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ココログ: blogサービス



コラム
おフログ

2005.03.17

第6回:愛とパックツアーの旅立ち

パックでGO! by 白羽 未依

前回、高齢者対応のツアーについて書いた矢先、家に届いた旅行会社のパンフに『高齢者限定ツアー』なるものが入ってました。内容は旅程ゆっくり、添乗員2名、バスの昇降時のサポートなど。私の意見がわずか1週間以内にツアーとなって実現されるとは。さすがおフログ、政界並の影響力がありますね。「アンケートでも大好評のツアー!」って書いてあった気もするけど。まあ、いいや。

今回は最終回です。なので、ここでパックツアーへの私の思いのたけを吐き出して、じゃんじゃんまた新たなツアーを実現してもらおうと思います。





突然ですが、正直にいうと私は、半年前までパックツアーをバカにしていた者でした。友達が「いちご狩りツアーに行ってきたにょ♪」と言えば、“狩ってんじゃねーよ、踊らされてんじゃねーよ”と思い、ロンドンの大英博物館前で、添乗員の旗のもと、キョロキョロしている日本人の団体客を見かければ、“あー恥ずかしい”と顔をそむけるくらいイヤがっていたのです。

“みんなで同じことしようね”という団体ノリがイヤでした。狩ったり、食べたり、おきまりのコースを見たり。それを知らない誰かとみんなでするのが、つまらないことだと思っていたのです。

そんな私がパックツアーに興味を持ち出したのは、とある旅行会社のサイトで偶然こんなツアーを発見してからです。

『塩原温泉ダンス☆ツアー(ダンスパートナー付)』

私は自分の迂闊さを呪いました。旅行バッグには着替えと洗面道具さえ入れればいいと思っていたのです。この世に、スパンコールドレス(もしくはタキシード)とダンスシューズを入れて温泉へ向かう人がいたなんて。ああ、見たい。温泉地で開かれるめくるめくダンスパーティー。一人客にそっと手をさしのべるダンスパートナー、そこから恋が生まれるかもしれない。華麗なターンでキメた後に、温泉につかり浴衣に着替えるのだろうか。それでは台無しじゃないのか。むしろ身を温泉で清めてから、ダンスホールに向かうのではないだろうか。

dance

私の胸は高鳴りました。
“こうゆうツアーって、まだ…あるんじゃないのか?”

私の指は激しくキーボードを叩き始めました。“1匹見つけたら30匹いると思え”の、Gに立ち向かう精神です。やがてこんなものがヒットしました。

『デューク更家と歩こうin熊野古道(ホテル浦島泊)』
〈募集人数120名(最小催行人員25名〉
※デューク更家と熊野古道(所要約90分)をウォーキングします。

我が目を疑うほどのトレビアンなツアーです。熊野古道といえば世界遺産登録でわき立つ和歌山の名所。自然あふれる大門坂などを、つなぎを着たデュークを筆頭に共に歩くMAX120名。最小でも25人のデュークウォークが見られたのかと思うと、くやしさで拳を床に叩きつけたくなります。

duke

さらに追い打ちをかけるように、こんなものが。

『エイリアンVSプレデター ギネスに挑戦!青函トンネル試写会ツアー(浅虫温泉泊)』
※海面下140mでの試写会は初の試み、ギネスブックに認定される予定です。

ここまできた時に、もはや私の中で、“旅とは何か”“温泉とは何か”という固定概念すら崩れ落ちました。これは、ただの、試写会であって、旅では、ない。しかも売りのギネスポイントは“最も深い位置で試写会をしたこと”。その恐るべき超ニッチ狙い。最初に思いついた企画担当者を抱きしめたい思いです。全員間違いなくエイリアン(orプレデター)ファンで占められたトンネルの濃度たるや、むせ返るほどではなかったか。

cinema


しかし、私はここであることに気づきました。
「これで、いいんじゃないか?」

前回も書きましたが、温泉は親睦を深めるためのツールともいえるんじゃないか、と思うこと。それから、高齢化社会に向けて、私たちがジジババ化した時、いやジジババ化する前に必要なことは“サークル力”を強める旅なんじゃないかと。若い人が減り、自分の子供も必ずしも介護をしてくれるとは限らない。いやその前に結婚しないかもしれないし、離婚や死別するかもしれない。友達がいなけりゃ、やってらんないかもしれない。

同じ趣味を持つ人と“オトナの修学旅行”をできることは、パックツアーにしかできない醍醐味なんじゃないかと思ったのです。

それから私はパックツアーに対して愛情を持つようになりました。

JTBの社長インタビュー記事で、旅行のニーズは団体旅行から個人旅行へと急速にシフトしていることを受けて体制を変える、というくだりがありました。それはそれでそうだろうと思うのですが、個室居酒屋、タワーマンション、個人旅行、とプライベート重視のサービスが増え続けたら、老人コミュニケーションはどうなってしまうのでしょうか? いろいろ調べてみた結果、私はクラブ活動と旅を合体させたクラブツーリズムのビジョンがいちばん胸に落ちるように思いました。太鼓持ちじゃないんですけどね。

だから、もっとやってほしいのです。
ニッチ狙いの旅。

プロレス好きが集う『小川直也と行く玄界灘ハッスル×3ツアー』とか、『マジックファン集まれ! プチペンションで山下兄弟のミラクルショーin軽井沢』とか、タレント使わなくても『納涼! 24時間朝まで怪談温泉』とか『2泊3日暖炉を囲んで編み物バトルツアー』でもよいのです。『ラーメン1日10杯まいうーツアー(完食が条件)』『温泉地トリビア(orうんちく)王決定ツアー』でもよい。ここまで書くとまるでテレビに毒されている人みたいですが。

『20歳以上3名以上限定 親孝行ツアー』でもいいかもしれない。『地元の名産品工場(職人)をひたすら見学するツアー』『人気お取り寄せ品買い付けツアー』『こだわり食材の源を見に行こう!〈鹿児島黒豚編〉』もいい。ああ、ますます正気を失っている人のように映るかもしれませんね。きりがないのでやめておきます。

温泉を愛する気持ち、それに加えて、コミュニケーションを愛する気持ちと、旅先を愛する気持ちがわいてくるのがよい旅ってものですよね。テレビや雑誌やネットだけではホントの愛は芽生えづらいので、やっぱり忙しくても、お金がなくても、旅に出かけたい。旅に出るならお決まりのものではなく、できるだけリアルな方がおもしろい。袖ふれあうも多少の縁なら、パックツアーはやっぱり悪くない。

現状は厳しいのかもしれませんが、私はそんな希望とスリルに満ちた添乗員同行型パックツアーをこれからも注目していきたいと思う所存です。

なお、今回でこのコラムはひとまず終了しますが、次回から『パックでGO!(旅情編)』として継続することになりました。はぐれ刑事、さすらい刑事のように微妙に形を変えて、愛され続けたいという願いです。引き続きよろしくお願いいたします。

