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ココログ: blogサービス



コラム
おフログ

2005.03.23

第6回:温泉と信行とさよならと

裏読み!数字温泉 by 菊池学

データや統計をもとに、温泉の本質にがぶりよったこのコラムも、今回で終わりである。3ヶ月という短い期間だったが、「楽しい温泉旅行ができました」「家出していた娘が戻ってきました」「オバアちゃんが腹筋を始めました」などなど、喜びの声が相次いだ。
そして、ついには先週、「高速の渋滞が解消したよぅ」と石原都知事から感謝状までいただいた。というような話は何ひとつなかったが、とにもかくにも最終回である。

「終わり」の志

考えてみれば、人はどれだけ「終わり」を意識できるのだろう。卒業式や送別会のように、「終わり」がイベント化してくれれば、「これで最後かしらん」と余韻にふけることもできる。

でも、たとえばボールペンの「終わり」はどうだろう。
上司から電話を受けた新入社員の信行(仮名)は、広告の裏に会話の内容をメモしていた。と、その時だ。突然、インクが切れる。慌てる信行。思わず、近くにあった別のペンをつかむ。

こうして、どうにか事なきを得たわけだが、このときすでに信行は「終わり」を失っている。ボールペンで書いた最後の文字は何だったのだろう。「は」 「せ」 「や」 か…。いや、そんなことは問題じゃない。「は」「せ」「や」に色をつけるのも意味がない。重大なのは、終わりを意識できなかったことだ。

シュークリームでは癒せない

5そんなことをマクドナルドで考えていたところ、こんな会話が聞こえてきた。
「温泉でも行きたいよねぇ」
「いいねぇ温泉」
「何かさぁ、癒されたいねぇ」

声のするほうをチラリと見ると、女子高生のグループだった。最近は、女子高生も友達同士で温泉に出かけるのか。ボクが高校生の頃は、せいぜいシュークリームを3つ4ついっぺんに食べれば、それで幸せだった。彼女らは、シュークリームでは癒されないほど大きなストレスを抱えているのかもしれない。

環境省の「都道府県別温泉利用状況」(平成14年3月末)によると、宿泊施設のある温泉地は3023ヶ所。源泉が湧き出る泉源の数は26796ヶ所。温泉利用公衆浴場数は6433ヶ所にのぼる。

平成になってからは、毎年、温泉地数は約60ヶ所、温泉利用公衆浴場数は約270ヶ所、さらに掘削によって生まれた泉源数は約420ヶ所ずつ増え続けている。

女子高生が求めるのだから、そのくらいの勢いで増やすべしッとご機嫌に考えたいが、実際にはそうも言っていられない。温泉を汲み上げることによる地盤沈下が心配されているし、衛生管理の問題もある。

守り、受け継ぐ作業

さらに問題なのは、温泉施設が増え続けることによって、歴史や文化を保ってきた温泉地が失われつつあることだ。それはもう、「時代の変化」や「競争社会」というだけでは片づけられないのではないだろうか。

山の湯や 裸のうへの 天の川(子規)
寝ころんで 蝶とまらせる 外湯かな(一茶)
締め切りに 追われた日々は 湯で流す(ボク)


これらの句が詠まれるより遥か昔に温泉は発見され、時代から時代へと受け継がれてきた。この先も温泉は愛され続けるだろうし、なくては困るものに違いない。だから営利や政治が目的で、温泉施設が増え続ける状況には、ちょっと待てよと思ってしまう。

温泉とのベストな関係を考えるなんて言ったら大げさかもしれない。でも、次の時代も、「温泉でも行きたいよねぇ」 と、鼻をほじりながら言えるようであってほしい。守り、受け継ぐ作業が必要な気がする。

信行のボールペンを反面教師に

6偉そうに言える立場ではなく、全国には、すでにこうした作業に取り組む方々が大勢いる。
自分ができることは何だろうと考えてみたところ、まずは自然湧出している温泉や、地下何千メートルまで掘削していない温泉を選ぶという結論に至った。

温泉はいつかは枯れてしまうもの。ボールペンのインクを湯に例えるなら、せめて、信行のボールペンを反面教師に、「終わり」を意識できるようでありたい(完)


