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2005.03.23
第6回:温泉と信行とさよならと裏読み!数字温泉 by 菊池学データや統計をもとに、温泉の本質にがぶりよったこのコラムも、今回で終わりである。3ヶ月という短い期間だったが、「楽しい温泉旅行ができました」「家出していた娘が戻ってきました」「オバアちゃんが腹筋を始めました」などなど、喜びの声が相次いだ。 「終わり」の志 考えてみれば、人はどれだけ「終わり」を意識できるのだろう。卒業式や送別会のように、「終わり」がイベント化してくれれば、「これで最後かしらん」と余韻にふけることもできる。 でも、たとえばボールペンの「終わり」はどうだろう。 こうして、どうにか事なきを得たわけだが、このときすでに信行は「終わり」を失っている。ボールペンで書いた最後の文字は何だったのだろう。「は」 か「せ」 か「や」 か…。いや、そんなことは問題じゃない。「は」「せ」「や」に色をつけるのも意味がない。重大なのは、終わりを意識できなかったことだ。 シュークリームでは癒せない
声のするほうをチラリと見ると、女子高生のグループだった。最近は、女子高生も友達同士で温泉に出かけるのか。ボクが高校生の頃は、せいぜいシュークリームを3つ4ついっぺんに食べれば、それで幸せだった。彼女らは、シュークリームでは癒されないほど大きなストレスを抱えているのかもしれない。 環境省の「都道府県別温泉利用状況」(平成14年3月末)によると、宿泊施設のある温泉地は3023ヶ所。源泉が湧き出る泉源の数は26796ヶ所。温泉利用公衆浴場数は6433ヶ所にのぼる。 平成になってからは、毎年、温泉地数は約60ヶ所、温泉利用公衆浴場数は約270ヶ所、さらに掘削によって生まれた泉源数は約420ヶ所ずつ増え続けている。 女子高生が求めるのだから、そのくらいの勢いで増やすべしッとご機嫌に考えたいが、実際にはそうも言っていられない。温泉を汲み上げることによる地盤沈下が心配されているし、衛生管理の問題もある。 守り、受け継ぐ作業 さらに問題なのは、温泉施設が増え続けることによって、歴史や文化を保ってきた温泉地が失われつつあることだ。それはもう、「時代の変化」や「競争社会」というだけでは片づけられないのではないだろうか。 山の湯や 裸のうへの 天の川(子規)
温泉とのベストな関係を考えるなんて言ったら大げさかもしれない。でも、次の時代も、「温泉でも行きたいよねぇ」 と、鼻をほじりながら言えるようであってほしい。守り、受け継ぐ作業が必要な気がする。 信行のボールペンを反面教師に
温泉はいつかは枯れてしまうもの。ボールペンのインクを湯に例えるなら、せめて、信行のボールペンを反面教師に、「終わり」を意識できるようでありたい(完)
text by 菊池学 | 2005.03.23 | [ 裏読み!数字温泉 ] | 固定リンク | コメント (4) | トラックバック (0) 2005.03.09第5回:温泉のプロ裏読み!数字温泉 by 菊池学「どこかいい温泉を知らない?」。時々、こんな質問を受ける。 どんな温泉も満喫できる自分を養成 しかし、ここで大切なのは「どうせなら、いい温泉に行きたい」という気持ちではないだろうか。それは、「温泉を楽しみたい」「心ゆくまで堪能したい」という万人共通の思いである。いったい誰がその純真無垢な思いを邪険にできようか(いや、誰もできまい)。 「どこかいい温泉を知らない?」という問いに対して明確な答えを持てない今、それに代わる何かを用意しなければいけない。で、考えた。答えを温泉の側に求めるのではなく、自分に求めるというのはどうだろう。 つまり、温泉を満喫できる自分を養成する。「弘法筆を選ばず」というように、どんな温泉でもご機嫌に楽しむ自分になる。ひょっとしたら、それこそ本当のプロかもしれない。 オレのうまい棒と交換しないか つまりイベント性を高めることで、どんな温泉でも楽しめるようになる。 次はオヤツ。オヤツは300円以内に限る。一人旅でないなら、あえて340円くらい買って同伴者に叱られる。安いお菓子を大量に買って、道中でお菓子交換してもいい。 大人のマル秘な楽しみ方♪ で、湯に使ったら「すげえよ、お湯ってあったけーよ」 「ちくしょー、ぼこぼこしてやがる」と、ムダに声にする。