しかし@nifty温泉スタッフの皆さんの懐は、穴が開いてるとしか思えないほど深いです。

text by 白羽 未依 | 2005.03.17 | [ パックでGO! ] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック (0)

2005.03.03

第5回:ここがヘンだよパック旅行

パックでGO! by 白羽 未依

「かしこく使えばパック旅行も悪くないんじゃないか」と思って、これまで4回書いてきました。今回は視点を変えて、あえて温泉付きパックツアー(添乗員同行型)で節々気になっていることを書きたいと思います。お題は“高齢化”“添乗員”“ツアー内容”、それから温泉です。



パック旅行はジジババにきびしい

ハイシーズンをのぞけば、ツアー参加者は40~70代くらいの方がほとんどです。これはつまりお金と時間的余裕があるという(うらやましい)理由に他なりません。でも、これから少子高齢化がどんどんすすみ、『日本総ジジババ化』することを考えれば、この傾向が変わることは、まずないでしょう。

それにしては、ツアー工程のハードさが気になります。山盛り特盛りで見どころをおさえて、格安で売る。格安で売ることができるのは「○○名お客さんを連れてきてくれてありがとう料」として、宿や土産屋、観光施設などから“送客手数料”を旅行会社がもらっているという事情があるので、多少の“引きづりまわしの刑”は納得せざるをえない(送客手数料については馬鹿旦那さん(第7回コラム参照)が詳しく書いてます)。だけど1日中あっちいってこっち行って泥のように睡魔に沈み、朝6時起床というのは、30代の私でも体力的にけっこうキツいもんです。これが理由で個人旅行に切り替えた人もいるのではないでしょうか。

ただ、シニアな人たちはあきれるほど朝に強いし、超アクティヴです。実際「全国30カ所以上は温泉めぐりしましたのう」「わしゃ何か国も世界を旅したわい」と(パックツアーなんだけど)“旅の達人ぶり”を豪語される方がけっこういます。だからまだそんなに大きな問題にはならないのでしょうか。でも“スローライフ”とはほど遠い印象です。
jiman

それから冬薔薇さん(コラム参照)が書かれていたテーマの“バリアフリー”。宿のセレクトもそうですが、私がパックツアーで気になるのはバスのステップです。都バスよりもステップが高く、「うんしょ」と一声かけてのぼる気持ちにいつもなります。降りる時もドア付近ってせまいから、神経つかう方多いんでないの? と思います。
bus

そんなわけで、現在のパック旅行は高齢の方に実は優しくないと感じるわけです。



あっぷあっぷな添乗員は悲しい

高齢の方に優しくないと思うことがもうひとつ、添乗員の方々です。ただ先に書くと、添乗員の仕事はハチャメチャに大変です。お金をもらいながら旅ができるおいしい仕事と思ったら大間違い。満員の大衆食堂で1人、店長とホールと厨房とレジを同時にまわして時給500円と言われてるような仕事という面もあります。

格安ツアーのしわ寄せは人件費にもかかってくるので、現在は派遣会社から人材をまわしている旅行会社がほとんど(そうではない会社もあります)。しかも人気職業なのに同じくらい辞める人も多い。でもツアーは催行される、という状況なので、新人がガンガン現場に出てきます。 でも人件費削減なんてどの会社でもやってるし、“仕事は現場で覚える”というのも事実なので、そのことは自体はあまり気にはならないのですが…。

添乗員が個人で開設しているサイトを見ると、ほとんどが内情暴露系&グチ(そうでないサイトもあります)。これまで会った旅行関係者や添乗員さんから話を聞いても、ときおり眉間にうかぶ3本シワや、言葉の濁りに“ストレス”“不満”が垣間見えることがあります。「土産を忘れた→おい、どうしてくれる」「サイフをすられた→おい、どうしてくれる」など(その前に再三注意をうながしても)クレームを受けることがハンパなくあるのでネタが尽きないのはわかるのですが、「“お客様”って工程中は言ってるけど、ホントは憎んでるのか?」と正直思うことも。嘘でもいいから本気で好きと言って! と身をよじるばかりです。

結局、添乗員は接客業としての力(リキ)がいちばん問われると思います。国内ツアーでいうと、参加者のほとんどが土産屋にいるからといって、私のそばで「○時に○○名入れ込み(参加者を連れて行き)ます」と宿に電話してるとか(旅行会社の専門用語は聞いててあまりいい気がしない)。バス内で説明する声が小さいと後方席は致命的であるとか(耳が遠い方も多いし)。宿の人と「オレさー、マジで今日ヤバいと思ったー(←何がだよ)」とタメ語でしゃべっているのが丸聞こえ、など接客の細やかさが根本的に足りない人がいるのは気になります。

添乗員同行型のメリットをデメリットにしてしまうのは、非常にもったいないです。



温泉は行くことに意義があるワケじゃない

旅行会社のサイトを見てみると、最近は“愛【植木】地球博ツアー”“花見(河津とか)ツアー”をよく見かけます。レギュラーのテーマは、世界遺産、自然散策、巡礼、ゴルフ、○○狩り、食べ放題、など。それらに宿や温泉(露天、100%天然温泉、かけ流しなど)がセットされれば一般的なパックツアーになる、と。

温泉、観光、飲食大好きな私タイプは、目的と予算に合わせて選べば、ゴキゲンにパックツアーを楽しめると思います。これまで会った参加者の方も、ツアー価格と提供される宿や食事のバランスはある程度納得してる様子でした。

ただ、温泉です。
温泉というのはそもそも『湯治治療』として重宝されていた場であり、そのため静養もかねて何泊もするのが普通だったようです。でも、現在は『湯治』ではなく、“いい旅・夢気分”を味わう『特典』として温泉が重宝されているような。“温泉につかってプハ~と言う”のは、“列車で旅をする”こと、“駅弁を買って食べる”ことと同じくらい『旅してる自分』にひたれるワケです。旅気分の味わい方として、全裸丸見えの秘湯に野生に還った気分でつかったり、神野さん(コラム参照)とか新世界デカールさん(コラム参照)が書いてるような旅に出るのもアリだし。
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昨年からの源泉ブームは、“お墨付きのいい温泉”なら旅気分度もグッと上がるし、ニセモノだと言われると『特典』だと思って入った自分がなんとなくこっぱずかしい、という理由でここまで底上げされた考え方だと私は思っているんです。もちろん、草津温泉と水道水を沸かしたような風呂を『温泉』とざっくりまとめるのは無理があるし、ウソはいけません。でも、浴場の清掃さえちゃんとやってくれれば、身体への効能がある湯治としての“温泉能力”と、特典としての“旅気分+温浴効果”は切りはなして考えてもいいんじゃないの、と。いや、そこまで泉質ばかりが大事か? 肌でPh値とかわからないしなあ、私。