追記)
皆さま、3ヶ月間のおつきあい、ありがとうございました。
こっそり宣伝ですが、ブログはとても楽しいオモチャなので自分でも始めてみました。お暇なときは、ぜひどうぞ。こっそり宣伝です♪

text by 菊池学 | 2005.03.23 | [ 裏読み!数字温泉 ] | 固定リンク | コメント (4) | トラックバック (0)

2005.03.09

第5回:温泉のプロ

裏読み!数字温泉 by 菊池学

「どこかいい温泉を知らない?」。時々、こんな質問を受ける。
ボクが温泉に詳しいと思っているのだ。断言するが、詳しいわけがない。いかに温泉についてわかっていないかは、コラムを読んでもらえば明らかである。「ちくしょー、開き直るつもりだなッ!」と叱られるかもしれない。「こんなヤツに書かせるなッ!」と駅前で署名運動が始まるかもしれない。でも、そもそも「どこかいい温泉を知らない?」という質問自体が罪なのだ。

どんな温泉も満喫できる自分を養成
温泉に求めるものは人それぞれ。湯そのものより眺めや雰囲気を優先する人もいれば、女将の笑顔を重視する人もいる。だから自分にとっての「いい温泉」が、相手にも同じように「いい温泉」とは限らないのだ。

しかし、ここで大切なのは「どうせなら、いい温泉に行きたい」という気持ちではないだろうか。それは、「温泉を楽しみたい」「心ゆくまで堪能したい」という万人共通の思いである。いったい誰がその純真無垢な思いを邪険にできようか(いや、誰もできまい)。

「どこかいい温泉を知らない?」という問いに対して明確な答えを持てない今、それに代わる何かを用意しなければいけない。で、考えた。答えを温泉の側に求めるのではなく、自分に求めるというのはどうだろう。

つまり、温泉を満喫できる自分を養成する。「弘法筆を選ばず」というように、どんな温泉でもご機嫌に楽しむ自分になる。ひょっとしたら、それこそ本当のプロかもしれない。

オレのうまい棒と交換しないか
プロになるためのヒントは遠足にある。遠足の行先は、たいていつまらなかった。でも楽しかった。興奮のあまり前日なんて眠れなかった。どこに行くかが問題ではなく、遠足というイベントが楽しかったのだ。

つまりイベント性を高めることで、どんな温泉でも楽しめるようになる。3手始めはカレンダーだ。温泉に行く日にハナマルを付ける。さらに1日が終わるごとにバッテンを付けて、「温泉まで残り何日」ということを視覚化する。

次はオヤツ。オヤツは300円以内に限る。一人旅でないなら、あえて340円くらい買って同伴者に叱られる。安いお菓子を大量に買って、道中でお菓子交換してもいい。
「それクッピーラムネだよな」
「ああ、クッピーさ」
「シュワっとするんだろ」
「シュワ、シュワっとな」
「オレのうまい棒と交換しないか」

大人のマル秘な楽しみ方♪
もちろん、「そんな子供だましなことしてられるか」と思う方も多いだろう。大人には大人の楽しみ方がある。
それなら、遠足の理論を応用すればいい。たとえば、温泉に行くとき専用のタオルやシャンプーを用意する。いつも二枚刃の髭剃りを使っているなら、温泉では三枚刃とか。

で、湯に使ったら「すげえよ、お湯ってあったけーよ」 「ちくしょー、ぼこぼこしてやがる」と、ムダに声にする。さらに詩心なんてなくても、ひとまず一句よんでみる。湯上り後はワンカップ大関だ。たとえビール党でも、こんなときはワンカップ。

こうなったら直接、温泉に行くのも、もうやめたい。
阿藤快みたいに「おっと!」とか言いながら途中下車して、「オバちゃん、こんにちわ」と気になる店に入ってみる。で、「おやおや阿藤さんたら・・・」と、自らナレーションも入れる。

これでも、まだ物足りなければ、今度は世話になる宿の人間模様に目を向ける。TBSの昼ドラ「温泉へ行こう」が教科書だ。いったい仲居は誰とデキてるんだ、とワイセツに想像しよう。複雑でヒワイな関係を想像できるのは、大人の特権である。