さらに詩心なんてなくても、ひとまず一句よんでみる。湯上り後はワンカップ大関だ。たとえビール党でも、こんなときはワンカップ。 こうなったら直接、温泉に行くのも、もうやめたい。 これでも、まだ物足りなければ、今度は世話になる宿の人間模様に目を向ける。TBSの昼ドラ「温泉へ行こう」が教科書だ。いったい仲居は誰とデキてるんだ、とワイセツに想像しよう。複雑でヒワイな関係を想像できるのは、大人の特権である。 プロになって温泉へ行こう 人気があるのだから、いずれも高い満足度を得られるのだろう。でも、「温泉のプロ」になれば、どこでも楽しめる。求めるだけでなく、自分が変われば、温泉はもっと楽しくなる、はず! text by 菊池学 | 2005.03.09 | [ 裏読み!数字温泉 ] | 固定リンク | コメント (3) | トラックバック (0) 2005.02.22第4回:遠出のすすめ裏読み!数字温泉 by 菊池学インターネットの出会いは、あやうい。 温泉オフ会に参加して… 月曜温泉とは、一般ユーザーの方々やコラムライターが、まったり湯につかり、おっとり酒を飲む温泉オフ会のことだ。スタッフやライター陣がいるとはいえ、ボクはほぼ全員が初対面だった。 胸が高鳴る。最初の印象は肝心である。ボクはまず、土曜に床屋に行った。日曜には腹筋もした。バリッとスーツを着て行くつもりだったが、どうせ脱ぐのだから身体を鍛えるべきと思ったのだ。 でも、そうしたことはほとんど意味がなかった。最初の印象は、すでに想像の中で出来あがっているわけで、「会う」のは「確かめる」作業でしかなかったのだ。 今回の月曜温泉で言えば、ボクが想像していた通りの人は誰1人いなかった。これまで男子だと思っていた人が実は女子だったり、髪がないと思っていた人がフサフサだったり、細身だと思っていた人が太身だったり……。 抜き差しならない状況だったが、確かめることで安心できたのは間違いない。人に会うだけで緊張や不安は生まれるのだから、現代は不安三昧な世の中である。
こうした不安をやわらげるために、どうしているのか。 風呂と公園からは、「手軽」というキーワードが浮かび上がる。ここ数年、都内で温泉掘削がブームになっているのもうなずけるわけだ。
地下何千メートルまで掘削して、都内穴だらけの状況になっても、需要があるのだから仕方ない。また、常に不安を抱えて余裕がないのだから、「手軽」に行ける温泉はありがたい。そう考えることもできる。 でも、ちょっと待てよ、とも思う。逆に、この手軽さが「旅行貧国ニッポン」を後押ししているのではないだろうか。年間平均宿泊旅行回数1.28回、宿泊日数3.96泊(2004年版「レジャー白書」)。遠くの温泉に行かなくとも近場の温泉で良くってよ、なんていうのは微妙である。 決して都内のアミューズメント型温泉施設を否定しているわけではない。何が微妙かと言うと、不安をやわらげるために癒しを求めて、近場の温泉に行っても「手軽な安心」と「手軽な癒し」しか得られないからだ。 日本旅行業協会(JATA)の調査・研究では、癒し効果が絶大なのは、旅であることがわかっている。旅は脳や身体の休息、ストレスの低下、怒りや敵意を低下させる効果があるのだ。つまり、本当に安心や癒しを得たいときには、手軽な近場ではなく、旅したと思えるくらいの「遠出」が必要なのだ。
「旅する余裕がないから、せめて近場の温泉で…」というのでも、わずかな安心と癒しは得られる。しかし、それが「遠出は面倒だ」「近場でじゅうぶん」という考えに向かうなら、本末転倒ということだ。 そういえば、昨日の月曜温泉が開かれたのは、埼玉県の行田天然温泉古代蓮物語。 text by 菊池学 | 2005.02.22 | [ 裏読み!数字温泉 ] | 固定リンク | コメント (10) | トラックバック (0) 2005.02.08第3回:失敗しない温泉選び裏読み!数字温泉 by 菊池学皆さんは、どのようにして行きたい温泉を探しているだろうか。 パンフレット&インターネット 社団法人日本旅行業協会の調べでは、「旅行に関する情報を収集する際に最もよく利用するもの」は、「旅行会社のパンフレット」が3割半ばでトップ。「インターネット」が2割半ばで続いた。 予想通りの結果なので驚くことはないけど、「パンフレット」&「インターネット」が情報収集法として妥当かというと微妙な気もする。実際、こうして見つけた温泉に行って、「ハズレ」だった経験は誰でもあるのではないだろうか。かく言うこのコラムもインターネットを使っているわけなので、「やれやれ、自己否定かよぅ!」と叱られてしまいそうだが。