『特典』として温泉を求める人が多いのは、今は精神的な癒しがほしい人が多いからだと思います。都会のコンクリートジャングルから逃げたい、単調な生活に疲れた私を“美人の湯”でリセットしたい、ただダラダラしたい…など。そこで温泉がいいのは、そうるさん(コラム参照)が前に書いたように、初対面でもパンツを脱ぐという他にありえないシチュエーションで、谷口さん(コラム参照)が書いたように、ちぢれ毛を落としながら(そうは書いてないか)湯を共にして、親睦を深めることかなー、と。菊池さん(コラム参照)も月曜温泉のコメントで書いていましたが、『風呂コミュニケーション』っていいものです。

だから、yoriさんコラムで触れていましたが、ざぶんと入って、ハイ次、という若いカップルのような行動は『湯治』『旅気分』『風呂コミュニケーション』のどれもハズしてるのでは? と私も思いました。ただそれって“2人でいればそれだけで楽しい(はーと)”というところだと思うので、目の前にいてもきっと黙認(黙殺)です。

パックツアーでも、観光するのはいいのですが温泉施設の滞在時間が短くなるとガッカリするので、団体旅行なら月曜温泉みたいに風呂上がりのビールまで見込んだ工程を組めるといいのにね、と思ってます。

ここまで書くと、「なんだ、やっぱりパック旅行ってよくないじゃん」と思うかもしれません。でも、高齢化に対応し、いい添乗員さんがいて、工程に工夫のあるパックツアーができれば、個人旅行を超えるニーズがあると考えます。さらに、オトナの修学旅行+『風呂コミュニケーション』がもっと楽しくなるような、変わりダネツアーがもっとできるといいのになー、と思っています。


次回は最終回なので、書き逃げ覚悟で『こんなパックツアーはどうか』というのを書く予定です。気持ちを全開にゆるめていこうと思います。

text by 白羽 未依 | 2005.03.03 | [ パックでGO! ] | 固定リンク | コメント (5) | トラックバック (0)

2005.02.17

第4回:雪国がんばってますツアー

パックでGO! by 白羽 未依

しかし、すごいですね。ココログ。
『ココログブックスコンテスト』に千人以上の応募があったとか、なかったとか。大賞を受賞し、3月中旬に出版化が予定されているフクダカヨさんのブログは、1日に約2千回アクセスがあるとか、ないとか。見習わないといけませんね。でも、何を?

それはさておき、新潟日帰りパックツアーに行ってきました。新潟といえば、昨年10月に中越地震に見舞われた場所。観光客が激減している今こそ新潟に行かなくてはいけない、そう意気込んで選んだツアーがこれ。




紅ズワイガニ、魚沼産コシヒカリ食べ放題!

と雪見風呂





ボランティア精神のかけらも感じないセレクトですね。ちなみにこのツアーの売りは『カニ』『魚沼市の農家でコシヒカリが買える』『おみやげがガッポリもらえる』こと。

それから『雪見風呂』です。



渋滞の壁

今回は2人で参加しました。パートナーは、共に韓国料理店でプルコギ鍋とチヂミを30分で完食して帰ったことがある心強い女友達。誘いメールをするやいなや「何時?」とメールのキャッチボールを2ターンほど無視した返事を返してくるあたりも頼もしいです。

当日も、待ち合わせ場所にあらわれた友達が開口一番に発した言葉は「何も食べないから」。どうやら昼食のカニ食べ放題に向けた決意表明のようですが、朝のあいさつすら交わせないとは。人の心を狂わせる魔性のカニ。彼女の内に秘めた闘志がゆらゆらと黒いオーラで漂ってきます。

この日は土曜日だったため若いカップルも2~3組ほどいました。総勢36名を乗せたバスは新潟に向かって関越自動車道を一直線。しばらくは順調でしたが、群馬県の赤城山付近にさしかかったとたん、スローダウン。


渋滞キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !


スキー客が多いため、赤城IC~昭和ICで2km渋滞していて抜けるのに70分ほどかかるとのこと。殺気を感じて横を見れば、友達の顔も真顔。そして振り向けば新米そうな添乗員さんも真顔。みんなの思いはひとつ。

「昼飯(カニ)大丈夫なのぉ!??」です。

バス内の空気もしっとりと静かに、うっすらと澱んでいます。静寂のまま、のろりのろりと動くバス。ちらちらと雪も降り始めました。

関越トンネル通過

重苦しい渋滞と空気を抜け、バスはようやく関越トンネルに。関越トンネルはチェーン規制があるので、手前のICでチェーンをはずしてから突入。しかしトンネル内に新潟県との県境があり、抜けたら(もちろん大雪なので)またチェーンを着け直すという手間があるらしい。「スタッドレスならいいんですけどねぇ」とガイドさんがつぶやく。(ちなみに関越トンネルは自動車トンネルでは日本最長の約11km。トンネル内のライトにかかる1カ月の電気代は約2,500万円もするそうですよ)

関越トンネルはガイドさんの“しゃべりどころ”のようで、休むことなくトンネル話は続く。そしてきっちりトンネルを抜ける15秒前に合わせてキメの一言。

「川端康成は“国境の長いトンネルを抜けると雪国だった”と書きました。さぁ、今日の景色はいかがでしょうか」

絶句の雪

そこは、とんでもない雪国でした。

こんな(猛吹雪で前が見えない)

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こんな(どんぐりみたいになっちゃってるよ)

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北海道とは明らかに違う、湿り気を含んだ重量感のある雪なんですね。この日は1晩で6~7mほどの積雪量があったとのこと、SPEEDの『White Love』(古い)とか歌ってる場合じゃありません。先日は86年以来という豪雪に見舞われた新潟、ノスタルジックな日本家屋が多く残る雪景色は“ニッポンの旅”を感じさせ、童話の“鶴の恩返し”が思い浮かびます。

snow4

頼むから、もう新潟に地震をおとさないでくれ、と思ってしまいます。

vsカニ:45分一本勝負

バスの前方に、黄色い車体に黒ストライプの車が見えてきました。そう除雪車です。超スローに仕事をこなしていくこの車を、1車線ゆえに抜かすことができず、ますますタイムロスに陥る我等一行。ふと見ると、添乗員さんが血眼でコース工程表を握りしめています。ホントーに、大丈夫か?