プロになって温泉へ行こう
さて、くだらないことに気を取られて、統計やデータのことをすっかり忘れていた。
日経新聞の「何でもランキング」の第1位をいくつかご紹介すると、「家族で行きたい温泉テーマパーク」は、箱根小涌園ユネッサン(2003.11.8)。
「雪景色の素晴らしい温泉」は、東日本が馬曲・望郷の湯、西日本が湯原・砂場(2004.11.20)。
「妻が行って良かったと思う温泉」は、仙仁温泉(2004.6.13)。
「女性の行きたい温泉」は、由布院(2001.11.17)という結果である。

人気があるのだから、いずれも高い満足度を得られるのだろう。でも、「温泉のプロ」になれば、どこでも楽しめる。求めるだけでなく、自分が変われば、温泉はもっと楽しくなる、はず!

text by 菊池学 | 2005.03.09 | [ 裏読み!数字温泉 ] | 固定リンク | コメント (3) | トラックバック (0)

2005.02.22

第4回:遠出のすすめ

裏読み!数字温泉 by 菊池学

インターネットの出会いは、
実際に会ってみると、想像していたのと全然違っていたりする。こんなことを言うと、まるで出会いサイトで痛い目にあった人みたいだが、そうではない。@nifty温泉スタッフが主催するオフ会「月曜温泉」に参加したのだ。

温泉オフ会に参加して…

月曜温泉とは、一般ユーザーの方々やコラムライターが、まったり湯につかり、おっとり酒を飲む温泉オフ会のことだ。スタッフやライター陣がいるとはいえ、ボクはほぼ全員が初対面だった。

胸が高鳴る。最初の印象は肝心である。ボクはまず、土曜に床屋に行った。日曜には腹筋もした。バリッとスーツを着て行くつもりだったが、どうせ脱ぐのだから身体を鍛えるべきと思ったのだ。

でも、そうしたことはほとんど意味がなかった。最初の印象は、すでに想像の中で出来あがっているわけで、「会う」のは「確かめる」作業でしかなかったのだ。

今回の月曜温泉で言えば、ボクが想像していた通りの人は誰1人いなかった。これまで男子だと思っていた人が実は女子だったり、髪がないと思っていた人がフサフサだったり、細身だと思っていた人が太身だったり……。

抜き差しならない状況だったが、確かめることで安心できたのは間違いない。人に会うだけで緊張や不安は生まれるのだから、現代は不安三昧な世の中である。


日常生活で不安を感じている人は67%!

01内閣府の「国民生活に関する世論調査」(2003年)によると、日常生活で不安を感じている人は、実に67%に達する。もちろん何に対して不安なのかは、自分の健康だったり、仕事や人間関係だったりと様々だ。

こうした不安をやわらげるために、どうしているのか。
リクルートが調べた「OLの時間割」(2002年)では、入浴やマッサージの回答が多い。OLの19.3%は3時間近く風呂に浸かっているそうだ。
また、東京都の「都立公園」に関するアンケート(2002年)では、職場や自宅周辺に大きな公園が欲しいと感じている男性が多いことがわかった。つまり、公園でリラックスしているのだ。

風呂と公園からは、「手軽」というキーワードが浮かび上がる。ここ数年、都内で温泉掘削がブームになっているのもうなずけるわけだ。
ちなみに、東京の自噴ゆう出量は毎分8リットルしかない。47都道府県で最下位の数値で、ブービーの愛知県でも233リットル(環境省「平成13年度温泉利用状況」)である。


旅行貧国ニッポンの特効薬は!?

地下何千メートルまで掘削して、都内穴だらけの状況になっても、需要があるのだから仕方ない。また、常に不安を抱えて余裕がないのだから、「手軽」に行ける温泉はありがたい。そう考えることもできる。

でも、ちょっと待てよ、とも思う。逆に、この手軽さが「旅行貧国ニッポン」を後押ししているのではないだろうか。年間平均宿泊旅行回数1.28回、宿泊日数3.96泊(2004年版「レジャー白書」)。遠くの温泉に行かなくとも近場の温泉で良くってよ、なんていうのは微妙である。

決して都内のアミューズメント型温泉施設を否定しているわけではない。何が微妙かと言うと、不安をやわらげるために癒しを求めて、近場の温泉に行っても「手軽な安心」と「手軽な癒し」しか得られないからだ。

日本旅行業協会(JATA)の調査・研究では、癒し効果が絶大なのは、旅であることがわかっている。旅は脳や身体の休息、ストレスの低下、怒りや敵意を低下させる効果があるのだ。つまり、本当に安心や癒しを得たいときには、手軽な近場ではなく、旅したと思えるくらいの「遠出」が必要なのだ。


遠出でイチロー超え!