もちろんそれなりの工夫は必要で、とにかく相手をいい気持ちにしなければいけない。たとえばこん具合。 ちょっと罪悪感が沸くかもしれない。でも実際に旅行した際に、その店に立ち寄ればこの電話も良き思い出に変わる、はず。 なので話をほどよく弾ませ、最後に本題である温泉や宿について聞く。すると、地元ならでは噂や隠れた名所なども教えてくれたりするのだ。
電話をかける時間にも配慮が必要で、簡単な情報収集法ではないけれど、「パンフレット」&「インターネット」より、はるかに「アタリ」を引ける。 と、ここまで書いたところで携帯電話が鳴った。今、夜中の3時である。こんな時間に何だろうと思って電話に出てみると、 「オメェ、俺のオンナと援交したろーッ!」 電話の主は怒鳴っている。繰り返すが、夜中3時である。「援交」とは、たぶん援助交際のことだろう。 いったい何だって、夜中の3時にどこの誰とも知れない人に2度も怒鳴られなければいけないのだろう。この理不尽さにボクもだんだんムキになる。で、 ボクの好みを伝えてどうするよ。
text by 菊池学 | 2005.02.08 | [ 裏読み!数字温泉 ] | 固定リンク | コメント (7) | トラックバック (2) 2005.01.25第2回:今、日本の夫婦がとんでもない裏読み!数字温泉 by 菊池学今、日本の夫婦がとんでもない。 危機!夫婦間の意識にズレ
昨年、博報堂エルダービジネス推進室が行った「団塊世代の夫とその妻の定年に対する意識調査」の結果は、さらに深刻だ。 団塊夫の85%が「定年が楽しみ」と考えているのに対し、妻の40%は「憂うつ」と感じているという。 ちなみに団塊世代は、再来年から定年を迎えはじめる。
50代以上の夫婦は、「亭主元気で留守がいい」という防虫剤のCMが流行ったくらいなので、20代や30代の夫婦とは勝手も違うだろう。 仮に自分の親がこの状況だとしたら、どうだろう。母が旅行に出ている間、父はサボテンと会話している。なんとも孤独な光景だ。オーストラリア統計局のレポートでは、65才以上の男性の自殺率は女性の4倍だという。 つまるところ、「亭主元気で留守がいい」というのは、夫に干渉されないことを望んだ妻たちの独立宣言だったのではないだろうか。さらに言えば、子育てに追われ、夫から誉められなかった妻たちは、「オンナを取り戻すんだ運動」を、今はじめているとも言えるのではないだろうか。 こんなことを言っていると、中高年の男性からは「妻に断られたら、1人で旅に出るわいッ!」という声があがるかもしれない。 妻たちも、「旅行に出てまで夫の面倒をみるのはイヤなのよぅ」というかもしれない。
では、どうすればいいのだろう。この状況を避けるためには、若い夫婦は、とにかく1度、旅行に出るべきだ。そして旅先で夫は、「定年後も、またここに来ようじゃないか」と甘くささやくべきだ。なぜなら、こうした約束の魔力の前に、はなはだ人は無力だからだ。 で、すでに妻から旅行相手として敬遠されてしまった夫、あるいは敬遠される可能性の高い夫は、もう、とりあえずヨンさまを利用して韓国旅行に誘うべきだ。もしかしたら、氷川きよしでもいいかもしれない。 そして宿泊先。これは必ず個室風呂のある温泉宿にするべきだ。家では一緒に風呂に入るのは照れくさいかもしれないが、旅先なら許される。 ここまできたら、妻の背中を流してみたらどうだろう。 「あら、アナタ、嬉しい♪」と微妙に盛り上がるかもしれない。