そのうちお昼も12時をまわり、私も友達もお腹がイラつき始めた頃、添乗員さんから「予定を入れ替え、先に昼食会場に向かいます」とアナウンス。友達が「よっしゃ」と小声で深く気合いを入れました。またもやうっすらと黒いオーラが立ちのぼってきています。

到着
uono-sato


しかしその直後、こんな言葉が飛び込んできました。

「おみやげを買う時間含めて1時間後にお戻りください」

「はあ?」
友達の背後からはドス黒い煙が活火山なみに吹き出しています。こわいです。添乗員さんは「このお店が一番おみやげの種類が豊富だから、ここで買うのがおすすめ」と言っている。でも、おみやげを選んで買って戻る時間を考えたら、食べ放題は正味45分くらい。「マジで! もうマジでやばいよ!」と友達。よく考えると何がそこまでやばいのかさっぱりわかりませんが、こんな深刻な表情を見たのは久しぶりです。

お店の2階に通される私たち。そこにはすでに「いらっしゃいませ」とばかりのテーブルセッティングが。
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そしてそこには……

カニ。
kani-up


…………インベーダー顔……どう見ても憎々しい。
私の心にもドス黒いものがわき起こってきました。
景気づけにとりあえず中生を頼む私を見た友達が「お腹がふくれちゃうじゃん!」と驚いている。友達は魚沼産コシヒカリのほかほかごはんも、ほとんど食べない作戦のようです。あたりを見回すと、他の参加者の方の面持ちも固い。皆、戦の前のイメージトレーニングでもしているのでしょうか。

おもむろに『カニほじくり器』も使わず食べ始める私たち。紅ズワイガニは小ぶりなので、手でカラごとむしった方が食べやすいのです。隣の席に座った若いカップルは「なかなか取れないねぇ(ハート)」「ちょっと食べづらいねぇ(ハート)」とゆるいトークをしていますが、私たちはマシーンのようにカニを口に放り込みます。

1パイ目
neko1
2ハイ目
neko2
3バイ目
neko3

いい感じに満腹になったので、おみやげ屋に移ろうと友達に声をかけると彼女はまだ2ハイ目。「食べるの早すぎないか?」と言われたましたが、どうなんでしょう。「もっと元を取る!」と小鼻をふくらます友達を置いて店を先に出る私。その時こんなカードを発見しました。

uono-paper

訳:ありがたい! あの怖かった日からお客さんが誰も来ていただけなくてね、悲しかったけど、あなた様方に来ていただいてようやく気持ちがはれました。本当にありがとうございます。助かります。又、いつでもお越しください。

ちなみに友達は、ラスト一人になるまでカニを食べていたそうです。

コメと温泉へ連れてって

noukaそれからお店の近所にある農家に到着。コシヒカリのおむすび、たくわん、玉こんにゃくおでんなどつまみながらお買い物。みんな激うま、素材の良さ丸出しといった感じです。魚沼産コシヒカリは小粒でしっかりした旨味、いい寿司屋のシャリの味を思い出す(あれは魚沼産だったのか)。ちなみに1kgで800円。お値段もなかなかです。

農家のおばちゃんに聞くと、やはり今年は「ここ数年ないくらいの豪雪」という(このあと新潟は86年来の豪雪がありました)。魚沼市は、小千谷市付近に比べたら震災の被害は少なかったそうですが、お客さんが激減して本当に困っているとのこと。この日は上越新幹線が従来の速度で運行を再開した日で、「早くまたお客さんが来てくれるといいんだけど」とポツリともらしていました。

農家の皆さんに見送られて、ここで新潟県とお別れ。次はいよいよ温泉です。関越自動車道を戻り、群馬県の沼田ICから少し赤城山方向に進んだところにある白沢高原温泉へ向かう私たち。“初穂の湯”というので、日帰り温泉施設だと思っていたら、実は『初穂カントリークラブ』というゴルフ場。日帰り入浴もできるそうです。

 

フロントから地下に降りると温泉入り口

golf

温泉はアルカリ性単純温泉。女湯は内湯2つに露天風呂が1つ。湯の温度が高めなので、二人で3つの温泉を渡り歩きながら、のぼせないよう半身浴でずっと雑談。そのうち自然に「この二の腕がやばいんだよね~」「このお腹のたるみがさ…」と“たるみボディ”トークに花が咲く私たち。お風呂から見える雪の迫力はさすがに新潟ほどではありませんでしたが、木々に積み重ねられた雪をながめながら「雪見温泉だねぇ」としみじみしちゃいました。

 

風呂上がりについ買ってしまったかわいいヨーグルト。

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帰りは関越自動車道の渋滞にまきこまれることもなく、池袋に19:30頃到着。A3紙袋サイズの大量のおみやげを添乗員さんから手渡され解散、結婚式帰りのような気分です。今回は日帰りだったので、やはり時間のタイトさが残念でしたが、新潟の圧倒的な雪を見れただけで十分です。次は宿をおさえて行ってこようと思います。

ちなみに、これがそのおみやげです。

塩沢名物の“ハッカ糖”

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それから南蛮えび、もずく、するめイカ。

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そして

こいつ。
kani-up

やっぱり、この顔はにくたらしい。

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text by 白羽 未依 | 2005.02.17 | [ パックでGO! ] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック (0)

2005.02.03

第3回:負け犬パック旅のススメ【後編】

パックでGO! by 白羽 未依

前回に引き続き、女一人で北海道3泊4日パックツアー参加した旅模様です。今回は3日目からになります。

オフシーズンの上、土日祝日が一切からまない日程だったため、同じ日程の参加者9割は、酸いも甘いも知り尽くしたシルバーエイジの方々でした。私は崖っぷち三十路手前ですが、それでも「若い」と日常では非常に得にくいポジションをいただき過ごしていました。

2日間過ごすうち、全体的にすごくアットホームな雰囲気に。1日目はまだ“団体旅行を利用しただけ、別グループとはなじまんでもいい”的な固い雰囲気でしたが、2日目の後半あたりから会話が増えてきました。

私に話しかけてくる方も増え、「一人で参加したの?」「仕事してないの?」など、“ずっと聞きたかったけど聞けなかった”的な質問が次々とダイレクトに寄せられました。かつて週休1日で働いてきた年配の方々にしてみれば当然です。でも皆さん、娘のように可愛がってくれました。“作り過ぎた煮物を隣家におすそわけする”コミュニティがある方々だからでしょうか。それを「おせっかい」と思う人もいるかもしれませんが、世代の違う方達と話すのは悪くないなー、と思ったんです。

「私らの時代は、旅行にもなかなか行けなかったんだよ」
「この歳になって、やっと旅行にたくさん行けるようになった」
と何人かの方がおっしゃってた言葉、けっこう心に残ってます。

それから気づいたのは、自分が興味あるものが、どんどんデジカメに残っていくこと。友達と旅に出るとありがちな“観光名所+2ショット”的な写真がない。2日目にデータを見返したら、異常なまでの“おみやげ”の写真がありました。