02江戸時代、日本は旅行大国だったそうだ。「アジアのどんな国においても、旅行ということが、日本ほど一般化している国はない」とは、シーボルトの言葉。
厳しい年貢の取り立てに縛られていた農民さえ、農閑期には「天下泰平、五穀豊穣」の建前のもと、したたかに旅をしていたらしい。逆に考えれば、だからこそ農作業に勤しむことができたのかもしれない。

「旅する余裕がないから、せめて近場の温泉で…」というのでも、わずかな安心と癒しは得られる。しかし、それが「遠出は面倒だ」「近場でじゅうぶん」という考えに向かうなら、本末転倒ということだ。

そういえば、昨日の月曜温泉が開かれたのは、埼玉県の行田天然温泉古代蓮物語
ほとんどの人が、片道2時間以上をかけ参加していたようだ。皆さん「遠出」しただけあって、癒し効果は抜群。普段はうけないボクのオヤジギャグも、約4割の確率で笑ってもらえた(愛想笑いも含む)。4割はイチローが挑戦する数字であるからして、かなりの栄誉だ。やはり、遠出に限る。

text by 菊池学 | 2005.02.22 | [ 裏読み!数字温泉 ] | 固定リンク | コメント (10) | トラックバック (0)

2005.02.08

第3回:失敗しない温泉選び

裏読み!数字温泉 by 菊池学

皆さんは、どのようにして行きたい温泉を探しているだろうか。
温泉情報を伝える媒体は、宿や旅行代理店のパンフレットから、テレビや雑誌、携帯電話、インターネットなど幅広い。友人から噂を聞いて温泉を選ぶこともあると思う。
情報収集する目的はただ1つ。いかに良い温泉を選ぶかだ。ハズレのない温泉選びとは何だろうか―。

パンフレット&インターネット

社団法人日本旅行業協会の調べでは、「旅行に関する情報を収集する際に最もよく利用するもの」は、「旅行会社のパンフレット」が3割半ばでトップ。「インターネット」が2割半ばで続いた。
とくにホームページを見たことがキッカケで旅行に行くことを決めたり、旅先を決めたりしたことのある人が、若い世代を中心に多くなっているようだ。「宿泊施設のサイト」と「旅行会社のサイト」が、よく利用されているという。

予想通りの結果なので驚くことはないけど、「パンフレット」&「インターネット」が情報収集法として妥当かというと微妙な気もする。実際、こうして見つけた温泉に行って、「ハズレ」だった経験は誰でもあるのではないだろうか。かく言うこのコラムもインターネットを使っているわけなので、「やれやれ、自己否定かよぅ!」と叱られてしまいそうだが。


温泉選びで「アタリ」を引く方法

PICT0184で、温泉選びで「アタリ」を引くための情報収集法を悶々と考えるうち、とてもえげつない答えが見つかった。でも、かなり有効である。その方法とは、現地にある蕎麦屋や土産屋などに電話して、一番いい温泉や宿について話を聞くことだ。

もちろんそれなりの工夫は必要で、とにかく相手をいい気持ちにしなければいけない。たとえばこん具合。
「そちらのお蕎麦がとても美味しいと聞いたんですけど、お店はどの辺りにあるんですか。えへへ」
「今度そちらに旅行しようと思うんですが、土産物と言ったら何がいいですかねぇ。知り合いに聞かれちゃって。えへへ」

ちょっと罪悪感が沸くかもしれない。でも実際に旅行した際に、その店に立ち寄ればこの電話も良き思い出に変わる、はず。 なので話をほどよく弾ませ、最後に本題である温泉や宿について聞く。すると、地元ならでは噂や隠れた名所なども教えてくれたりするのだ。