裏読みすれば、温泉宿は、もっと夫婦旅行を前面に押し出した企画を立てたらいいと思う。「金婚式の湯」とか「退職記念の湯」、あるいは「新婚旅行で来ると幸せになる温泉です」とか、そんな宣伝で夫婦を盛り上げていいんじゃないだろうか。 さて、「夫は旅行相手として妻から敬遠されている」という問題、皆さんはどう思うだろう。そして、この問題を打開する良い案はないだろうか。 text by 菊池学 | 2005.01.25 | [ 裏読み!数字温泉 ] | 固定リンク | コメント (4) | トラックバック (2) 2005.01.11第1回:ボクらが温泉に行くためには?裏読み!数字温泉 by 菊池学船出の言葉 風呂につかりながら、人生の重要問題を考えてしまった経験はないだろうか。 たとえばサラリーマンなら、薄くなった髪を気にしながらカツラを検討したかもしれない。 「裸」「1人」「のんびり」という状況は、人生の重要問題を考えさせる三冠王である。しかし、風呂でこうしたことを考えるのは、あまりに危険だ。だんだん頭がボーッとしてくるからである。ボーッとした頭では判断を誤る。ぼんやりしながら正しい選択をする良い方法はないものだろうか。 と、こんな仕方ないことを長々と書いているのは、このコラムがブログサービス(ココログ)を利用しているからである。冒頭には、「ユーザー参加型の温泉コラムです。トラックバックやコメントお待ちしてます」と宣言してある。 たとえば、風呂につかりながら考えた人生の重要問題について、あるいは、ぼんやりしながら正しい選択をする方法についてはどうだろうか。こうなったら明日の宿題についてでもいい。何はさておきユーザー参加型。よろしくお願いします。 温泉ブームの微妙な真実
こうした情報を知りたがる人が多いのだろうけど、ホントのところは自分で行ってみないとわからない。行列のできるラーメン屋と同じで、なかには泣きたくなるような宿だってある。さらに言えば、紹介された情報が正しいとも限らない。 たとえば最近は、「温泉ブーム」と言われているけど、調べてみるとかなり微妙である。 同じような結果が、『レジャー白書』(2004年)でも出ており、「余暇活動の参加人口上位20種目」を見てみると、「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」は、平成13年が6,430万人、平成14年が6,310万人、平成15年が5,890万人と減少している。 実際に温泉に行った人の数は増えていないのだから、「温泉ブーム」とは言いにくい。しかし、「温泉ブームはまやかしか」と言うと、そうでもない。 『レジャー白書』を見てみると、これから伸びが期待される余暇活動(潜在需要)は、「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」の潜在需要が高いのである。 つまり、温泉に行きたいと思っていながら実際には行けていない人が多いので、「温泉ブーム」というのがホントのところなのだ。
ところで、温泉に行きたいと思っていながら実際には行けていない人の割合は、男子のほうが高い。 この脅迫ともいえる抗議に対し、「仕事が忙しくて・・・」などと答えようものなら、いきなり鉄拳が飛んでくる。それはもう全盛時のマイクタイソン並みの威力であり、薄れゆく意識のなか、マットに沈んだ男子はこう思うに違いない。 つまり、「忙しい」というのは、日本の女子を敵にまわすだけで、理由にならないのだ。 お好み焼きとライスから導き出されるのは、「×2」の法則である。温泉地あるいは宿に、「×2」の法則があてはまれば、世の男子は鉄拳を頂戴することなく温泉に行くのだ。 温泉ブームを本物にするもう1つのアイテムとは!?
さて、ここまで引っ張っておいてなんだが、「もう1つ」の答えは、実は1つとは限らない。地域によって違うだろうし、宿によっても違うだろう。ボクは、答えの1つに、「水道水で並々あふれた浴槽」があると思っている。 想像してみて欲しい。コンコンと沸く温泉の隣に、水道水が注れる浴槽があるのを。 このギリギリ満たされない感じが重要なのだと思う。 text by 菊池学 | 2005.01.11 | [ 裏読み!数字温泉 ] | 固定リンク | コメント (6) | トラックバック (2) |


そんなことをマクドナルドで考えていたところ、こんな会話が聞こえてきた。
内閣府の「国民生活に関する世論調査」(2003年)によると、日常生活で不安を感じている人は、実に67%に達する。もちろん何に対して不安なのかは、自分の健康だったり、仕事や人間関係だったりと様々だ。
江戸時代、日本は旅行大国だったそうだ。「アジアのどんな国においても、旅行ということが、日本ほど一般化している国はない」とは、シーボルトの言葉。