こんなのとか(熊カレー、えぞ鹿肉カレーとかある)
kuma-miyage

こんなのとか(木彫りの熊・等身大…)
kuma1

これも販売してることが発覚したりとか
(連れて帰れないっつーの)
kuma2

知ってる人と出かける楽しさもありますが、ちょっと自分を振り返ったり、人疲れした時に一人旅はかなりいいんじゃないかと思います。

ということで続きです。

■3日目■
負け犬、阿寒湖から十勝へ。

いよいよ3日目。この日は集合時間5分前にバスに到着した。席につくと「昨夜の地震すごかったわねー」と言われる。「何のことですか?」と聞いたら「あ~ら~ら~」と驚きのレスポンス。
深夜、釧路で震度5の地震があったらしい。知らないよ、寝てたもん。

その後も続々と友人から「地震大丈夫?」とメールが入る。
だから寝てたんだって。

3日目の行程ハイライト

【釧路エリア:鶴見台】
イモ団子と鶴。

turu草原でタンチョウ鶴を見た。「10時の餌付け直前に着いたから、今日は数が多いね」とドライバーの兄さん。チェ・ジウ似の添乗員、ガイドの“たぬきの母さん”とおしゃべりしてるうち、チェ・ジウは、見た目通り業務歴1カ月半のフレッシュであることが発覚。添乗員は、先輩と同行する研修は1度きりで、次からは一人でまわしていくそうだ。

【釧路エリア:和商市場】
負け犬、値切りに勝つ(1勝)。

washo-昼食タイムは、好きな海鮮をチョイスして食す「勝手丼」。私は、市場内にある鮮魚店の兄さんに「本物のボタンえびは、頭が紫色の“ぶどうえび”、一般に出回ってるのは“富山えび”なんだよ」と教わり、素直に勝手丼屋で“ぶどうえびメイン丼”をつくる。ぶどうえびはホント、全人生えび体験の中で一番うまかった。

お礼にその鮮魚店で土産を買う。鮭がほしいと言うと、今度は「時鮭(トキシラズ)」をすすめてくれた。「1匹送料込みで3,000円でどうにか」と言うと、「それは厳しい交渉だよー」と兄さんから店のボスにバトンタッチ。ボス戦はたしかにかなり苦戦したが、褒め言葉を振りまくこと5分、最後は男気あふれる笑顔でのんでくれた。(その後食べたがホント脂がのっててうまかった)

【帯広エリア:幸福駅】
「幸福駅」のオーラに負ける(3敗)。

koufuku夕焼けに映える十勝の景色と電車がノスタルジックな感じ。私はここでは土産を絶対買わないと決めていた(想像してほしい、「お金もないし美人でもない」女が“幸福を呼ぶキーホルダー”を買っている姿)。辺りをうろうろしてたら、2日目に私が写真を撮ったご夫婦の奥様が「見て見て」と私を呼ぶ。「カンペキでしょ? 」って微笑む奥様。そこには私があげた写真の裏に幸福駅のスタンプが押してあった。

参加者の方には、夫婦で参加されている組も多い。そういう老夫婦にわたしもなりたい(宮沢賢治風)。なんてことをバスに戻ってから考えているうち、いつの間にか爆睡していた。

【上士幌エリア:糠平温泉】
「糠平舘観光ホテル」

ホテルに着き、部屋に入ってしばらくすると廊下が騒がしくなる。見ると参加者の方5名ほどいた。どうやら一部の部屋に暖房が入ってなかったらしい(私の部屋は入っていた)。スタッフの印象はとても良かったのだが、確かに北海道の寒さは尋常ではないので身体にこたえる。話を聞いたチェ・ジウの顔色が変わる。どんな事情があれ、お客様が納得しなければ「パック旅行」の商品評価も落ちてしまう。みんな必死である。

ここには昨年秋にリニューアルしたという風呂がある。露天風呂の方は、目の前がフクロウが飛んでいそうな雑木林で、少し小雪がちらついていた。いかにも“北海道の風呂”という感じだ。ちなみにこちらも単純泉。

あともう一日なのを少しさみしく思いながら
就寝。

■4日目■
負け犬の旅、ラスト。

いよいよ最終日だ。
この日は、特に移動時間が長かったこともあり、トイレ休憩もかねた土産屋立ち寄りが多かった。立ち寄るたびに何かを買っている強者(?)な方もいたが、私は参加者のおじちゃんから「たいていの土産は最後の新千歳空港にあるから焦らなくていいよ」と聞いていたので、私は変わらず土産写真ばかり撮っていた。

たぬきの母さんは、通り一遍の観光地ガイドだけでなく、今の観光地の状況も教えてくれた。ご当地名産についても、ガイドの信用力も商売に関係するからか「まずいものをうまいとは言わない」と言う。でもきっと立場上、まずいものをまずいとも言えないだろうから、土産についてベテランガイドがありふれたことしか言わない時は注意した方がよいかもしれない。

4日目の行程ハイライト

【旭川エリア:層雲峡】
氷に泣く。

ryu-seiこのエリアに入るにつれ、暖房は効いているのに窓ガラスが“内側から”凍ってきた。そのため外の景色が全く見えない。「削るか手の熱で溶かさない限りムリ」とたぬきの母さん。

氷結した銀河の滝と流星の滝(写真)の光景が素晴らしく、じっと眺めているうちうっかり自分の半生を振り返ってしまう(鬱になったため強制終了)。そんな私の姿を心配したのか、おじちゃん・おばちゃんらが「撮ろうか」と口々に言ってくれる。一人で撮られてもむなしい限りなのだが、無下にもできず、ピースサインでフラッシュを浴びる私。

【富良野エリア:美瑛】
雪に笑う。

biei6月~7月には絵の具を溶かしたような美観が広がるという新栄の丘に着く。しかし360度見渡しても雪、雪×雪、雪だらけの雪まつり。うっかり転んで雪まみれになる。急にわけもなく楽しい気分が、内側から宮太鼓の音と共に急にわき起こる。雪特盛の美瑛も壮観だった。

ここから一気にバスは、北海道の中央にある富良野から、左下付近にある小樽に向かう。あまりの長さに、何度寝たり起きたりを繰り返したかもわからないまま、夕方5時頃小樽に到着した。

【小樽エリア:自由散策】
負け犬、気づけば小樽に。

letao2小樽は昔来たことがあったので、懐かしい感があった。「あのアホみたいに畑しかない風景が嘘みたいでしょ」とたぬきの母さん。

ここは完全フリータイムだったので、北一硝子をひやかしてから、洋菓子ルタオ(写真)でケーキとお茶を楽しむ。ちょっとOL気分。 ただ、店員に「この店名はダジャレですよね」とは言えずじまいだった。喉まで出かかったけど。

負け犬、別れの作法を学ぶ。

小樽を離れると、みんなの顔も“東京の顔”に戻ってくる。チェ・ジウが「いちばんイヤな時間です」と言っていたアンケート用紙が配られる。『どんなイヤなことがあっても笑顔でのりきってください』と書いた。

