流しでは無い」と判断されると、旅館側の我々に打つ手が無くなるんです。

つまり。

もしもあなたが完全なる「かけ流し」に固執した場合。源泉が45度以上の温泉地・温泉施設に、あなたは足を踏み入れることが出来ません。
温泉は、マグマが水を温めて出来るもの。45度以下になることはまれです。
さあ、これであなたは日本中の温泉の大半に入ることが出来なくなりました。

更に。
今やレジオネラ症の代名詞のような扱いを受けてしまいがちな「循環湯」。レジオネラに不安を感じてしまう方は、もちろん除外してしまうでしょう。

しかし私は温泉の恩恵に授かる身として、循環湯を否定してしまってはいかん、と思います。
例えば、湯量の少ない温泉地で「かけ流し」を取り入れる場合、浴槽のサイズは大変小さくなってしまいます。せっかく出かけた温泉地に、大きな浴槽を持った温泉施設が無くては、温泉を楽しむどころではありません。
そういった状況を打破し、温泉の効能を保ちつつ、たくさんのお客様に温泉を楽しんでいただくためにと取り入れた循環湯なのですから。現在は厚生労働省が教えてくれた対策に従い、塩素系薬剤を利用していますので、レジオネラ症の心配はありません。最近になって塩素が温泉の還元性を奪ってしまうと言う話題も出ておりますが、新たな殺菌方法も開発中とのことですので、近く改善策も出てくることでしょう。
まっとうに営業していた「健全」な循環湯の温泉施設が、あっという間に「不健全」と悪者にされてしまっている、そんな施設側のやるせなさもご理解いただきたいものです。

もしも。
もしもあなたがこのまま「レジオネラ」を避け続けた場合。完全なる「かけ流し」を求め、循環湯を排除し、更にそこに、休みの日にいける距離の温泉地であるという条件も加え・・・。

全てに怯えていたら、あなたは生涯、温泉には入れなくなります。
と言いたいわけです。

①温度調整の為のわずかな「加水」で「かけ流し」を名乗れない温泉施設がある。
②循環湯は決して「悪」ではなく、レジオネラ感染の可能性に関しては限りなく減っている。

この2点を押さえることで、温泉施設の選択範囲は、ぐぐっと広がりを見せるはずです。

私は皆様に必要なのは、レジオネラに対する警戒心ではないと思います。
温泉を楽しむに値する「覚悟」と、それを補うほんのちょっとの「知識」なんだと思います。
レジオネラの不安を膨らませる「知識」ではなく、不安を解消する「知識」です。

これまでの温泉にまつわる事件で、温泉に不安を抱いている方は、だからこそ温泉に来ていただきたいです。

かぽーん、と桶の音が反響する温泉に、足先から浸かります。熱さに息を詰まらせ、イーッ、って顔になりながらも、足を徐々に沈めていき、腰に、胸に、やがて肩までゆっくりゆっくり浸かります。その頃には熱さにもなれ、その苦痛は、全面的に快感へと変化していきます。間髪入れずに顔にバシャバシャと湯をかけます。身体中の皮膚と言う皮膚が、温泉の恩恵で満たされます。あなたはこう言うでしょうね。

「ふぃ~」
って。

で、思うでしょうね。
「最高だ」
って。

実際に、こうなってしまうと、大抵の人はどうでも良くなっちゃうんです。
「レジオネラ」だの「入浴剤問題」だのは。
だって温泉は、本当に本当に本当に良いものなんですから。

「怯え」に心を奪われては「喜び」はあり得ない。そんなお話。


作画:foomin

text by 馬鹿旦那 | 2004.09.30 | [ 馬鹿旦那が見た、アレ。 ] | 固定リンク | コメント (21) | トラックバック (1)