イタズラ電話はいけません

電話をかける時間にも配慮が必要で、簡単な情報収集法ではないけれど、「パンフレット」&「インターネット」より、はるかに「アタリ」を引ける。

と、ここまで書いたところで携帯電話が鳴った。今、夜中の3時である。こんな時間に何だろうと思って電話に出てみると、

「オメェ、俺のオンナと援交したろーッ!」

電話の主は怒鳴っている。繰り返すが、夜中3時である。「援交」とは、たぶん援助交際のことだろう。
突然の電話に驚くのと、早く原稿を書かなければいけない焦りが入り混じり、「援交とは買春か」「これもオレオレ詐欺の一種?」「でもオレオレって言ってないじゃないか」などなど、たくさん考えが脱兎のごとく噴出し、よせばいいのに思わず、「そのオンナは何さんですか?」と聞いてしまう。すると、「援交しんだなーッ!」と、また怒鳴られる。

いったい何だって、夜中の3時にどこの誰とも知れない人に2度も怒鳴られなければいけないのだろう。この理不尽さにボクもだんだんムキになる。で、
「そのオンナというのは若いんでしょうね? オバサンさんは嫌ですよッ!」

ボクの好みを伝えてどうするよ。
結局、その後も押し問答がしばらく続いたが、最後には疲れて電話を切ってしまった。お陰ですっかり集中力は途切れ、原稿は遅々として進まなくなる。
深夜の電話にロクなものはないけど、どうもボクは電話運が良いのか悪いのか、こうしたことが時々ある。以前には電話を取るやいなや、「白菜を送りたい」と言われたこともあった。送りたいと言われてもねぇ・・・


どんな風に温泉を探してますか?

PICT0183さて、そんなわけで、皆さんはイタ電をどうお考えだろうか、いやいや、どのようにして行きたい温泉を探しているだろうか。
「アタリ」を引く、温泉の画期的な情報収集法を、ぜひどうぞ。うっかり忘れていたが、このコラムは幸いにしてブログサービス(ココログ)である。ということで、じゃんじゃんコメントお願いします♪

text by 菊池学 | 2005.02.08 | [ 裏読み!数字温泉 ] | 固定リンク | コメント (7) | トラックバック (2)

2005.01.25

第2回:今、日本の夫婦がとんでもない

裏読み!数字温泉 by 菊池学

今、日本の夫婦がとんでもない。
このまま何も手を打たなければ大変なことになってしまう。
数年後、日本は高齢者のうつ病と痴呆が激増する。想像してほしい。
部屋の片隅で体育座りしている父の姿を―。
夕暮れ時、水戸黄門をみながら、「助さん格さん、やってしまいなさい」と高らかにうたう父の姿を―。

危機!夫婦間の意識にズレ

PICT0187日本旅行業協会のアンケートによると、「旅行に行くとしたら同伴者は誰か?」という質問に、60代の男性は妻と行きたがっているのに対し、同年代の女性は友人と行きたがっているという結果が出たそうだ。
また、日本交通公社が、「誰と国内旅行に行っているか」について調べたところ、同じように「夫婦旅行に気乗りしない妻」の姿が浮かびあがった(2003年調べ)。

昨年、博報堂エルダービジネス推進室が行った「団塊世代の夫とその妻の定年に対する意識調査」の結果は、さらに深刻だ。 団塊夫の85%が「定年が楽しみ」と考えているのに対し、妻の40%は「憂うつ」と感じているという。 ちなみに団塊世代は、再来年から定年を迎えはじめる。


夫は旅行相手として妻から敬遠されている

50代以上の夫婦は、「亭主元気で留守がいい」という防虫剤のCMが流行ったくらいなので、20代や30代の夫婦とは勝手も違うだろう。
しかし、「夫は旅行相手として妻から敬遠されている」という問題は、けっして中高年だけの問題ではない。

仮に自分の親がこの状況だとしたら、どうだろう。母が旅行に出ている間、父はサボテンと会話している。なんとも孤独な光景だ。オーストラリア統計局のレポートでは、65才以上の男性の自殺率は女性の4倍だという。