しばらくして、ついに新千歳空港に到着。
チェ・ジウから航空券が配られ、解散になった。

さみしい気持ちで土産ショップエリアへ向かっていたら、摩周湖で旦那さんの遺影を持って撮影していたオバサマ&娘さんに遭遇した。「一緒にラーメン食べない?」と言われたので、両手をあげて迷わず賛成。オバサマが塩ラーメン好きということで、「函館あじさい」を食べながらビールを飲む。

ごきげんになりながら3人で搭乗口に着くと、当たり前だが他の参加者の皆さんが全員いた。売店で買った生ビールを飲んでる人がいて、私と娘さんで買いに行く。みんなで飲んでいるうち、新橋のガード下感覚になってきた。皆さん口々に「今月末はエジプト」「来週は伊勢」と、なんだかとってもうらやましい話をしている。すでにビールを飲み干していた娘さんが「私はよく母とパック旅行に参加してるけど、今回ほどみんなが仲良くなるのも珍しいと思うな」と言った。

すごく楽しかった。

ゲートが開く、皆さんは口々に「またどこかで」「ごきげんよう」と言いながら別れていった。どんなに気が合っても、軽々しく「絶対電話するー」みたいなこと言わないところに“オトナ”をみる。旅の粋ってやつかもしれない。これが本当の意味での解散となった。

飛行機から
yakei

そんな感じで、私の4日間にわたる一人パック旅は終わりました。

数日間“旅を道連れ”した皆さんを、今でも私は思い出します。
どこかで元気でやってくれてるといいなあ、と。
とても良い旅だったんだと思います。

ただ結局、私が30歳目前負け犬であることに基本的に何ら変化はないんですけどね。

@nifty温泉「糠平舘観光ホテル」詳細ページへ

text by 白羽 未依 | 2005.02.03 | [ パックでGO! ] | 固定リンク | コメント (4) | トラックバック (0)

2005.01.20

第2回:負け犬パック旅のススメ【前編】

パックでGO! by 白羽 未依

「こんな大人になる予定じゃ、なかった。」
そう思ったことはありますか。私は、今です。

たとえば、こわくて読めない本があります。
酒井順子さんの『負け犬の遠吠え』です。2004年を通過した今も、私は魔除けに近づけない下級霊のよう。想像してみてください、そもそも「お金もないし美人でもない」女が、コンビニで、本屋で、電車で、ドトールで、この本を読んでいる光景。私なら泣く、そして抱きしめる。それから本を取り上げ、床に叩きつけ、こう叫ぶ。
「逃げるな!」

しかし本物の負け犬とはその言葉通り、逃げるのです。負け犬度が、高まることを知りながら。東京から一人、しかも北へ。何から逃げたいのかもわからない。
お金がないからパックで逃げました。
ただ、旅に出たかったのです。

負け犬、北海道を目指す。

『とにかく安く、北に』をコンセプトにして探すうち、3万未満で3泊4日6食付きの驚愕北海道ツアーを発見しました。部屋は個室ではなく相部屋に(料金を上乗せされたくなかったのです)。念のため旅行会社に問い合わせしたところ、「何が起ころうとも異性とは絶対相部屋にしません」とのご回答。
安心しました、女を捨てきれないことこそ負け犬根性です。

mapやがて届いた旅行会社からの案内状。しかし、文字で書かれたコース行程を見ても、さっぱりどんな旅なのかわからないので、地図の地名を頼りにコースを描いてみました(できあがった地図がコレ)。釧路空港着から新千歳空港発までのこのコースが「北海道ほぼ横断ジグザグツアー」と判明。え、でも待って、北海道って『デッカイ道』でしょ…と、一抹の不安がよぎる。でも3歩で忘れてしまいました。

■1日目■
負け犬、現地到着。

いざ迎えた当日。第一関門にして最大の難関だったのが「朝7時:羽田空港集合:時間厳守」。早起きが数多くの弱点のうちのひとつである私は、切腹前の侍のような覚悟をもって20分前に到着。無事JALの翼でtake off。

釧路空港の出口を抜け、もれなく旗(添乗員)を発見。同じく旗めがけて来た人々の数46名のうち、9割方がシルバーパスGET済or直前のアダルトなご夫婦であることに驚く。さすがオフシーズン、“鳩の群れに紛れ込んだハムスター”といいますか、鮮やかなまでに私浮いてます。釧路のマイナス8℃の冷たい息を吸い込み、“この4日間だけは自分を『ギャル』と呼んでも許されるかもしれない…”とバスに乗り込む。バス1台で46名ジャスト満席、席は全席指定です。

バスが動くと同時に、主催側添乗員による自己紹介+現地バス会社のガイド&ドライバーの紹介がスタート。添乗員は韓国女優のチェ・ジウ似の23歳、ガイドは自らを「たぬきの母さん」と呼ぶ、浅香光代似の超ベテラン。2人が並ぶだけで『渡る世間は鬼ばかり』がおのずと思い浮かびます。続いて、バスの座席は、前方席の取り合いになるのを避けるため、まんべんなく日替わりシャッフルにすると告げられ、『オトナの修学旅行』を円滑に進めるための術を学習。

少し走ると最後列からさっそく「揺れで連れの体調が悪くなったから替えてくれ」とおじちゃんの猛々しい声が飛んできました。集金中のチェ・ジウが「少々お待ちを…」と言いかけるなり、「待てねーから呼んでるんだよ、わかってねえな。」と返す刀。笑顔が一時停止になるチェ・ジウ、静まり返る車内。
スリリングです。

以下は行程ハイライト。

ainokane【厚岸エリア:愛冠岬】
「愛の鐘」にノックダウン(1敗)。

エリアはアッケシ、アイカップ岬と読みます。「2人で鳴らすと愛が叶う」という鐘の前に立ち尽くし、いきなり敗北感に包まれる。鳴らす資格のない私の頭の中で『あの鐘を鳴らすのはあなた byアッコ』がエンドレスで流れていく。さっきのクレームのおじちゃんは、連れの奥様と手をつないで歩いている。ああ。

nosappu【根室エリア:納沙布岬】
日本最東端で負け犬吠える。

永遠に続くのかと思うほどの一本道を経て、北方領土が見えるという納沙布(ノサップ)岬に辿り着く。だが、それどころではないほど、殺人的に風が痛く、凍えるほど寒い。さながら私たちは自殺集団。ここなら武田鉄矢が「死にましぇぇーん!」と絶叫してもかき消され、浅野温子は振り向かないであろう。

ojisamaしかし我々はバスを降り、みやげ屋に向かいます。なぜならここは昆布の名産地。そして、土産屋で『花咲ガニのみそ汁を飲ませてくれるから』です。イベントに全て積極的にのっていってこそパック道。おかげで、インカムで昆布の種類をDJばりに紹介する、素敵なオジ様と出逢いました。

ここでたぬきの母さんはささっと昆布購入。現地ガイドさんが買った物は便乗しようと密かに決意。

チェ・ジウの入念な人数確認の後(添乗員最大のご法度が『人間積み忘れ』であることを察す)、再びバス発車。すかさずたぬきの母さんから、熱いお茶が配られる。揺れでこぼさぬよう、注ぐのは紙コップ半分強まで。その時私は“そこまでやるのか”と感心したのだが、後に友人から「バスでお茶を出すのは常識」と聞かされました。

やがてチェ・ジウから「宿泊地到着予定は18時です。」と告げられる。早いと思ったらとんでもなかった。そもそも畑だらけで目印らしいものがない道なのに、16時過ぎに日没した後はどこを見ても漆黒の闇。濃度を増した冷気がバスを通過して足もとに漂う中、温泉街に着くまでひたすら漆黒。「レンタカーでエンストしたって、誰も見つけらんないよ」という、たぬきの母さんの言葉に納得。

【弟子屈エリア:川湯温泉】
〈名湯の森ホテルきたふくろう〉
デシカガと読みます。ここが1日目の宿泊地。私はすぐに温泉にダイブ。ここの温泉は、名湯・草津温泉と同じ泉質。満月を覆っては流れていく黒い雲を眺めながら、露天でたらたらと長湯。熱い漢方液につかっているようで、骨の芯の奥から温まります。この感動を忘れまいと調子にのって飲泉したら…その味、たとえるならば金属とお酢の衝撃のブレンドティー。忘れたくても今も忘れられません。ちなみに、糖尿病改善治療として、川湯温泉飲泉の有効性を研究されている方(川湯温泉病院)もいます。

夕飯は、一人参加のおじちゃん×2にビールをおごってもらいながら親睦タイム。お二人とも、奥様がご病気、お亡くなりという事情での参加とのこと。一人旅をするのはさみしさに加え、お金もかかるらしく「“お一人参加でしたら1.5倍の料金をいただきます”って言った旅行会社もあるよ。」と聞く。事情はあるのでしょうが、そもそも一人で宿泊するのを嫌がる宿も多いのが現実。ちょっと切ない気持ちで部屋に戻る私。

一人でテレビをザッピングしてるうち就寝。
ええ、同性の参加者は他に誰もいませんでした。

■2日目■
負け犬、難関再び。

2日目、やってしまった。8時20分出発のバスに1分前についてしまった。3分前には部屋にフロントコールが入りダッシュ、バス前で律儀にコートを脱いで待機していたチェ・ジウに丁重にあおられる。アダルトな皆さんは朝に強い。しかもこれは4日間で北海道ほぼ横断する『バス強行ロングランコース』ときた。前述の通り、日没の16時を超えたら観光不可能になってしまうため、『行程を遂行する商品』をこなすチェ・ジウたちは必死である。

2日目の行程ハイライト

mashu-【弟子屈エリア:摩周路】
霧のジンクスに惨敗(2敗)。

たぬきの母さんが「キレイに見えると3年婚期が遅れると言われてる」と教えてくれた摩周湖は、霧ひとつない美観で広がっていた。悩ましい気持ちを打ち消しつつ撮影していたら、参加者のオバサマが、旦那さんらしき方の小さな遺影を持ちながら記念撮影している光景を見る。さらりと聞いたら、ニッコリと「マイダーリンよ。」って答えてくれました。

guide【網走エリア:網走監獄博物館】
敏腕サイボーグガイドあらわる。

ここはオプションで選択。『短い滞在時間内に全ての施設を案内する』ため、市原悦子似の施設ガイドさんが、完璧な時間調整と的確な解説で任務をこなす。“どこにタイムウォッチが埋め込まれているのか”と何度も凝視。私たちにとっては、雪道を慣れた早足で突き進むそのガイドさんを『見失わないこと』が最大ミッションでした。


行程を終えたバスは一気に阿寒湖へ。途中のトイレ休憩で、たぬきの母さんから「こんなにバス移動が長いなんて聞いてない。」とクレームを受けることもあると聞く。夕方になると皆、疲労と揺れで爆睡モードに突入、静まり返っていく車内。

【阿寒湖エリア:阿寒湖畔温泉】
〈阿寒ビューホテル〉
2泊目の宿に到着。バイキングの夕食で、気になっていたご夫婦と親睦を深める私。ご病気により足を少し悪くされたという旦那様と、気品あふれる笑顔がとても素敵な奥様。聞けば旦那様は元NHKドキュメント番組のディレクターで、アイヌの特番を手掛けたこともあるそうです。自らのアイヌ知識に『木彫りの熊(鮭付き)』しかなかった事実は、八ツ折りにして引き出しに突っ込んでおきました 。

himaturiその後は、アイヌコタン(土産屋が密集している)の火祭りイベントにオプションで参加。そのご夫婦も参加されていたので、記念にお二人を撮る。“理想の老後だな”と思ういい笑顔。ラッキーにもホテル内にあったデジカメプリンタで出力できたので、明日あげることにした。
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※写真は加工したものです

最後に温泉。バス移動の疲れを残さぬよう、単純泉のやわらかい湯にどっぷりつかる。露天風呂からオリオン座がクリアに見える。ボーッと星を眺めているうち、誰も突っ込まないことをいいことにポエトリーな世界にいざなわれていく。

私も…お星様みたいにキラキラしていたいなぁ(*´▽`*)」

しかし5分で現実に立ち返り、乙女気分にピリオドを打つ。
部屋に帰るなり、睡魔にパックリ飲み込まれ就寝。

あと2日です。

@nifty温泉「名湯の森 きたふくろう」詳細ページへ
@nifty温泉「阿寒ビューホテル」詳細ページへ

《第3回(負け犬パック旅のススメ【後編】)に続く》

text by 白羽 未依 | 2005.01.20 | [ パックでGO! ] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

2005.01.06

第1回:パック宣言

パックでGO! by 白羽 未依

kotoyoro

白羽と申します。
酉鳴く2005年が始まりましたね。
年末年始はどこか行かれましたか?
どこかの温泉につかりましたか?