つまるところ、「亭主元気で留守がいい」というのは、夫に干渉されないことを望んだ妻たちの独立宣言だったのではないだろうか。さらに言えば、子育てに追われ、夫から誉められなかった妻たちは、「オンナを取り戻すんだ運動」を、今はじめているとも言えるのではないだろうか。

こんなことを言っていると、中高年の男性からは「妻に断られたら、1人で旅に出るわいッ!」という声があがるかもしれない。 妻たちも、「旅行に出てまで夫の面倒をみるのはイヤなのよぅ」というかもしれない。
しかし、熟年離婚や夫の介護を覚悟しない限りは、この問題をほっておくわけにはいかない。


ヨンさまor氷川きよし+個室風呂のある宿
PICT0190
妻に旅行を断られた気持ちはどうだろうか。
どんなに強がってみても、本当に熟年離婚という言葉が頭をかすめる。それまでの生活で愛想を尽かしてしまった何かがあったとしても、この取り返しのつかない状況をどうにかしなければいけない。

では、どうすればいいのだろう。この状況を避けるためには、若い夫婦は、とにかく1度、旅行に出るべきだ。そして旅先で夫は、「定年後も、またここに来ようじゃないか」と甘くささやくべきだ。なぜなら、こうした約束の魔力の前に、はなはだ人は無力だからだ。

で、すでに妻から旅行相手として敬遠されてしまった夫、あるいは敬遠される可能性の高い夫は、もう、とりあえずヨンさまを利用して韓国旅行に誘うべきだ。もしかしたら、氷川きよしでもいいかもしれない。
氷川きよしの地方公演のチケットを入手すれば、たぶん一緒に旅してくれるだろう。

そして宿泊先。これは必ず個室風呂のある温泉宿にするべきだ。家では一緒に風呂に入るのは照れくさいかもしれないが、旅先なら許される。 ここまできたら、妻の背中を流してみたらどうだろう。 「あら、アナタ、嬉しい♪」と微妙に盛り上がるかもしれない。


温泉が夫婦に果たす役割とは…?

裏読みすれば、温泉宿は、もっと夫婦旅行を前面に押し出した企画を立てたらいいと思う。「金婚式の湯」とか「退職記念の湯」、あるいは「新婚旅行で来ると幸せになる温泉です」とか、そんな宣伝で夫婦を盛り上げていいんじゃないだろうか。

さて、「夫は旅行相手として妻から敬遠されている」という問題、皆さんはどう思うだろう。そして、この問題を打開する良い案はないだろうか。
うっかり忘れていたが、このコラムは幸いにしてブログサービス(ココログ)である。ということで、じゃんじゃんコメントお願いします♪

text by 菊池学 | 2005.01.25 | [ 裏読み!数字温泉 ] | 固定リンク | コメント (4) | トラックバック (2)

2005.01.11

第1回:ボクらが温泉に行くためには?

裏読み!数字温泉 by 菊池学

船出の言葉

風呂につかりながら、人生の重要問題を考えてしまった経験はないだろうか。

たとえばサラリーマンなら、薄くなった髪を気にしながらカツラを検討したかもしれない。
主婦なら、バストとウエストの境界線がなくなった現実からの打開策、つまりはダイエットを考えたかもしれない。
OLなら、「どうしてアタシ、こんなに出会いがないのかしら…」と月を見たかもしれない。

「裸」「1人」「のんびり」という状況は、人生の重要問題を考えさせる三冠王である。しかし、風呂でこうしたことを考えるのは、あまりに危険だ。だんだん頭がボーッとしてくるからである。ボーッとした頭では判断を誤る。ぼんやりしながら正しい選択をする良い方法はないものだろうか。

と、こんな仕方ないことを長々と書いているのは、このコラムがブログサービス(ココログ)を利用しているからである。冒頭には、「ユーザー参加型の温泉コラムです。トラックバックやコメントお待ちしてます」と宣言してある。
つまり、ボクはどんどん書き込みしてほしいわけであり、書き込みの数だけダルマに目を入れようと思っており、当選を決めた候補者の名前に笑顔で花をつけたいのである。

たとえば、風呂につかりながら考えた人生の重要問題について、あるいは、ぼんやりしながら正しい選択をする方法についてはどうだろうか。こうなったら明日の宿題についてでもいい。何はさておきユーザー参加型。よろしくお願いします。