「いや、年末年始は宿が高いから行かない。」
「正月は寝正月と決めてる。」
「妻の実家で協議離婚の話し合いをしてた。」
という人もいるでしょうね。
私はといえば、得意のパジャマスタイルでお笑い番組に
かぶりつきの日々。右手には餅、左手にはビール。
わんぱくに、たくましく育つ三段腹。

そうです。私たちは忙しいニッポンジン。
たまの休みがとれる時は、たいてい大型連休、しかも不況。
休みの日に旅をぶつけるには、そこそこの
気合いとお金と体力がいるものなのです。
2004年版「レジャー白書(財団法人社会経済生産性本部 発行)」
によると、国民一人当たりの年間平均宿泊旅行回数は1.28回、
宿泊日数はわずか3.96泊というデータもあります。

しかし、私たちはもっと旅に出たい。
温泉に行きたい、いい旅見つけたい、ついでに恋したい。
そこで私は、パック旅行を推奨したいと思うのです。

今年は『パック旅行ニューイヤー』である


パック旅行とは、ここではいわゆるパッケージツアーのこと。
旅行会社では主催旅行と呼ばれています。
それは、旅に必要な『アゴ(飯)・アシ(交通)・マクラ(宿)」が
セットになっている“旅の商品”であり、
それを買った見知らぬ他の人たちと一緒に、
その商品(旅)を楽しむ、団体旅行なワケです。
さらに今回は、添乗員(またはガイド)が
同行するタイプにしぼってみたいと思います。

え~? パック~?
眉間にシワを寄せる人もいるでしょう。
「やっぱり旅するなら個人で全部手配するべき。」
そう力説する人も多いでしょう。
「ほら、今はどこの旅行会社もフリープラン出してるから、
交通と宿だけおさえて、あとは好きなご飯食べたり自由に。
これが今の旅のカタチでしょ。」
そう葉巻をくゆらせながらサラリとおっしゃる方もいるハズです。

確かに、パック旅行はちょっとね…という人の意見としては、
・自由に行動できない。
・スケジュールが過密すぎて疲れる。
・団体行動がうっとうしい。
・安かろう悪かろうというイメージがある。
・みやげ屋にやたら連れて行かれる。
・添乗員が振っている旗に近寄るのが恥ずかしい。
などが、あげられます。

わかります。
個人・個性が優先される時代です。
大量生産・大量販売の時代とも、今は違います。
それは旅のニーズも同じこと。
ですが、「旅は道連れ」であり「世は情け」です。
パック旅行には、それがあります。
そしてこれから、パック旅行はもっとおもしろくなります。
そう思いこんで、このコラムを開く運びとなったのです。
@nifty温泉スタッフの皆さんの無防備すぎる懐の深さのおかげです。


パック旅行は『幕の内弁当』である


パック旅行の魅力は、さながら幕の内弁当に似ています。

まずここに、旅行会社さんにアンケート取材した資料があります。
2005年のおすすめ温泉関連ツアーのごく一部です。

たとえば、近畿日本ツーリストの商品(メイト・コース番号R4164)。
『みちのく名湯鶯宿温泉に泊まる 松島・中禅寺と秘湯乳頭温泉 2日間』は、ポッキリスペシャルと銘打ってるだけあり、
全日程とも、2~6名まで30,000均一。※詳しくはパンフレットで

阿寒湖氷上フェスティバルと連動でイベントを企画した阪急交通社の
「阪急フェスタIN阿寒湖2005」が目玉となる7日間限定ツアー
『阪急フェスタin阿寒湖とオホーツク流氷・プレ雪まつり 4日間』
は、温根湯温泉、阿寒湖畔温泉などに宿泊でき、価格は39,900円均一。

また、はとバスの『温泉リゾートホテル木曽路で温泉三昧と天竜舟下り 2日間』では南木曽温泉が楽しめる。
4食付きで25,800~37,800円。1名から参加可能なのもポイント。

どれも人気の温泉(観光)地のツアーです。
【温泉情報は検索してみてね♪】
添乗員同行で、食事が付き、観光の移動費も含まれていることを
考えると、パック旅行は本当に安いんですねえ。

それは、ぎっしり詰められた幕の内弁当にそっくり。
フリーでこれらを回ろうとすると、途方もないお金と時間がかかるもの。頭で思い描くほど、うまくいかない。
朝は寝坊し、スタートから出遅れ。いざ出かけようとしたら、最初にどこに行くかで連れとケンカ。くり出したレンタカーで30分後に路頭に迷い、車内5ラウンドバトルの末に、やっとたどり着いたお目当ての店は臨時休業だった…。
あわれフリー旅は、底なしケンカ旅に。そんなコトもありました。

ついでに私が経験したパック旅行も振り返ってみましたが、
ひとつ問題点発見。
「食べた後に、何を食べたか全部覚えていない」のですね。
鮭と海老があった、ご飯はゴマ塩の日の丸だった。
けっこういろいろ食べたハズなのに、後はぼんやり霧の中。
なぜか。それも幕の内弁当と同じ。
出来合いだから、人まかせにしてるからなのです。

でも、幕の内弁当が悪いわけじゃない。そう、キミのせいじゃない。
私の記憶力のせいでもない。
前に書いた「パック旅行はちょっとね…」の声も
決してデメリットとは思わないでほしいのです。

「旅の思い出は自分でつくるもの」なのです。
幕の内弁当とパック旅行の違いはココにあります。
パック旅行を、疲れるだけで何も思い出せない旅に終わらせずに
ハッピーな旅にするためには? どうするの?


パック旅行は『オトナの修学旅行』である

tabishitai
くり返してみますが、今回のコラムでいうパック旅行とは、
いわゆるパッケージツアー。
旅行会社が商品として用意した団体旅行で行く旅のことです。

これって。
中・高校生の時に、決まった行き先に向かって
クラスメイト共々、センセイに連れ回された修学旅行と一緒。
でもオトナですから、行き先を自分で決めて、お金も自分で払って行く。センセイ役(?)の添乗員さんも、会社を背負って旗持って、必死にナビゲートしてくれる。
そして言いたいことがあれば言える。
文句を言ったために学期末の通知表の成績が落ちることもない。
そう考えると、オトナの修学旅行の方がやっぱり楽しい。

そう、パック旅行をハッピーにするヒントは
修学旅行にあるのです。ポイントは3つ。
・予習(予備知識の仕入れ)をする
・センセイ(添乗員・ガイド)の話をよく聞く
・まわりの人(参加者)にからんでいく
これを守ってのぞめば、パック旅行はダンゼン充実してきます。
もちろん温泉も。いや、つけ足しじゃなくて。
知らない誰かと、めぐる旅は悪くない。

yappari

いや、旅慣れた方なら、パック旅行が安く販売できる理由が、
宿やおみやげ屋からのキックバック(送客手数料)なのをご存じで、
それがやっぱり気に入らんということもあるかもしれない。
でも、オトナになると、旅行会社は手数料で商売しているワケで、
それを差し引いても、けっこうギリギリの価格で勝負してるな、と思うのです。
パック旅行でもかんばってる宿、逆にがんばってない宿の差は
歴然と出るものだとも思ったり。
個人でとって、高くて高飛車な宿にあたったことも、あるし。

団体で行っても、パックで行っても、思い出になるのは結局自分の目が見たこと。
気軽に、手間ひまかけずに、すぐに旅立てるツールとして
パック旅行を活用してもいいんじゃない? と思うのです。
私たちニッポンジンはもっと旅に出るべきです。

さて、今回はマジメに書いてしまいましたが、
残り5回は、これをふまえてもっとパック旅行に
寄り切りで押し倒して、右脇腹えぐりこむように迫ってまいります。
グッとね。

text by 白羽 未依 | 2005.01.06 | [ パックでGO! ] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (1)