温泉ブームの微妙な真実

PICT0185前フリが長くなってしまったが、このコラムは、データや統計をもとに温泉について考えようというのが趣旨である。
温泉に関するテレビ番組や雑誌は多いが、どうしても話題の中心は旅館であり、紹介されるのは泉質や料理、女将の人柄などである。

こうした情報を知りたがる人が多いのだろうけど、ホントのところは自分で行ってみないとわからない。行列のできるラーメン屋と同じで、なかには泣きたくなるような宿だってある。さらに言えば、紹介された情報が正しいとも限らない。

たとえば最近は、「温泉ブーム」と言われているけど、調べてみるとかなり微妙である。
日本観光協会がまとめている『観光の実態と志向』(平成15年度)を見てみると、「旅行先での希望行動」はたしかに「温泉欲」がトップだが、宿泊観光旅行に出かけた人の割合は、前回調査より減少している。平均の宿泊率もこの10年は1.56泊で、ほとんど変動がない。

同じような結果が、『レジャー白書』(2004年)でも出ており、「余暇活動の参加人口上位20種目」を見てみると、「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」は、平成13年が6,430万人、平成14年が6,310万人、平成15年が5,890万人と減少している。

実際に温泉に行った人の数は増えていないのだから、「温泉ブーム」とは言いにくい。しかし、「温泉ブームはまやかしか」と言うと、そうでもない。 『レジャー白書』を見てみると、これから伸びが期待される余暇活動(潜在需要)は、「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」の潜在需要が高いのである。

つまり、温泉に行きたいと思っていながら実際には行けていない人が多いので、「温泉ブーム」というのがホントのところなのだ。


「×2」の法則が、宿と男子を救済

ところで、温泉に行きたいと思っていながら実際には行けていない人の割合は、男子のほうが高い。
では、温泉に行っていない「理由」は何だろうか。行きたいと思いながら、あと一歩を踏み出せない理由はどこにあるのだろうか。
ここで「忙しいから」というのは理由にならない。なぜなら、日本の女子は時折こう言うからだ。
「忙しくたって電話くらいできたはずよぅ!」

この脅迫ともいえる抗議に対し、「仕事が忙しくて・・・」などと答えようものなら、いきなり鉄拳が飛んでくる。それはもう全盛時のマイクタイソン並みの威力であり、薄れゆく意識のなか、マットに沈んだ男子はこう思うに違いない。
「たぶん電話できたし、温泉だって行けたかもしれん・・・」

つまり、「忙しい」というのは、日本の女子を敵にまわすだけで、理由にならないのだ。
あと一歩を踏み出せない理由。これを逆から考えると、温泉の側に何かが「もう1つ」あったら、あと一歩を踏み出せるとも考えられる。そして、この足りない「もう1つ」の答えは、実は大阪人から学べる。何しろ、お好み焼きとライスを一緒に食べる人たちである。他県の人間は、炭水化物を2つ組み合わせようとはとても考えられない。

お好み焼きとライスから導き出されるのは、「×2」の法則である。温泉地あるいは宿に、「×2」の法則があてはまれば、世の男子は鉄拳を頂戴することなく温泉に行くのだ。 温泉ブームを本物にするもう1つのアイテムとは!?


なんかオレ、切ないぜ

さて、ここまで引っ張っておいてなんだが、「もう1つ」の答えは、実は1つとは限らない。地域によって違うだろうし、宿によっても違うだろう。ボクは、答えの1つに、「水道水で並々あふれた浴槽」があると思っている。PICT0193

想像してみて欲しい。コンコンと沸く温泉の隣に、水道水が注れる浴槽があるのを。
ある意味ゴージャスで、何だか哀しいじゃないか。きっと世の男子は水道水につかりながら、こう思うだろう。
「なんかオレ、切ないぜ」

このギリギリ満たされない感じが重要なのだと思う。
皆さんは、温泉地あるいは宿に、あと「もう1つ」、何があれば良いと思うだろうか。
じゃんじゃんコメントを。 このコラムは幸いにしてブログサービス(ココログ)である。

text by 菊池学 | 2005.01.11 | [ 裏読み!数字温泉 ] | 固定リンク | コメント (6) | トラックバック (2)